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謀略編・第三十五話

 謀略編・第三十五話、更新します。


 今回は加賀と近江が舞台になります。

永禄五年(1562年)六月、加賀国、鬼一――



 俺の名は鬼一、年は十五。いかにも百姓な名前は捨てた。

 ガキの頃から、村じゃあ喧嘩すれば連戦連勝の負け知らず。腕っぷしではどんな相手だろうと勝つ自信がある。

 だから俺は武士になって、上にのし上ってやろうと村を出たんだ。

 幼馴染の夕に『侍になったら迎えに来るからな』と約束して。

 

 そしてやって来たのは金沢城。ここではいつでも兵を募集していると聞いたし、俸禄も年に五貫文貰えるから、食いっ逸れも無いなと決めた。

 本当ならどこかお偉いさんに直談判して、腕っぷしの強さを認めて貰って……そんな事を考えていたんだが、門前払いを食らっちまったんだ。


 『文字の読み書きは出来るか?他所の御家はどうか知らんが、加賀武田家に仕える侍は例外なく読み書きができる事が条件だぞ?上に上がれば上がるほど、書や文を読む事が増えてくるからな』

 ……知らんかった。そんな話、初めて聞いたぞ。

 そんな俺を見かねたのか、話を聞いてくれた殿様――小畠様が常備兵を紹介して下さったんだ。

 文字の読み書きも覚えたければ教えてくれる。常備兵になって暮らしが落ち着いたら、上役に相談すればよい、と。

 後から教えて貰ったんだが、殿様も俺と同じで百姓出身らしい。文字の読み書きとかも必死で覚えて、手柄も挙げてやっと今の地位にまで辿り着けたとか。

 こう言っちゃあ失礼かもしれんが、殿様に出来て俺に出来ねえ訳はない!

 やってやろうじゃねえか!一年で足軽大将にまで上り詰めてやる!

 

 ……そう、思っていた頃(三日前)が俺にもありました……


 「よう、気づいたか」

 「……あ……俺、落ちてました?」

 「おう。見ている方が『あ、気絶したな』と一発で分かったぞ」

 気絶していた俺の全身に水をぶっかけて目を覚まさせたのは、俺の上役である小物頭の甚兵衛様だ。

 歳は二十半ば。遠江の出身で、そこで常備兵に志願。本当なら一個上の物頭に出世できるそうなんだが、上が詰まり過ぎていて出世できないらしい。

 甚兵衛様としては『上がれない分、俸禄は手当として余分に貰えてるし、面倒な御役目を押し付けられないから、その分は楽かもな』と笑っていたんだけど。

 どうやら加賀は討ち死にする兵が少ないから、そういう意味では上に上がるのは厳しい面もあるみたいだ。

 ……まあ死ぬよりはマシか。


 「甚兵衛様。水ぶっかけるのは良いんですが、何で全身なんですか?」

 「気を失うとな、たまに漏らす奴がいるんだよ。そうなると笑い者になるだろう?だから漏らしていようがなかろうが、関係なく全身水浸しにしてんだよ。嫌なら気絶しないように強くなれ。冬になる前にな」

 「……頑張ります」

 マジで死活問題だ。

 良い齢こいて小便漏らしたら、間違いなく笑い者だ。そんな奴、絶対に武士として雇われる訳が無い。

 

 「けど初めて気絶したのが、うちに来て三日目ならマシじゃないっすかね?」

 「だな。俺もお前も初日だったしな」

 そう笑いながら話してくれたのは、小物の茂吉さんと田助さんの二人だ。

 二人は加賀出身。加賀が武田家の支配になった頃に、食っていく為に常備兵に志願したと教えてくれた。

 賊になるぐらいなら、常備兵になって食わせて貰おう。そうしたら適当な所で逃げちまえば良いさ、と。

 以来、門番として御役目に就いていたそうなんだが、色々あって上に上がりたいと考えて門番からこちらに移りたいと願ったそうだ。以来、賊退治で初陣を挙げて今に至るのだ、と。


