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謀略編・第二十一話

 謀略編・第二十一話、更新します。


 今回は加賀が舞台。ただ謀略要素はありません。

 加賀の評定兼、組織再編に伴う人事昇進の話です。

永禄五年(1562年)三月、加賀国、金沢城、ゆき――



 「これより新年の評定を執り行う。並びに加賀武田家の新しい体制についても発表していく。心して聞くように」

 皆々様方が『はっ』と応じられた。

 雪解け後に行われる恒例の評定であるが、誰一人として欠席して……いえ、先年に竹中殿が亡くなられておりました。長治郎(風祭為好)殿も未だに御役目の為に関東へ向かったまま。

 見知った顔が少ないというのは、やはり物足りなさを感じます。


 「まず越中に築城中の新城についてからだ。飛騨から越中への街道を出た所に造っている瑞泉寺跡地に建てた井波城と周辺領地三万石。この地を与力家老小畠孫次郎昌盛、其方に任せる。この事は越前の大御屋形様の御許可も戴いている。周辺の鉢伏山、井口城等もあるが、この地は平野部も多い。街道の守護は骨が折れるだろうが、飛騨へ敵が雪崩れ込まぬよう対応してくれ」

 「有難き幸せに御座います!」

 「飛騨寄りである以上、もし敵襲を受けた場合、こちらの援軍が到着するまで時間が必要になる。必要とあれば、飛騨へ救援を求めても構わん。これについては真田弾正(真田幸隆)殿にも話を通してある。難しい役目ではあるが、しっかり守ってくれ」

 孫次郎(小畠昌盛)様は満面の笑みを浮かべておられました。ついに手に入れた城主の座。二郎様が仰る通り、守るのは大変な地で御座います。相当な難業となりますが、それでも孫次郎様以外に託せる者がいないのでしょう。

 だが難しい御役目を与えられるという事は、それだけ信用されている、実力を認められている事の裏返しでも御座います。

 相談役を務められている、先代軍配者の山城守(小畠虎盛)様も満足そうに頷かれております。


 「次に加賀と越中を結ぶ街道を出た所に造っている安養寺御坊跡地の安養寺城と周辺領地一万石。この地を柴田権六勝家、其方に任せる。背後には高木御坊跡地、土山御坊跡地等もある。其方の家臣を上手く使い、加賀への敵の侵入を防いで見せよ」

 「必ずやご期待に応えてみせます!」

 「ただし、今挙げた二つの城は未完成だ。完成は夏の予定になる。故に、城が出来上がり次第、赴任して貰う事になる。それまでは今まで通りに頼む」

 「「仰せのままに」」

 「代わりに、藤吉郎に命じてある程度は内政を進めさせておく」

 藤吉郎殿の内政家としての評判は、加賀武田家どころか本家でも評価されつつあるほど評判で御座います。一部では学び舎で藤吉郎殿に教えさせるべきだという話も出ているとも聞きました。言い出したのは三河の松平(松平晴康)殿らしいのだが、そうなると忠勝(本多忠勝)殿が関わっているのかもしれませんね。藤吉郎殿が忠勝殿と文を交わしているのは誰もが知っている事ですから。

 学び舎から羽ばたくまであと少し。今後は三河国を栄えさせる為に、色々な御役目に励む事になるのでしょう。三河がどれだけ発展するか、とても楽しみで御座います。


 「次に藤吉郎。其方も今日に至るまで、よく内政家として励んでくれたな。其方の献身、俺は良く理解している」

 「加賀守様、勿体ない御言葉に御座います。加兵衛様の下で燻っていた私を見出して下さったのは、間違いなく加賀守様で御座いました。この恩義、終生忘れられる物では御座いませぬ」

 「そう申してくれると見出した甲斐があるというものだ。其方も本日付で家老職に昇進させる」

 座がどよめいた。槍働きをする事無く家老職に至る等、前代未聞で御座いましょう。

 しかし藤吉郎殿の働きは、間違いなく加賀の基盤を作り上げました。二郎様はその事を誰よりも御理解されておられるので御座います。


 「ここだけの話だ、能登を手に入れたら、其方には能登に城を与える。軍事は其方の家臣である蜂須賀に任せれば大丈夫であろう。あの男は内政面は其方より劣るが、万能性では其方以上だ。今後も大事にしてやると良い」

