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大魔法使い リリカ

 「依頼も完了!あとは大魔法使いの塔へ行くだけだね!」


 「そうだな・・。・・大魔法使いの塔ってここからどのくらいなんだ?」


 アレンが不思議そうに私を見つめてきた。・・そんな見つめられたって何も出てこないよ?でもそんなこと聞かれても正確な数字は出せない。私は宝石を取り出し方向を示させた。さっきからちょくちょく出しているけど、不良品なのかなんなのか、すぐに矢印が消えて地面へと宝石が落ちる。

 また魔力を込めると数分は道案内をしてくれるので、それをずっと繰り返している。


 「これについて行くしかないから、正確な数字は無理だけど、だいたい一時間ぐらいかな?」


 「・・・・意外と近いんだな」


 そう。ここから大魔法使いの塔までは案外近い。たまたま依頼の場所が大魔法使いの塔付近で良かった。

 ・・近いということは別れも近い。大魔法使いの塔へ着いたらアレンとはお別れだ。それに着いたら私が大魔法使いだってことがばれる。・・別に嘘をついていたわけじゃないけど・・・なんか。

 別れを惜しむ心が出てきて私は焦ったのか何なのかは分からないがポツリと呟く。


 「ねぇアレン。これは私の独り言だから、答えても、答えなくても、どちらでもいいんだけどね・・」


 「・・・うん」


 あ。一応答えてくれた。


 「私って魔法が嫌いに見える?」


 正直どっちを答えても私は気にしない。ただ別れがもうすぐって分かっているからこの質問の答えがどっちでもいいのだ。

 ・・・魔法は私にとって捨ててしまいたいほど嫌いなものだ。魔法なんかの才能があったせいで私は私ではいられなくなった。私は苦しめられた。だから魔法は憎くて仕方がない。私は魔法が嫌いだってそう思い続けていた。


 ーーーだけどそうじゃないのかなとも思ったりする。緊急時には魔法を使うし、魔法の知識だって役に立ってて本当に私って魔法が嫌いなのかなって。本当に嫌いなのは私を苦しめた地位なのかなって・・


 分からなくなる。それに私が本当に魔法が嫌いなら、結局良い面だけをいいように使って、悪い面のしがらみからは逃げようとして・・それって私の家族と同じなのかなって思った。


 私の家族も私の力だけを見て、私の内面は見なかった。私はそれと同じことをしている。嫌いになりきれないのはそれが理由かもしれない。良い面だけを私が使いたがってるから嫌いになれないんだ。


 私の目にはだんだんと涙があふれてきた。


 「・・分からない」


 「え?」

 

 私はその答えに驚いた。だって・・魔法が好きに見えるって答えるんだと思ってた。

 

 「分からないよ。俺だってそうだ。剣が嫌で魔法に逃げた。剣なんて憎い、捨ててしまいたいと思うけど。父さんから誕生日プレゼントに貰った剣は今でも持っている。俺だって剣を嫌いになり切れてないんだ。リリカだって同じだろ?魔法を嫌いになりたくても嫌いになり切れない。いい面だって知っているから。だから・・・嫌いにならなくてもいいんじゃないか?好きでいても」


 「だって、それじゃああの人たちと同じ。いい面だけ使って悪い面は見ないふり。それじゃあダメなんだよ。何事にも対価は必要なんだよ。力があれば、その対価は責任だ。それだけ見ないふりをするんて・・」

 

 卑怯だ・・そう言いたかった。でも言ったらアレンも卑怯者と言ってしまうことになる。アレンは・・・卑怯者なんかじゃない・・だから私はこの言葉を飲み込んだ。


 「・・・それを聞くってことはリリカが大魔法使いだからか?」


 「・・・!」


 二度目の驚きである。まさかばれていたとは・・えっ私何を間違った!?大魔法使いってバレるようなことしてないよね!??


 「いや・・やけに大魔法使いに詳しい・・・とは思っていたんだ。だからその・・・依頼完了の時に・・聞いた」


 ・・・なら知られたのはついさっきか。そう言えば魔法省とかに口止めしてなかったかも・・あーもう!そういうところが甘いのが私の欠点よね・・


 「そう・・だよ。私は白の大魔法使い。リリカ。」


 「・・・・」


 「・・・私ね魔法とか天才とかっていう言葉嫌いだった。大魔法使いなんてやめてやると思ってここまで来た。でもアレンと出会って魔法って人を笑顔にさせることもあるんだって思えて・・だから私・・やっぱり魔法が好き。アレンのおかげ・・」

 

 「そうか・・なら良かった。魔法を好きだと言ってもらえて」


 「ねぇアレン。私大魔法使いやっぱやめない。・・だからさっ!私がもっともっと魔法を好きになれるようにアレンが魔法を私に教えて!」


 「・・分かりました。お嬢様?」


 アレンは揶揄うように、私の手の甲に口づけをしてきた。こういうことに慣れていない私はキャパオーバーである。リリカ瀕死である。


 「もうっ!揶揄わないで!ーーまぁだからさアレン先生!これからもよろしくね」

 

 私はさっきの仕返しにニヤリと口角をあげた。先生呼び・・さっきのお嬢様と同等なダメージのはずだ。


 「こちらこそ」


 「じゃあ行こう」


 そう言って私とアレンは足を進め始めた、

これで『天才魔法使いはもういない』完結です。

つまらない話だったとは思いますが読んでくれた方々ありがとうございました!m(__)m

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