純粋無慈悲な妖精姫
「キャーッ!!!」
貴族の子息や令嬢が通うことを義務付けられているルミエール学園。
授業が終わった下校時間に、迎えの馬車が並ぶ正門の近くで令嬢の悲鳴が響いた。
「何をするんですの、フェリア様!」
「……何をって、何がですか?」
そこでは二人の令嬢が対峙していた。
一人は綺麗なブロンドの巻き髪がずぶ濡れになり、水を滴らせている令嬢。周りには取り巻きらしき令嬢たちが顔を真っ青にして立ち尽くしている。
もう一人は、この国では二人といないシルバーグリーンの髪色の令嬢だった。
「私に水をかけたの、貴女でしょう!?」
「あら……? 私は今貴女方に声をかけられるまで普通に歩いていただけですが?」
「だから! 貴女がやらせたんでしょ!?」
「まぁ、ふふふ。……何故、私が貴女にそのようなことを?」
「そんなこと知らないわよ!」
「では、何故私だと?」
「こんなことできるの、貴女しかいないじゃない!」
ルーンベルク公爵家長女・フェリアの別名は“ルーンベルクの妖精姫”。
この国で唯一、妖精に愛されている令嬢だ。
「——私のことをご存知なら、その言葉の意味もきちんと考えていらっしゃるのよね?」
「な、なによ、言葉の意味って」
フェリアは、その問いに一歩後ずさる令嬢に優雅な笑みを見せると、畳んでいた扇子で口元を隠し言葉を続ける。
「私の愛しい子たちは私の害にならない人間を攻撃することはないの」
その言葉に反応するように、どこからか現れた球体の水が令嬢の足元に叩きつけられ、その水飛沫で靴を濡らした。
ヒッと青褪める令嬢に構うことなく、フェリアは冷たい声を落とす。
「貴女は、私に何をしようとしたのかしら?」
「……っ、わ、私は何も……! そう、ですわ、私の勘違いだったみたいです、失礼、いたしましたわ」
震えながら弁明をし、そのまま立ち去ろうとした令嬢に、「あ、あと」と言葉をかける。
「貴女がどちらのご令嬢かは存じ上げませんが、爵位が下の者から声をかけるのは不敬でしてよ?」
フェリアは公爵令嬢。この国で自ら声をかけられる子息令嬢は、王族を除けば三大公爵家の者だけだ。
「は、はい……っ、失礼いたしました!」
最後にそれだけを言い残し、令嬢は足早に去っていった。その場に残された取り巻きたちは、慌てて頭を下げて令嬢を追いかけていく。
「彼女たちは何をしたかったのかしら」
“フェリア、あいつらフェリアの悪口言ってたのー”
“そうだよー。だから僕たちね、お水かけてやったのー”
「あら、そうだったの? ありがとうね、私の愛しい子たち」
扇子をしまい、ふふふ、と歩き出すフェリアを、騒動を遠巻きに見ていた生徒たちが静かに見送る。
その視線には、妖精という未知の存在への好奇心と——未知ゆえに感じる、畏怖の感情が宿っていた。
*
「おかえりなさいませ、お嬢様」
「ただいま、セレーネ」
ルーンベルク公爵家別邸。フェリアは物心ついた頃には家族と離れて暮らしていた。
特殊な髪色だったことを理由に育児放棄を決めた両親に代わり、フェリアの面倒を見ていたセレーネと二人だけの生活だ。
「学園はお変わりなかったですか?」
「ええ、何もなかったわ」
フェリアが“妖精の愛し子”だと発覚したのはまだ三歳の時。
別邸に追いやられ、一人でフェリアの世話をしていたセレーネはずっとフェリアの傍にいることができなかった。
そんな時、いつもフェリアの傍にいてくれた存在……それが妖精たちだった。
“えー? いたじゃん、やな奴ら!”
“そーだよー。セレーネに言わないのー?”
