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「そうですよ泰雅。そんなに睨むとウサギちゃんが怯えるので止めてくれませんか?」
そういう言葉が聞こえた。
俺は誰かと思いキョロキョロあたりを見渡すと、
生徒会長の後ろに、その人が居た。
生徒会長は、ワイルド系?なイケメンだけど、
その人は会長とはまた違った知的な美形だ。
てか、ウサギちゃんって俺…?
「んだ理玖。邪魔すんじゃねー」
「泰雅は相変わらずですね。式が進まないんですよ。」
「そんなこと俺にはカンケ--」
「さっさと戻れと言ってるんです。私の邪魔をしますか…?」
「…わかったよ、戻る。」
「それでいいんですよ」
「「「「……」」」
一瞬、この知的美形の人が悪魔…、いや、鬼に見えた。
急に黒い雰囲気を醸し出したかと思えば、さっきよりも一段階低めの声を発したんだ。
これには有紀も俺も、そして生徒会長もびびったらしい。
生徒会長は、大人しく舞台へ戻った。
「有紀、泰雅がご迷惑お掛けしました。」
「三代先輩が謝らなくても」
「いえ、私の配慮行き届いてなかったという事ですので。
其方の方も、怖がらせてしまったようで、すみません、」
三代先輩と呼ばれた人は、本当に申し訳なさそうに謝ってくれた。
だから、俺も隠れてるのは失礼なんじゃないか…。と思って、有紀の横に並んだ。
「だ、いじょうぶ…です、」
「それは、良かった。 お2人とも、本当にうちの会長がご迷惑お掛けて申し訳ありませんでした。
それでは、私もそろそろ…。失礼しました」
そう言って三代先輩も戻っていった。
俺は会長と有紀と三代先輩に気を取られて忘れていたけど、
そういえば今って式中じゃないのか…?
俺は恐る恐る周りを見渡した。
すると、そりゃーもう沢山の人が、こっちを見ていた。
バッ。そんな効果音が出るほどすばやく俺はうつむいた。
『いつまで気を散らしているのですか?式を再開しますよ』
三代先輩がそう言うと、こっちを見てた人達が一斉に前を向いた。
ああ、良かった。
入学式もとい始業式は、生徒会長で中断されたものの三代先輩が再会してくれて、
次からは俺のほうに注目するなんて事も無く、無事終了したのだ。
7入学式 終