 「鬼一、お前はまず盾の使い方を身につけるんだ。お前の役目は囮役だ。だから相手の攻撃を食らわない事を第一に考えろ。片手槍は相手の注意を引き付ける程度で良い」

 「うっす!」

 「茂吉と田助は、槍の突き込みを磨け。鬼一が囮になっている間に、左右に分かれて同時に攻撃。茂吉は顔めがけて振り下ろし、田助は胴を狙って突き込む。そんな感じで別々の場所を、違う攻撃方法で狙う事が出来れば最良だ」

 「「応!」」

 甚兵衛様の指摘に、二人が気合の入った返事を返した。

 囮役は、最も下っ端の役目なのだそうだ。

 と言うのも、戦の経験が少ないと敵兵を殺す事を躊躇う場合がある。だから攻撃役を任せる事は出来ないのだ、と。

 確かに俺は喧嘩は強い。でも人を殺した経験はない。

 そう言われちまうと、腕っぷしの強さを示して攻撃役をやらせてくれ、とは言えなくなっちまった。


 「ただ鬼一、お前は力が強いからな。少し重くなるが、腕や足を守る防具を身に着けさせるのも良いかもしれんな」

 「あるんですか!?」

 「使う奴は少ないけどな。竹とか木で作った、使い捨ての防具があるんだよ。見た目が悪いからと使う奴は少ないんだが、死ぬよりマシだろ?俺だって囮役の頃は、使っていたもんだ」

 甚兵衛さんも使っていたのか。だから生き残れた、って事か?

 それなら使ってみるのも有りかもな。死ぬよりはマシ。確かにそうだ。


 「そういえば分からない事があるんですけど、もし俺が死んだ場合、誰が囮役を務めるんですか?」

 「そりゃ田助だ」

 「そういう事だ。兵には序列が決まってる。その序列に従って動くんだよ」

 ということは一番上が甚兵衛さん、二番目が茂吉さん、三番目が田助さん、一番下が俺なのか。逆に言うなら一番下の奴が囮役。だからその俺が死んだら、次に一番下になる田助さんが囮役になる、と。

 序列に従え。まあ戦の最中で『お前が囮やれよ』って押し付け合ってたら、戦どころじゃないもんな。当たり前といえば当たり前か。

 

 「じゃあ甚兵衛様の役割は何ですか?」

 「俺は周囲の監視とお前達への指示。あとは必要に応じて行動。ま、試しにやってみるとするか。鬼一、お前は敵役だ。自分を守っていればよい。茂吉と田助は鬼一を攻撃だ」

 練習用の槍――棒の先端に、丸めた布をつけた物――を突き込んでくる二人。それを盾と片手槍でいなしていく。

 今、気づいたけど片手槍って軽いから、相手の攻撃を弾く程度なら出来るんだな。重くて振りが遅れる事も無いし。

 そんな事を考えていたら、甚兵衛様が声を張り上げた。

 

 「田助!右から槍!」

 「応!」

 田助さんが後ろに飛び退った。

 これは田助さんを狙って槍が突き込まれた、という感じか?

 だがこれは好機だ。

 田助さんが後ろへ飛び退ったのは好機。片手槍で反撃に出る!

 

 「茂吉!弓だ!下がれ!」

 「応!」

 後ろへ飛び退る茂吉さん。その前に盾を構えた甚兵衛様が割って入る。


 「田助、前に出ろ!茂吉、一拍遅れて振り下ろし!」

 「「応!」」

 田助さんの槍が突き込まれ、それを片手槍で弾く。

 この後で茂吉さんが来るんだ。それに盾を使う。

 振り下ろされた槍を盾で受け止め――右の脇腹に鈍い衝撃。


 「……え?」

 「こんな感じだな。同時に挟み込まれるように攻撃されると厄介だろう?」

 甚兵衛様が茂吉さんと同時に突き込んできていた?