 「ああ、ありがとうございます!」

 「うむ、今後も励んでくれ。其方がいてくれるおかげで、俺の負担は大きく減っているのだ。本当に助かっているぞ」

 藤吉郎殿は嬉し涙を流しておられます。ここまで評価されたのは、生まれて初めてなので御座いましょう。

 それに藤吉郎殿が家老に昇進した事が広まれば、在野で燻っている人材は更に加賀へとやってくるでしょう。

 『百姓が戦働き無しで家老になれたんだ!俺にだって出来る筈だ!』と。

 今度はどんな人達が加賀へ来るのか、少し楽しみでもありますね。


 「そして十兵衛(明智光秀)。能登は出来る限り降伏勧告で吸収したい所だが、そう上手くはいかんだろう。能登攻めの際には、其方には軍配者としてその辣腕を振るってもらう。城作りで大変だろうが、頼むぞ?」

 「心得まして御座います!」

 「うむ。それから軍配者である其方には、状況に応じて加賀武田家全軍への全指揮権を委ねる物とする」

 座が藤吉郎殿の時を超えるほどにどよめきました。

 加賀全軍と言えば八千を優に超えます。それの指揮権を委ねられているのが軍配者で御座いますが、それはあくまでも二郎様の代理でしかありません。

 今回のそれは、軍配者のそれとは微妙に違うのです。

 何せ、十兵衛殿の判断で、戦を仕掛ける事が許されるのですから。


 「良いか、其方が全指揮権を委ねられる条件は、前提条件として俺が指示出来ない時。例えば俺が不在であったり、重い病で昏倒していたり、等だな。加えて事前に俺が状況を指定している時に限る。例えば、隙があったら能登を攻めよ、と指定していたとする。そして俺が本家に出向いて不在の間にその隙が訪れた。そういう時に其方の軍配者としての権限で能登に攻める、と言った感じだ。あとは敵に攻められた時だな。同じ前提条件に限り、無条件で其方が全軍を指揮して防衛戦を展開する権利を与える物とする」

 「そ、そこまで某を!?某は外様で御座いますのに!」

 「其方にはそれだけの力量がある。胸を張れ。それにな状況の指定については、これから説明する者達に周知されている事を条件とする」

 十兵衛殿が慌てて居住まいを正された。さすがは二郎様が認めた知恵者です。すぐに気持ちを入れ替えた事が分かります。

 切り替えが早い。これもまた軍配者に求められる資質なので御座いましょう。


 「宿老である虎盛、家老である孫次郎、権六、藤吉郎。軍配者、これは其方自身だな。秘書方の責任者――ゆきとする。将来的には跡取りとかも含まれるかもしれんが、当面はこの者達で進める。そして今、名を挙げた者達には事前に書面と言う形で状況を指定しておく。加えて火部隊の責任者にも、同様に書面と言う形で指定した状況について結果報告をしておく」

 「それによって、某の暴走や謀反を防ぐ訳で御座いますか」

 「正直、考えすぎだとは思う。直属部隊は俺個人に対する忠誠心が高いからな、謀反を唆してもおいそれとは従わんだろう。ただな、周りへの配慮、当主にあるまじき隙、そういった事を考えると、政の一つとして準備しておくべきだと判断したのだ。十兵衛、これからも頼むぞ」

 「嬉しい御言葉に御座います。この十兵衛、終生、加賀守様に従います!」

 城主となるのも嬉しいでしょうが、軍権を委ねられるのもそれに近い嬉しさがあるのでしょう。特に直属部隊の中でも火部隊は金沢城に常駐しております。その命令権を預けられるには、よほどの信用が必要で御座います。一歩間違えれば、二郎様ご自身の命が危うくなるので御座いますから。

 その事、知恵者である明智殿であれば、すぐに気づいた筈です。今後も御役目に励まれる事でしょう。


 「次に部将だ。まず筆頭部将である藤吉郎が家老になったのでな。十兵衛を次の筆頭部将とする。ついで亡き道祐(竹中重元)の嫡男、半兵衛(竹中重親)は帰還次第、部将待遇とする。経過報告の内容は、非常に価値ある内容であった。あれだけ出来るのなら、実力ありと判断しても良いだろう」

