魔法使いの依頼part4
「さて・・聞き込みをした結果だけど・・」
「・・・・結構危ない人かもな。レフラさん」
・・・そう。レフラさんについて近隣住民に聞き込みをしたところ良くない噂が集まった。『過去は暴力団に所属していた』『レフラさんは過去魔法で子供に怪我をさせたことがある』『夜中に図体のでかい男たちと話していた』などなどを聞いた。
私は数時間前まで話していたレフラさんを思い出すが、とてもじゃないが同一人物だとは思えない。私の印象の中のレフラさんはおっとりとした華のような人だった。でも聞き込みをしたレフラさん像は一言で言えばそう・・ヤンキーだ。
魔法使いだし、武闘派だし・・只者じゃない。
それにフィニックさんとレフラさんが結婚するなんてありえないって言っている人もいた。もしかしたら・・本当にもしかしたらだけど・・
「アレン・・これって・・・」
「・・多分リリカの考えている通りだと思うよ」
私たちは顔を見合わせた後、レフラさんの家へと向かった。
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私たちはレフラさんの家にたどり着くと、レフラさんに杖を向けた。私もアレンもすぐに魔法を放てる状態だ。
「・・・!・・何の・・つもりですか?」
いつものレフラさんとは違い冷たい目をしていた。こっちが本性かな?
「別に。ただ確認したいことがあって」
私はそう言うとフィニックさんのいる部屋の扉を壊した。中からはフィニックさんが驚いてこちらを見ている。アレンはフィニックさんお見ると、近くへ行き解毒剤を飲ませた。結論から言えばフィニックさんは精神系の魔法に侵されていたのだ。
「!何してんのよあなた達!!」
レフラさんは急いでフィニックさんの元に行こうとしていたがそれを私が制止した。
「・・・フィニックさんの治療よ。それにあなたの方が何してるの?フィニックさんを精神魔法で操り人形にするなんて・・・」
「・・・フィニックを手に入れるにはこうするしかなかったのよ!だってフィニック振り向いてくれないし。でも魔法を使えばフィニックは私のものなの!邪魔しないで!」
レフラさんは感情に任せ炎の魔法を使ってきた。
(まずい!家の中で使われれば火事になる。急いで魔法を・・)
”素晴らしい結界魔法だ。これで我が国も安泰ですな・・ハハハ”
あ・・。私は展開しようとしていた魔法を止めた。だって魔法を使わないって・・魔法は・・えっと。でも使わなきゃ私怪我しちゃう・・でも。
私は急に頭がパニック状態になり杖を手放してしまった。もう目の前には火の玉が来ている。どうしたら・・えっと。
「リリカ!!!」
「えっ」
私に火は当たらず、目の前には葉っぱの結界のようなものがあった。ようなと言ったのは少しずつ葉っぱが燃えているからだ。多分燃えにくい植物を結界代わりにしたんだと思う。さすが植物専門の魔法使い。
「アレン!ごめん、ありがとう!」
私は深呼吸をして前を向く。フレアさんはもう拘束してあり、アレンは心配そうにこちらを見ていた。
「・・・大丈夫か?リリカ・・・」
「あ、うん!大丈夫だよ!」
そう言うとアレンはまだ不安そうな表情を残したままフィニックさんの介抱をしていた。フィニックさんはというと症状は少し和らぎ、今は寝息を立てている。・・よかった、無事そうで。
ーーーその後フレアさんは魔法省の者に拘束されていった。
これは後日フィニックさんに聞いて話だが、フィニックさんは借金取りに追われていたところ、フレアさんの暴力団に助けられたそうだ。なんでもフレアさんがフィニックさんに一目ぼれして。最初は助けたことを理由に絡まれていたそうだが、断り続けていたある日からパタリと記憶が無くなっていたそうだ。これまでの生活もどこかぼんやりとした記憶しかないようで・・・。恐らくだが、このタイミングで精神魔法を使われたんだろう。気の毒なこった。
フレアさんは現在魔法省の地下牢にて禁錮二十年の刑が言い渡されている。精神系の魔法による罪は重いのだ。・・・それと、フレアさんが魔法省に依頼した理由は、精神魔法を強くかけすぎてしまったので一度解除したかったそうだ。魔法省から来た魔法使いには帰り際精神魔法をかけるつもりで。
・・・なんというか人騒がせな事件だなとは思った。・・・愛とはこんなにも人を変えるものなのか。
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「依頼完了の使い魔は送れた?」
「あぁ・・・。手伝ってくれてありがとう。リリカ」
「どういたしまして!」
私はそう言って前を進むアレンの隣に立った。
頑張って完結にはする予定です。(更新は遅いかもしれませんが)