 いや、確かに脇腹には甚兵衛様の練習槍が突き付けられている。

 間違いなく実戦だったら……冷や汗が流れ落ちる。


 「小物頭はこういう御役目なんだ。常に周りに注意を払い、お前達を守る事。それが出来て初めて、本物の小物頭なんだ。ただ腕っぷしが強いだけじゃあ、駄目なんだよ」

 「……じゃあ、強いだけじゃあ上には上がれない?」

 「だな。ただそういう奴にはそういう奴用の出世方法もある。武田家で秋にやっている武芸大会で名を挙げれば、いきなり足軽大将だしな。そういう御方達は、自分一人だけの強さを磨いている、とは聞いている。ただそういう御方は『剣豪』みたいに呼ばれているほどの実力者だ」

 腕っぷしに自信はあるけど、さすがに剣豪に勝てるほど自惚れちゃあいない。

 ここに来てから三日。だが、徹底的に叩きのめされて、自分が思いあがっていた事を思い知らされたからだ。

 俺が強いのは、あくまでも村の中だけだったんだ。


 「良いか?お前一人で強くなる必要は無いんだ。武田家は手柄は皆で共有するというのが決まりなんだ。だから手柄を挙げようと遮二無二突撃なんて真似はするんじゃないぞ」

 「わ、分かりました!」

 「よし。ならこれから半刻。俺が攻撃するから、鬼一はひたすらそれを凌ぐんだ。茂吉と田助は互いに槍で戦え」

 それから半刻。

 終わった頃には、俺は両肩で息をしながら地面に倒れていた。

 本気で厳しい。怪我はしないと分かっているんだが、体中が練習槍で突かれて痛みが走っている。

 俺、今日だけで何回死んだんだ?


 「やっぱり体作りがまだまだだな。鬼一、お前、何を失敗したか分かるか?」

 「わ、分かんねえ……です……」

 「常に全力を出し過ぎだ。お前も村にいた頃は畑を耕していただろう?いつも全力で鍬を振るっていたか?いないだろ?」

 そういえば……俺、何とか守ろうとして、全身に力を込めて必死になってたな。

 ということは、どこかで適当に力を抜け、って事か?殺し合いの場で?

 でも、さっきの畑の話。あれって、そういう事だよなあ?


 「例えば、だ。俺の攻撃を盾で防いだ時を思い出せ。そんなに衝撃を感じなかっただろう?何故か分かるか?」

 「……ひょっとして、力を抜いていた、とか?」

 「そういう事だ。ただ早いだけの手抜きの攻撃だ。それを囮にして、盾で守り切れない場所に力を込めて突いたんだよ」

 ……ずるいなあ。まだ三日目の素人相手に、そこまでやるのかよ……道理で脛とか徹底的に狙われていた訳だ。

 いや、言いたい事は分かるんだけど。でも、どうすりゃ良いんだ?


 「全力で守ろうとする。これは正しい。でも力の使い所を間違えるな。必要な時に必要なだけ使えるようになれ。そうしないと長丁場になった時、体力が尽きて命を落とす事になるぞ?」

 「うっす……」

 「あとは体作りだな。常備兵には中食が出る。全て食らって血肉にするんだ。鍛錬と飯、両方続けていれば、必ず戦で生き残れる」

 中食、か。何か腹が空いてきたな。そろそろ中食の頃合いだと思うんだけど、まだか?

 とりあえず体を起こさないと。同時に、腹の虫が鳴る。

 あまりにも息の合った腹の虫に、甚兵衛様が大笑いした。


 「しっかり食っておけよ。そうしたら、またしごいてやる。戦場で命を落とさない為にな」

 「……出陣が近いんですか?」

 「口にすんじゃねえぞ?これでも伝手は多いんでな」

 こう言っちゃあなんだけど、甚兵衛様は小物頭だ。本当なら一つ上の物頭でもおかしくないけど、それでも今は小物頭に過ぎない。

 なのに出陣の話を聞いているって、甚兵衛様、本当にすげえな。

 もうすぐ出陣。そんな噂が広まったら、逃げ出す奴だって出てくるだろうに。それでも教えて貰えるなんて。


 「何度も言うが、初陣のお前に必要なのは俺達三人を信じる事だ。お前が敵の攻撃を凌いでいれば、田助と茂吉が相手を倒してくれる。何かあれば、俺が割って入る。難しい事を考える必要は無い」

