4-2
「……っ」
……。
いやな夢だ。
眠気に任せて安定剤を飲まずにいた所為か。
てか、俺安定剤飲むの忘れすぎだろ…
と苦笑し、俺は時計を見た。
時計の針は午後3時を回ったところだ。
微妙な時間に起きてしまった…。
目覚めが悪かったせいか、眠気が吹き飛んだ。
睡眠薬を飲むって言う手もあるけど、
折角夜中に目が冷めたんだ。
今頃殆んどの人が眠りに付いてるだろう。
昼間は他人に会うのが怖くて外を見ず、下ばかり見て歩いてたので、丁度良いし今から散歩しよう。
思い立ったらすぐ行動。
いくら温暖化が進んだからと言って4月の夜はまだまだ寒いということと、
もしも人と会った場合を考えて
分厚めのパーカーを着て、フードを深く被り、外に出た。
夜と言っても、寮の廊下は電気がついていて、明るい。
道に迷うことなく、寮の外にでた。
寝ている間に雨が降ったのか、地面がかすかに濡れている。
雨が降った後と、夜中という事もあって、冷たい空気に鼻がツンとする。
…とても良い雰囲気だ。
静かで落ち着くし、周りに生えている木の匂いに癒され、無駄なことを考えないで済む。
街頭の下にあるベンチを見つけ、そこに腰掛け、静かに目を閉じた。
風が吹く音、風に草木がなびく音、寮の庭の真ん中にある池に、草から水滴が落ち、
ポチャンという音が規則正しく、静かな空にこだまする。
嫌な夢を見た後だからだろうか、この瞬間がとても幸せに思える。
誰も居ない、俺だけの空間。
瞼をゆっくり開けて、空を見上げると、雨が降っていたはずなのに、星空がくっきりと見えており、
静かで、綺麗で、儚い。
また今度、有紀と来よう。
有紀を俺だけの空間に。有紀なら、許してあげる…。
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