 「亡き竹中殿も喜ばれるでしょう」

 「十兵衛の申す通りだな。それから三郎太(小畠虎貞)。其方は今後、火部隊全ての責任者に命じる。火部隊の最高責任者として、今後も虎盛から多くを学び、これまで以上に励んでくれ」

 「心得ました!加賀守様の為、粉骨砕身の覚悟で励みます!」

 兄上は火部隊の責任者に命じられました。文字通り、孤児出身としては破格の待遇で御座います。今後も二郎様や十兵衛殿の差配に従い、戦場で働き続けるので御座いましょう。


 「現在、留守にしている長次郎も部将へ昇格だ。此度の困難極まりない密命、見事果たして帰ってくることを条件とする。次に蔵人(前田利久)。不慣れな北陸の地で、藤吉郎を支えて良く働いてくれた。其方も部将へと昇格させる。今後も藤吉郎を助けてやってくれ」

 「加賀守様……誠に、誠に忝う御座います。槍働きの出来ぬ某に、これほどの評価をして下さるとは……」

 槍働きの出来ない藤吉郎殿同様、前田殿も部将と高く評価されました。前田殿の件も、藤吉郎殿と同じように在野へ、そして他国へと広まるでしょう。

 ふと思いましたが、もしかしたら武田家中で継ぐべき御家を持たない部屋住みの者達が、加賀へやってくる可能性も考えられますね。

 槍働きが不得手で冷遇されている身であれば、猶更の事。もしかして、二郎様はそこまでお考えになられていたのでしょうか?


 「蔵人、尾張の地から嘗ての家臣や知人を呼んでやると良い。既に主家を持つ者達には関係ないだろうが、不遇を託っている者達もいるかもしれん。其方が声を掛ければ、応じる者もおるだろう。戦働きが得意な者であれば、そちらで働いてもらう事も出来るからな」

 「必ずや、声を掛けます!」

 「ああ、頼んだぞ」

 前田殿が平伏されました。本当に二郎様の人材収集欲は大きい。ただ他と違うのは、戦働きに拘らぬ点で御座いましょう。

 

 「次に陪臣から直臣への登用だ。藤吉郎。其方の家臣である小一郎(井伊秀長)、小六(蜂須賀正勝)、将右衛門(前野長康)の三名。蔵人、其方の跡取りである慶次郎(前田利益)と家臣である助右衛門(奥村永福)の二名。以上五名を侍大将として、俺の直臣とする。そして与力として、其方達の下に再配置する。その分の浮いた俸禄で、新たに加賀を裕福に出来る人材を召し抱えよ」

 「「ははっ!」」

 「新たな人材の中には、俺の直臣でなければ、と申す者もいるだろう。だがそういう者達には、先の名を挙げた者達を実例として言ってやれ。手柄を挙げれば直臣になれる、とな。そうすれば相手も受け入れやすいだろう」

 単純に俸禄を増やすのではなく、直臣にした上で与力としたのは、それが理由。

 どうしても仕える方にしてみれば、直臣である事を望むのは当然の感情ですから。ただ直臣となると、どうしても希望者が多く、選ばれなかった者達も出てきてしまいます。

 もし、そのような方達の中に、優れた才を持つ者が実力を発揮しきれずに埋もれていたとしたら?そのような方達を取りこぼさぬ事。それが此度の処遇の目的なのです。

 

 「直属部隊についても手を加える。分かり易くするために、直属六部隊の責任者は部将。責任者補佐役を侍大将とする。ただし仕事が増えるのでな、部将は年三百貫文、侍大将は年二百貫文を手当として俸禄に上乗せする。その上で補佐役の定員は火部隊以外は二名とする。三郎太、小虎の為にも励むのだぞ?」

 「はは!忝う御座います!」

 「うむ。では説明を続ける。風部隊の長、風祭の留守役を務めている松岡甚一郎一成、並びに水浜宗三郎隼人の二名を補佐役に昇格。次に火部隊の補佐役だが、各専門部隊の長も兼任する事とする。大楯部隊は富山龍一郎吉兼、長槍部隊は田川健次郎義和。弓騎兵部隊は川上市兵衛春清、種子島部隊は五十嵐鷹音、以上四名を補佐役とする」