 「は、はい!」

 「それにな。基本的に敵兵は俺達と違って百姓兵だ。俺達のように毎日、戦場で生き延びる為の鍛錬を繰り返している訳じゃない。油断さえしなければ、何とかなる」

 そういう物なのか?でも、相手が百姓兵というのは分かる。

 親父から『武田家が加賀に来る前は、戦になると無理矢理男は戦場に連れ出されたもんだ』と聞いた事があるからな。

 加賀は一向宗の支配する国だった。だから門徒は率先して戦場に出ていたそうだけど、他の宗派を信じている百姓は無理矢理、戦場に連れていかれたそうだ。


 『仏様に逆らうのか?と槍を突き付けられて戦場に連れ出される、百姓が支配する加賀国。戦場に出たく無ければ出なくて良い、と言われる御侍様の支配する加賀国。どっちが暮らしやすいのか?まあ言うまでもないな』

 俺が家を出る前の日に、俺を止めるのを諦めてくれた親父の言葉だ。

 親父は戦場に出るな。静かに田畑で暮らしていけ。そうすれば、安心して暮らしていけるんだ、と言いたかったんだろうな。

 今ほど、親父の言葉を有難いと思った事は無い。だって、他国の兵が百姓兵だという話が嘘じゃあない、って納得できるからな。

 それなら、俺は生き残るために強くなる。そうすれば、いつか上に上がれるんだ!


 「甚兵衛様、俺、頑張ります!」

 「良い事だ。俺の経験上、本当に危ない時に生き残る事が出来た奴は、諦めなかった奴だけだ。死ねない、生きたい、そう思える理由がある奴は生き延びれる。そういう理由も探しておくんだ」

 「任せて下さい!そういう理由ならあります!幼馴染の夕に、出世したら迎えに行くって約束してるんですよ!」

 「そうか!なら頑張れ!」

 甚兵衛様は良い人だ。俺の理由を笑い飛ばしたりしない。

 しっかり稽古もつけてくれるし、俺、良い上役に恵まれたのかもな。

 

 

永禄五年(1562年)六月、近江国、観音寺城、六角承禎――



 「……それは真か?」

 「はは。右衛門督様は、ここ五日ほど臥せっておられるようで御座います。酒の量は変わりませぬが、食は落ちている、との事。厠などは自力で歩いて向かわれますので、病と言う事は考えられませぬ。恐らくは気鬱の病ではないかと」

 「そうか……」

 思わず、天を仰いでしまった。

 気鬱の病。それは分からなくもない。食が落ちているのに酒は変わらぬ。つまりは酒で憂さを晴らしている、という事だろう。

 狭い部屋に閉じ込められているのだ。酒だけが唯一の楽しみ。そう考えれば、分からんでも無いのだが。


 視線を部屋の外へと向ける。

 紫陽花の葉の上に、一匹の蝸牛が姿を見せていた。

 あれでは鴉か何かに啄まれそうだな。だが死の対価として得られる自由。今の右衛門督の状況と比べると、どちらが幸せなのだろうな……


 「……対馬守(三雲賢持)」

 「ははっ」

 「右衛門督には望むだけ飲ませてやってくれ。酒毒で死ぬ方が幸せかもしれん」

 対馬守が用意している毒は苦しむ事の無い毒だと聞いている。

 だが体が弱っていく事に違いはない。その事に気づいた時、右衛門督は死の恐怖に囚われてしまうだろう。

 なら正気を失うぐらい、酒に溺れている方が幸せかもしれん。


 「話は変わるが、領内の様子に変化はあったか?」

 「今の所は御座いませぬ。次郎様が当主代行をお勤めになられている事に対しても、城下から不満や不安の声は上がっておりませぬ」

 「そうか。それは唯一の救いよな。これで次郎が年若い事を理由に不安を抱かれておれば次郎の治政に悪い影響が出る事になる」

 次郎の治政に必要なのは、次郎様なら安心だ、という思いだ。

 次郎は真面目な性格だが、それは次郎と接した事のある者しか知らぬ話。城下の民草や、観音寺城にはあまり来ない国人衆にとっては、次郎と言う存在は噂で聞いた、程度の存在なのだ。