「ふふ、あんなこと、わざわざ言うほどでもないわ」
「え、何かあったのですか?」
セレーネには妖精の姿も声も聞こえない。
だが、妖精と会話しているのだろうフェリアの言葉に、怪訝な顔を見せる。
「何かってほどでもないのよ。今日は久しぶりに妖精たちのお仕置きがあっただけ」
「お仕置きされるようなことをした者がいる、と?」
「実害がなかったのだから問題ないわ」
何をしたら妖精たちの“お仕置き対象”になるのかをわかっているセレーネは顔をしかめたが、当のフェリアはまったく気にしている様子がない。
「本当にお嬢様は大らかですね」
「そうかしら? ふふふ」
生まれた瞬間から両親に冷遇されているフェリアにとって、悪意や嘲笑を向けられるのは日常茶飯事だった。
だから、そんなことは何の問題もない。——そう、フェリアにとって、は。
*
「お嬢様、ご当主様より夕食は本邸でとるようにとの伝達がありました」
「あら、それは決定事項なの? 珍しいわね。でも、ちょっと面倒ね……」
「ええ、本日はそのようです。王太子殿下もいらしているそうですので」
「……ますます面倒ね」
王太子殿下——この国の第一王子であり、次期国王でもあるレオニス・アルベールはフェリアの婚約者だ。
「こんな茶番、いつまで続けるつもりなのかしら」
名ばかりの『婚約者』。形だけの『家族』。
愛し子ということが公になったことで、フェリアに関わる人間が増えた。
——面倒でしかないわ。
そんなもの、フェリアは必要としていない。
フェリアが大切なのは妖精たちとセレーネだけ。
それ以外は『それ以外』でしかないのだ。
「フェリアお嬢様がいらっしゃいました」
「——おお、フェリア。元気にしていたか?」
フェリアが本邸の食堂に入ると、既に全員が揃って座っていた。
当主であるルドルフが、座った状態のまま笑顔でフェリアを迎える。
「皆様、ご無沙汰しております。お待たせしてしまい申し訳ございません」
その言葉に返答せず、フェリアは挨拶のカーテシーをし、用意された席に腰を下ろした。
「ゴホンッ、元気そうで良かったよ。最近は何か変わりないか?」
「ええ、何もありませんわ」
“ねーフェリアー、これ食べてもいーい?”
「もちろんよ。みんなも気になるのがあれば好きに食べてちょうだい」
“わーい”
“ありがとう、フェリアー”
家族に見せる作りものの笑顔とは違う、柔らかい笑顔を見せながら妖精と会話をするフェリアに、家族は複雑な表情を隠せなかった。
レオニスに至っては話しかけるタイミングを失い、完全に空気と化している。
「本当に不気味ね」
宙に浮いた食べ物が少しずつ小さくなっていくのを見ながら、ボソッと呟いたのは妹のマリア。
隣に座る人物にすら聞こえるか聞こえないかの大きさで発せられたその言葉は、届いてはいけないところにだけ届いてしまっていた。
「キャッ」
突然、大きな音を立てて床に落ちたのはマリアが使っていたナイフ。
だがそのナイフは手を滑らせて落ちたのではなく——大理石で作られている床にしっかりと刺さっていた。
「な、何ですの、これ……お姉様、何かしました?」
「いいえ、何も? 貴女は、何かしたの?」
「……っ」
マリアはそれ以上何も言えなかった。この現象が妖精の仕業だと言い張れば、そこに“理由”ができてしまうのだから。
「ま、まぁまぁ。手が滑ってしまったのよね? 仕方がないわ。それよりフェリア、別邸で何か不便はない?」
「特にありませんわ」
「だけど、二人だと何かと大変でしょう? そろそろ本邸に戻って来てはどう?」
「戻る……ですか? 私は本邸で暮らしたことなどありませんが」
「っ、でも、本邸も貴女の家なのよ?」
「? 私にはその時の記憶はありませんが、幼い私を別邸に追いやったのはお母様たちでは?」
「私たちは何度も貴女を本邸に呼び戻そうとしたわ……っ、けれど」