 この内容には、家臣の皆様方からどよめきが上がりました。

 理由は単純。種子島を取り纏める五十嵐殿が女子である為で御座います。加賀武田家には女子が三百ほど従軍しておりますが、それでも侍大将にまで昇格した者は今まで居なかったのですから。


 「皆も思う所はあるだろう。だが俺には優秀な人材が必要だ。そして一射手としての種子島の技量に関していうなら、五十嵐に匹敵するのは加賀全土を探しても十兵衛ぐらいしかおらん。兵からの信望も中々に高い。故に俺の責任において、五十嵐を抜擢した」

 「「「ははっ!」」」

 「ゆき。五十嵐は冬に子が生まれたばかりと申していたな。侍大将に昇格させるが、すぐに役目につくのは無理があろう。故に五十嵐の目から見て、自分の代役を務められる者を二名選抜させるのだ。その二人を足軽大将とした上で、二人がかりで代役を務めさせる」

 「心得ました。本日中に報せます」

 女子の侍大将の誕生。間違いなく周辺諸国にも噂として広まることでしょう。

 そうすれば、立身出世を望む者は間違いなく背中を押される事になるでしょう。

 『女子でも侍大将になれるのだ!』と……まあ、相応の実力を求められるでしょうが。


 「林部隊の長は藤吉郎の兼任のまま。補佐役は、現在取り纏めている森田健三郎道義と木村善左衛門和義の二名を足軽大将から侍大将に昇格とする。山部隊の長は浜名甚兵衛鶴貞を侍大将から昇格させて部将とする。山の補佐役は新たに井伊小一郎と土田喜八郎康義を補佐役とする。陰部隊の責任者は十兵衛の兼任とする。ただし平時は林との共同作業が多い為、普段は藤吉郎の指揮下に入るように。とは言え、十兵衛としては戦場での新たな動き等を鍛錬したい時もあるだろう?そういう時は藤吉郎と話し合って決めてくれ」

 「「ははっ!」」

 「陰部隊の補佐役は、今の取り纏め役である田村為次郎一義と青山仁兵衛金嗣を足軽大将から昇格とする。雷の長は俺が務める。補佐役は辻木雄三郎金吉と黒田利三郎長吉の二名を侍大将に昇格させる」

 藤吉郎殿の弟である小一郎殿が適用されたのは、意志の疎通がやり易い事と、山部隊所属の者達から希望があった為と伺いました。小一郎殿は経歴こそ浅くは御座いますが、為人が温和で皆からも親しまれている、との事。加えて小一郎殿の下だと仕事がやり易い、と高い評判があるのです。

 その点も考慮して、小一郎殿が抜擢されました。

 蜂須賀殿や前野殿が外されているのは、将来の事を考えての処置、との事で御座いました。藤吉郎殿が能登の城を預かる事になった際、軍務を誰が担うのか?それをこなせるのは、元は国人衆である二人しかいない、という判断を二郎様が為された為に御座います。


 「昇進は以上だが、軍制について一部修正を加える。まず冨田治部左衛門景政、鐘捲外他通宗、川崎新九郎時貞、川崎鑰之助の四名に加え、本懐を果たした林崎甚助が雪融け後に正式に加賀武田家で仕える事になる。まずは以上五名に、常備兵を二十ずつ与える。彼ら常備兵にそれぞれの兵法を教え込み、俺の母衣衆とする。それぞれに色分けするのも良いかもしれんが、それはまあおいおい決めていこう。そして母衣衆としての役目は、戦場における切り札、すなわち敵陣への切込み役と大将の護衛。平時においては城内の警護も担ってもらう。加賀武田家における、個人の武力だけを追求した精鋭部隊として、その力を思う存分発揮してもらうぞ」

