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俺が莉兎さんから手を離して、有紀の方を見ると
有紀と拓也さんが、顔を赤く染めて少し驚くように俺を見てた。
「…な、に?」
俺は変なことをしただろうかと不安になりながら尋ねた。
「え、いや、莉兎を泣きやませるとかすげーって思って…」
「それに、澪梓が可愛かったから…」
拓也さんに続くように有紀が言った。
「…?」
よく分からなかった。
「や、莉兎はさ、1回泣いたらもう全然泣き止まないんだよ。
それを一瞬で泣きやませたからさ…。 ちょっとびっくりした」
「俺は、澪梓の笑顔がとてつもなく可愛かったなーと…」
「可愛く、ないっ」
俺はそういいながら有紀を少し睨んだ。
すると、ますます有紀が赤くなった。
訳が分からん。
「も、かわいすぎるからっ!」
そういって有紀が抱き付いてきた。
くるし…。
これは抱きつかれてるじゃない。押しつぶされてるだ。
「…ゆきぃ、おも、たい…」
有紀に押しつぶされてるせいで少し掠れた声。
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