9-4
「静かにしろ。今からそいつを紹介する。
愛川、入って来い」
あ、呼ばれた。
深呼吸をして少し震える手でドアの取っ手を掴む。
~ガラガラ~
ドアを開けて、手招きしてるたつにいの横に向かう。
クラスメイトからの視線が痛いけど、気づかない振りをして。
「それじゃあ愛川、自己紹介してくれ。」
「…愛川、澪梓で、す。よろし、く…お願いし、ます」
前を向くと、沢山の目がこっちを見てたから、俯き気味に短いけど、精一杯大きな声で自己紹介をした。
「おし、」
といって、たつにいが微笑む。
俺も釣られて薄笑いを浮かべた。
『(可愛い)』
とクラスの皆が思ってるなんて知らずに。
「愛川の席は、あの窓際の席だ。」
そういって、たつにいが1つ開いてる席を指差す。
「わかり、ました」
俺はその席へ向かう。
席へ向かうとき、
「可愛い」
「抱きたい」
とか言ってる人達が居た。
少し目眩がしたけど、もう少しで席に着くので頑張って耐えた。
席に向かうとき俯いてたから気づかなかったけど、
俺の後ろの席が有紀だった。
席についたら、有紀が笑いかけてくれた。
「良く頑張ったね」
「う、ん。ありがと」
いつも有紀と話すときは詰まったりしないんだけど、今も視線を感じるので、少々言葉が詰まる。
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