 「心得まして御座います!加賀守様の御命、必ずや我ら一同でお守り致します!」

 「頼むぞ、治部左衛門(冨田景政)。それと母衣衆を率いる者についてだ。加賀武田家随一の問題児に任せようと思っておる」

 『そ、そればかりはお待ちくださいませ』と前田殿が慌て出しました。

 御気持ちはよく分かります。あの問題児が冗談で起こした――私は許していないが――二郎様暗殺未遂事件は、笑い話として加賀武田家家中に広まっているからです。

 ちなみに広めたのは二郎様御自身なので御座いますが。

 隠しても意味はないし、バレた時の被害が大きい。ならばいっそ笑い話として広めてやった方が良いだろう、というのが二郎様の言い分で御座いました。


 「蔵人、よく考えてみよ。まず慶次郎が内政家として実績を遺せるか?」

 「それは……ああ……」

 「であろう?だが槍働きは尋常ではない。本家の鬼美濃も認めるほど。加えて、今も相当な手柄を挙げ続けているそうだ。同時に軍令違反も色々やらかしているようだがな。どうやら酒を飲んで騒いで喧嘩をしたり、博打で身包み剥がしたり、尾張出身浪人、後田ひょっとこ斎は向こうでも人気者だそうだ」

 あ、蔵人殿が崩れ落ちてしまわれました。周囲は……同情の視線ですね。前田家の問題児は有名だから仕方ないので御座いますが。その問題児を大層気に入り、馬が合うのが真面目な加賀守様というのが何とも言えませぬ。


 「戦場での実力については心配は不要。将では無く、兵としての強さを追及している人の形をした虎が慶次郎だと思えば良い。まともな鍛錬も行わずに、あの実力だからなあ」

 「加賀守様。そろそろ止めて差し上げて下さい。前田殿の胃に穴が開きますので」

 「む、そういうつもりは無かったのだが。まあよい、話を戻すか」

 二郎様が咳払いされる。前田殿は……どうやら立ち直ったようです。

 前田殿にとっては可愛い息子。あの問題児も、前田殿に対しては孝行息子という評判を聞いた事が御座います。親子仲は非常に良いのでしょうね。

 ……本当に、あの問題児とは思えません。


 「小笠原喜三郎虎貞」

 「はは!」

 「其方は加賀の弓術師範であるが、母衣衆にも新たに名を連ねて貰う。ただし役割は、他の者達と異なる。まず、其方には常備兵百を預ける。純粋な弓馬兵として育て上げ、母衣衆が切り込む時に後方から支援できる手練れを育て上げるのだ」

 小笠原殿は嬉しそうに『御意に御座います!』と返答されました。

 加賀の弓騎兵は爆裂筒を主力とする者達。馬上での弓矢による攻撃を得手とする小笠原殿にしてみれば、己の力量を活かしにくい部分もあったので御座いましょう。


 ただし爆裂筒は敵味方無差別である為、使い所を間違えると御味方に被害が及びます。だからこそ二郎様は、敵陣へ切り込む事を御役目とする母衣衆専門の支援役を考案されたので御座います。

 その為には、小笠原殿の実力が必要となります。

 御自身が必要とされている喜びは、間違いなく心の底からの物と断言できましょう。


 「秘書方についてだ。もうすぐ長親(河田長親)が学び舎から戻ってくる。配属は秘書方とし、足軽大将から始めさせる。ただ長親には色々経験もさせてやりたいのでな、雷の長見習いとしても使うつもりだ。他、新部署への異動については明日、書面でもって通達を行い、同時に公表する。とりあえずは以上だ、何か確認しておきたい事、訊ねておきたい事があれば遠慮なく申すがよい」

 特に反応は無いようで御座います。二郎様の御下知に従うという事でしょう。

 明日から始まる、刷新された加賀の体制。越後を仮想敵として作り上げた新体制によって、二郎様を御支えしていかなければなりません。明日から忙しくなりそうで御座います。

 今回もお読み下さり、ありがとうございます。

 謀略要素が無い為、物足りなかった方には申し訳ありません。もう少しお待ちください。


 今回は、全て加賀国、ゆき視点になります。


 【越中の守り】

 金沢からより遠い飛騨側の井波城(旧・瑞泉寺)を昌盛さんに、加賀側の安養寺城(旧・安養寺)を勝家さんに、という配置。

 御家(加賀武田家)を守るだけなら、逆が正解です。

 でもそうしなかったのは、武田家全体を見据えた為。飛騨は最重要拠点の一つです(北陸と東海を行き来するには、飛騨は必ず通る)。なので、飛騨寄りに昌盛さんを置きました。虎盛さんはそれを分かっているから『孫次郎は信用されている』と満足してます。