フェリアの母であるカトレアは、何かに怯えているかのように途中で口をつぐんだ。
“フェリアー、私覚えてるよー”
“私もー”
「あら、それはいつ頃の話かしら」
“えっとねー、私たちがフェリアのこと大好きなのが知られちゃってー何かフェリアの周りがうるさくなったときからー”
「ああ、あなたたちの存在が知られた時ね」
“そうそうー”
“でもねー何かすごいやな感じだったのー”
“だから邪魔してやったんだー”
“別邸に近づけないようにね、ちょちょいってねー”
「ふふ、そうだったのね」
“今までずっと無視してたのにねー”
「フェリア、妖精たちは何を言っているんだ……?」
フェリアと妖精の会話は一見和やかに見えるが、聞こえてくるフェリアの言葉から、その内容は公爵家にとって不都合なものだと窺える。
「ふふ、大したことではありませんわ。お母様がおっしゃっていた時のことを教えてくれていたのです」
「そ、そうか……。だが、あの時の私たちは無知だったんだ。フェリアの髪色の意味も知らず、親として情けないことをしたと後悔しているよ」
シルバーグリーンの髪色は、愛し子の証。
前に愛し子が生まれたのは数百年も前だったことから、現代でその伝承を知る者がいなかったのだ。
フェリアと妖精たちの関係が発覚したことで掘り起こされた古い文献に書かれていたのが見つかり、王家と公爵家は酷く慌てたものだ。——何せ、貴重な妖精の愛し子を、実の両親が放置していたのだから。
「だけど、それはこの髪色に意味があったからこその後悔ですよね? もし意味がなければ、見向きもしなかったのでは?」
だが、そんなことフェリアには関係がなかった。
フェリアの中にあるのは、両親による「育児放棄」の事実だけ。それなのに、ある日突然手のひらを返したように親し気に声をかけられた当時は、嫌悪感すら感じていた。
「まぁ、何てことを……!」
「お姉様、ちょっと性格が歪みすぎているのではないですか?」
こてん、と疑問を返すフェリアに、カトレアとマリアは非難の声を上げる。
「お二人とも、落ち着いてください」
その時、マリアの隣に座っていたレオニスが初めて口を開いた。
「フェリアの境遇を考えたら、そんな風に思ってしまうのも仕方がないと思いませんか? 心についた傷は、そう簡単に消えるものではありませんよ」
——別に、傷なんてついていないのだけれど。
にこやかに仲裁に入るレオニスの言葉に、フェリアはつい心の中で反論してしまったが、声には出さなかった。
「フェリア、久しぶりだね。会えて嬉しいよ」
「ご無沙汰しておりますわ、殿下」
二人がこうして顔を合わせるのはもう数ヶ月ぶりになる。
レオニスは定期的にルーンベルク家を訪れているようだが、フェリアが呼ばれることは稀にしかない。
それもこれも、フェリアが最初に面会の回数を制限したためなのだが。
「ところで——今日、ヴァレンティア侯爵家の令嬢とひと悶着あったみたいだね」
「ヴァレンティア侯爵家……どなたでしょうか?」
「学園で誰かともめなかったかい?」
「——ああ、そういえばお話した方がいらっしゃいましたわ。侯爵家のご令嬢だったのですね」
髪を濡らし、フェリアに怒鳴りつけ、逃げるように去っていった令嬢。
数時間前のその出来事はフェリアの頭からすっかりと抜けていた。
「妖精たちが何かをしたというのなら、原因は向こうにあったのだろう。だが、もう少し穏便に済ませることはできなかったのかな、と思ってね」
「穏便に、と言われましても……私が気づかぬうちにこの子たちが動いていますので」
「ねー」と、妖精たちと笑い合うフェリアに、レオニスの笑顔が僅かに引きつる。
「でも、それを事前に止めることはできるだろう? 君が一言、そういうことはやめるように伝えたらいいのだから」
「何故、そのようなことを言わなければならないのですか?」