 だからこそ、悪い評判が無いのなら、それは御の字と言うべき事。ただ、後見人としてはそこに上積みしてやりたい所だ。


 「……こういう形で返ってくるとはな。今更だが、こうなると分かっていれば梅を次郎の側室にするという方法もあったのだが……」

 「御隠居様の目論見は理解出来ます。次郎様と六宿老の繋がりが強ければ強いほど、国人衆達は次郎様を頼り甲斐があると考えましょう」

 「そういう事だ。そこから民にも波及していく……」

 次郎と六宿老の繋がりを強くする事。

 これは絶対に必須であろうな。今は六宿老の次郎に対する期待は大きい。だからこそ六宿老は次郎を次期当主として認めているのだ。

 だが次郎には不安要素もある。


 「次郎の戦の才は未知数。初陣すらまだなのだから、これは仕方ない。だが、仮に戦の才が無かったと分かった時、国人衆や民は不安を抱くであろうな。六角家が所領を増やす、という点において難を抱えている、という点もある。となれば、戦を望む者達にとっては、次郎が当主であるのは都合が悪いと考えるであろう」

 「御隠居様、六宿老は次郎様をお守り致します」

 「儂も其方達の忠誠を疑った事など無い。其方達を疑うぐらいなら、腹を切った方がマシと言う物。だが次郎の治政を安定させる為には、手を打っておくべきなのも事実」

 次郎に不安があっても、それでも忠誠を誓うべき。そう考えさせれば良いのだ。

 次郎は六宿老を粗略にせず、六宿老は次郎を支える。

 それが理想。儂が常日頃からそれを口にするのも手だが、人と言うのは実際に見た事を強く信じる物だ。


 「やはり六宿老から側室を迎えるべきであろうな。それが傍から見ても、繋がりの強さを理解させる。本来なら正室が良いのだろうが、武田家との繋がりを疎かにする訳にはゆかんのだ」

 「心得ております」

 ふと庭に目を向ける。

 どうやら雨は上がったようだ。西の空が明るい。

 まるで梅雨が明けたかのようだ。


 「……少々早いが、梅雨が明けるのかもしれんな……長い、長い梅雨であった……次郎の治世は梅雨明けのように明るい物となるだろうな」

 「!……仰せの通りに御座います」

 西日が眩しい。そう、眩しいだけなのだ。

 眩しいから、夕陽をしっかり見られないのだ。

 次郎の治世は明るいのだ。そう思えば思うほど、視界がぼやけていく。


 「御隠居様、某は御役目がある為、失礼させて戴きます」

 儂は返事も出来ず、ただ右手を上げる事しか出来なかった。

 対馬守も人なのだ。儂に対して、思う所は有るだろう。

 だが、その事を表に出す事もせず、儂を気遣って役目を口実にして退室してくれた。

 そのように気遣いの出来る家臣が次郎を支えてくれる。これほど、当主として幸せな事は無いだろう。


 だから、この熱い物は喜び故の物なのだ。

 決して悲しみ故ではない。

 儂は、六角家の明るい未来を信じる事が出来る果報者なのだ……ただ、儂には義務がある。

 儂の愚かさ。儂の罪。それを次郎に背負わせる訳にはいかぬのだから。

 今回もお読み下さり、ありがとうございます。


 まずは加賀国。一般兵視点より。


 【文字の読み書き】

 足軽大将以上は、必須とされてます。

 情報の齟齬とか起こさない為に、という感じですかね?文字が無かったばかりに、衰退してしまったケルト民族という実例もありますし。

 勿論、拒む奴らもおりますが、まあ碌な結果にはなりません。

 

