10-1
*10 先生の嫌がらせ
休み時間が終わって、教師が入って来た。
1時限目は数学のようだ。
はっきり言って、俺は色々あってアメリカの大学を卒業しているから
今から習う授業は復習にしかならない。
まあでも、復習は大事だし、勉強も嫌いではない。
それになにより、後ろに有紀の気配がするから、俺は黙って授業を受けた。
それなりにノートも取っていた。
授業も終盤にかかった頃、先生がチョークを置いて、こちらを見た。
俺は先生と目が合った。先生は、すごく嫌な感じでニヤニヤしてたから、冷や汗が流れた。
「愛川、編入祝いに1つ問題を解け。」
そういって、先生が黒板を指差しながら、またニヤニヤと笑う。
クラスメイトの、小さい子達が俺のほうをチラチラ見て、くすくすと笑う。
…。これは、俗に言う嫌がらせ、という物なのか?
なんで、いきなり。さっき挨拶したばっかりなのに、何で…?
だんだんと、俺の顔は俯きだす。
それを見て、先生がまたニヤニヤと笑ったのは、俺の目には入らなかった。
「なんだ?編入テスト1問間違いの天才の愛川には、コノ問題は簡単すぎたか?
しょうがない、それじゃあ、これを解け。」
そういって、先生が新しい式を黒板に書いた。
最初の式も、きっと高校3年生ぐらいにならう問題で
一般の2年生の生徒には解けないような無いようだったのに、
新しく書かれた式は、大学レベルの式だった。
まあ、解けるけど…。
「おや?分からないのかね?」
『クスクス。いい気味。』
『ほぉんと。鳴海様と山中君に近づくから…』
ナルミサマ?なるみ、どこかで聞いた気がする。
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