「例え相手が悪くても、慈悲の心を持つことは大切なことだと思うんだ」
「何故、自分に悪意を持つ相手に慈悲を向けなければならないのですか?」
それは、何の他意もない、素朴な疑問だった。
フェリアに悪意はない。ただただ疑問に思ったことを問うただけ。
それなのに、その疑問を向けられたレオニスの背中を嫌な汗が伝った。
「君は将来王太子妃になり、ゆくゆくは王妃になる立場なんだよ。国を愛し、民を愛さなければならない。それに……今の状態では、君の評判は下がる一方だ。引いては、公爵家や婚約者である私の評判にも繋がる。どうか、考慮してはくれないか?」
どこかぞわぞわする感覚を覚えながらも、表情に出すことなくフェリアを説得するレオニスは、王太子としての自分の役目を全うしようとしていた。
そんなレオニスの思いを知ってか知らずか、フェリアは「ふふふ」と笑みをこぼす。
「何故、私が公爵家や殿下の評判を考慮しなければならないのです? それに私の評判など、『両親に捨てられた娘』として生まれた瞬間から最底辺なのですよ? 今更気にするようなものではないですわ」
自らが置かれた不幸な境遇を笑いながら話すフェリアに、今度こそレオニスの表情が崩れた。
公爵家の面々も、俯くばかりで何も言葉を発することができない。
だが、そんなことはお構いなしにフェリアの言葉は続く。
「あ、あと——私は王太子妃にも王妃にもなりませんわ」
「な……っ、何を言っているんだ? 君は私の婚約者だろう?」
「ええ、一応今のところは? というより、書類上では、そうですわね」
その言葉の意味がすぐに理解できないのであろう。レオニスの動きが止まった。
「ふふ、だって、殿下が愛しているのはマリアでしょう? いくら私が社交に疎くたって、噂話や本邸の様子くらい拾えますわよ?」
「!?」
予想だにしていなかった言葉に、誰もが顔を上げ、目を見開く。
「え……? まさか本当に、私が気づいていないと思っていたのですか? 今も、当たり前のようにマリアの隣に座っているのに?」
“えー、こいつらばかじゃーん”
“人間たちみんな知ってるのにねー”
“ほんとほんと。それにいっつもその性悪な妹といちゃこいてるの、僕たち見てたもんねー”
「ふふふ、やだ、おかしい」
同じような表情で固まっている様子を見て、フェリアが声を上げて笑い出した。
「全部知っていましてよ? 殿下が公爵家を訪れては、マリアと二人で逢瀬を繰り返していたことも、両親がそれを容認していたことも。もちろん、妖精の力を利用するために私を婚約者に置いていることも」
「……っ! それは、」
「だからいつまでこの茶番を繰り返す気なのかしらって思っていたのですが……そろそろ、終わらせてもいいのでは? いい加減面倒ですし」
そこまで言うと、フェリアは席を立った。
「私もこの子たちも、表面上だけの愛情になびくことはありません。公爵家からの勘当でも国外追放でも、今後の対応が決まりましたらご連絡くださいな」
そうして背を向け、食堂を出ようとしたフェリアの背中に、「この役立たずが!」ルドルフによる罵倒が飛ぶ。
「ここまで育ててやった恩を忘れたのか!? 少しは家の利益になることをしないか!」
「育ててもらった記憶はありませんが」
「私はお腹を痛めて産んであげたのよ!?」
「誰も頼んでいませんが……お腹を痛めて産んだ子でも、髪色だけで捨てることができるのですね? 母の愛は卑小ですわね」
「お姉様! 可愛い妹の幸せが喜べないの!?」
「残念だけど、貴女のことを可愛いと思ったことはないわ。——もういいかしら?」
戸惑いと憤りを隠せていない家族の顔を見渡し、もう一度踵を返そうとした時、レオニスがフェリアの手首を掴んだ。
「待て! 君は……私との婚約を喜んでいたのではないのか?」