 【殿様】

 ちょい役で出演の三郎太君。孤児出身者としては出世頭ツートップの一人なので、代名詞的に扱われてます。

 ツートップのもう一人は風の長次郎君。

 藤吉郎は孤児ではないので……


 【甚兵衛】

 現状小物頭。ただ本当なら物頭になっていてもおかしくない実績持ち。

 他国への異動を受け入れていれば物頭になっていたんですけど、それを選ばずに加賀にまでついてきた人。

 あと上に対するコネもそれなりにあります。なので情報が回ってくる事も、と言う感じ。


 【茂吉&田助】

 祝・名付けw

 この二人、杉谷善住坊が暗殺に加賀へ来た時、対応していた門番二人組です。

 

 【常備兵の装備】

 火部隊と違って、盾・槍・弓を満遍なく扱う事が求められます。とは言っても習熟するには時間が必要なので、古参兵から随時、教わる感じです。


 【常備兵の戦術】

 囮役タンクに敵兵が注意を向けた所に、攻撃役アタッカーが二人で仕留める。指揮官(小物頭)は部下三名を指揮しつつ、遊撃役として色々な状況に対応する事が求められます。

 新兵が囮役を務めるのは、いきなり攻撃役を任せると、いざと言う時に敵を殺す事を躊躇う者も出て来る為。なので最初は攻撃される恐怖を覚えさせ、やらなきゃやられると理解させる。そして道徳的感情を切り離して行動出来るようにする為の下地作りも兼ねてます。

 囮も満足に務められないようでは役に立たん、という篩の役目もありますがw


 【常備兵の防具】

 陣笠・腹巻。要は最小限度の防具。

 安いと言っても数が数なので、ねえ?

 あと囮を活用した四人一組の小隊戦術を徹底しているので、囮役を固めておけば四人小隊での生存率を向上させつつ、経費を抑える、という事も可能。竹とか木で作った使い捨ての防具、なんかはゲーム的にはオプション装備みたいな感じです。

 ここら辺はゲーム知識の活用です。

 ただこれも、最初の頃からこうではありませんでした。戦いを経験するうちに、主人公が『こうしてみたらどうだ?』『では試しに』と言う感じで、徐々に錬磨されてる感じです。


 【死亡フラグ】

 歴史は大変古く、古代ギリシア時代にまで遡る様式美?

 神の子→波乱万丈→死亡、というのが御約束だったらしいです。

 ヘラクレス・アキレウスは有名ですね。


 でも鬼一君も甚兵衛君も、死亡フラグなんて知りませんw

 

 次は近江国が舞台。六角承禎視点より。


 【義治君に異常発生?】

 食が進まず、酒は増え、横になる。あと書いてはいませんが、暴れている回数も減少してます。

 まあ気落ちしている、と判断するのは普通ですね。


 【せめて酒だけは】

 酒毒で体壊せば、毒殺の必要は無いですしね。

 父親としては、まだこちらの方が……という感じ。


 【領内の評判】

 前が悪すぎたので、相対的に『まあ良いんじゃないの?』という感じ。ただ詳しい事を何も知らないので、今後の行動次第でいかようにも変化します。


 【次郎君の治世安定化】

 実績0、初陣まだ。この状況で求心力を保つなら、重臣との関係強化につきます。

 なので早くも側室検討中。


 【三雲賢持】

 かなり出来た方です。

 何というか、憎しみを昇華して一皮剥けた感じ。

 あとは息子を死に追いやろうとしている承禎さんの姿が、自分と亡父に被ったのかもしれませんが。

 史実だとアッサリ死んじゃってるんですけどねw


 それでは、また次回も宜しくお願い致します。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] やっぱり 鬼一― は気になりますね。鬼一 ―ー の方が見やすい。
2022/04/17 21:11 退会済み
管理
[気になる点] 義治君はどんな拙い悪巧みをしておるのやら
2022/04/07 15:43 退会済み
管理
[一言] 六角家はどうなるやら?わくわくww
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