「……何故、殿下との婚約で私が喜ぶと?」
「私は王太子だ! 未来の国王だぞ!? 王妃というのは、令嬢にとって夢の地位ではないか……!」
フェリアは呆れたようにため息をついた。
「そんなものに興味はありませんわ。それよりも離してくださる? 痛いのですが」
「離さないぞ! 君が婚約を続けると言わない限……っ、うわぁ!!!」
その瞬間、フェリアの手首を掴んでいたレオニスの手の甲に、小さな雷が落ちた。
「何だこれはっ、あつい! 痛い!」
“フェリアに痛いことをするなんて私たちが許さないわっ”
“しつこい男は嫌われるんだぞー”
「あら、……あらあら、大変。殿下、早くお医者様に見せないと痕が残ってしまいますわ」
その反動でフェリアから手を離し、痛みに悶えるレオニスにフェリアは声をかける。
「何を呑気な……っ、妖精の仕業だろう!? これをすぐに治すように言え!!!」
「あら、それは無理ですわ」
「何故だ!!!」
「この子たちは、自分の気分と好いた人間のためにしか動きません。殿下はもう、この子たちの敵になってしまいましたもの」
“早く帰らないともう一発やっちゃうぞー”
“次は何する? いっそ蔓で縛っちゃう?”
「ほら、早く帰らないと、次は蔓で縛ろうかって言っておりますわ」
何でもないことのように伝えられた言葉に、レオニスは一気に青褪め、叫び声を上げながら逃げるように食堂を後にした。
「ふふ、わかってもらえて嬉しいわ。——では今度こそ失礼いたしますわね」
最後にカーテシーをし、フェリアは別邸へと戻っていくのだった。残された家族の顔を、一瞥もしないまま。
*
「お嬢様、王太子殿下との婚約は無事白紙になりました」
数日後、あの騒動の後も変わりのない日常を送っていたフェリアの元に、王城より報せが届いた。
「あら、早かったわね。でも婚約破棄や解消ではなく、白紙なのね?」
「その方がいろいろと都合が良かったのかと」
「ふふ、まぁ、そうね。それで? 私の処遇は?」
仮にも王太子殿下にあれだけのことをしたのだ。いくら世論を気にしないフェリアでも、何かしらの罰が与えられるだろうと思っていた。
「特にございません」
「何もないの?」
「ええ、何も。むしろ王太子殿下が、廃太子となりました」
「……まぁ」
妖精の愛し子と婚約を結んでおきながら、その妹と心を通わせてしまった不誠実者。
その上、妖精の怒りを消えない傷痕として手の甲に刻まれてしまったことで、次期国王への道は途絶えてしまった。
一連の騒動が社交界にも広がったことでマリアへの縁談話はすべて無くなり、ルーンベルク家は領地を半分没収された上で伯爵位への降格が決まった。
フェリアへも叙爵の打診があったが、丁重にお断りしている。
「殿下に関してはわかるけど、ルーンベルク家に関しては今更じゃない? 私が捨てられたことは周知されていたのだし」
「きっと上手いこと言っていたんでしょうね。地位だけは高かったですし」
“あっちの奴ら、すっごく暗い顔してるよー”
“僕これ知ってる! ざまぁって言うんだよー”
ふふふ、と笑い合いながら、今日も穏やかな時間が過ぎる。
「せっかくだから勘当されちゃっても良かったのだけれどね。まぁ、そのうち気ままに旅をするのもいいわね」
“旅するのー?”
“楽しそー”
「その時は、いろいろ手助けしてくれる?」
“もちろんだよー”
「お嬢様、その際には私もご同行いたしますので」
「あら、それは心強いわ。私も自分でできることを探さないとね」
家族の愛には恵まれなかったが、それ以上の愛に包まれた少女。
今はまだ“妖精の愛し子”でしかないフェリアが、自らの意志で切り拓いていく未来はどんなものになるのか。——それはまた、別のお話である。
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