 【勝家さんの家来】

 佐々成政、前田利家の二名は確定。あとは柴田一族とか、姉婿の佐久間盛次ぐらいかな。佐久間の本家は、武田本家に仕えてます。


 【藤吉郎の評価】

 チャレンジャーの先生役務めたり、晴康君経由で本家に情報が来たり、評価が上がるには事欠かない状況です。いずれ信玄パパから引き抜きがあるかもw

 と言う訳で、先手を打って家老職にしました、というのが裏事情です。


 【能登の城主】

 能登奪取後に、誰を置くか?となると、藤吉郎ぐらいなんですよね。

 能登は越中東部を押さえれば非常に攻められにくいので、藤吉郎に能登から加賀北部の内政を担当させる。蜂須賀正勝が藤吉郎の軍配者、みたいな構想です。

 そして前田利久が加賀北部以外の内政担当、という感じ。


 【光秀さん、全軍統括】

 軍配者は戦場での指揮担当。いわば総大将の代理指揮官です。あくまでも総大将が傍に居るのが前提条件。

 今回の光秀さんは、総大将不在の時に上役の家老ですら指揮できる、という特権だと考えて下さい。なのでその分、安全機構にも配慮してます。


 【虎貞、火部隊の責任者】

 虎貞くんですが、以前の比叡山焼き討ちの後で部将になっています。ただあくまでも、火部隊の中の一部隊の長に過ぎませんでした。なので今回から、火部隊全ての長になります。ただ統率面で不安wがあるので、虎盛さんを後見人に、各部隊(盾・槍・弓・銃)に長(侍大将)をおいて補佐をさせます。

 ただ明らかにオーバーワークw

 拙作における本来率いる兵数は、部将900、侍大将300ですからね。火部隊って、現時点で3000規模。家老職相当の兵数です。今後も補佐役が増えていくのは間違いありません。


 【直臣への登用と与力として再配置】

 これは家臣を増やす為の処置。

 ①陪臣から直臣への取り立てがあるから、最初から高望みせずにチャレンジしなさいよ?という意思表示です。

 ②利久さんが尾張から知人を呼ぶにしても、藤吉郎が能登入国後に現地雇用するにしても、俸禄の枠は空けておかないといけない。


 【六部隊補佐役】

 オリジナル(孤児出身者)。既出は浜名、土田、五十嵐、黒田。

 浜名:遠江時代の山の責任者。

 土田:遠江時代の浜名の下にいた木工職人・平八。

 五十嵐:三郎太を逆モヒに仕掛けた姐さん。

 黒田:遠江時代、硝石の報告をして、雷に異動となった長治。


 【母衣衆】

 現状は合計20×5で100騎。ただ丸目が来れば+20騎。

 戦国時代としては、かなりの規模です。主人公はもしかしたら、オスマンのイエニチェリでも参考にしたんでしょうかwそうすると、今度は逆に数が足りないですけどね。

 平時は城内警備が任務になります。


 【弓馬兵】

 弓騎兵は爆裂筒を切り札とする部隊。敵陣中央や、突撃してくる敵兵の目前に爆裂筒を叩きこむような戦い方をします。

 弓馬兵は母衣衆が切り込みやすいように、命中精度と速射性を磨いたようなイメージ。

 さすがに突撃中の母衣衆の間近に、爆裂筒を叩きこむのは危ないですから。

 ちなみに平時は、領内の治安維持とか担ってもらう予定です。


 【長親君】

 四月に戻ってきます。留年の予定は無しw

 当面は秘書方に配置。昔から真面目だったので、機密性の高い雷とか任せても良いかな?でも経験ないから、まずは長見習いとして働かせてみるか?と主人公は考えてます。

 得手不得手とかあるので、まずは経験を、という所。


 今回もお読み下さり、ありがとうございました。


 また次回も宜しくお願い致します。

 

 


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― 新着の感想 ―
[良い点] 再編出来るくらいに内治体制が整ったことから、実質、加賀武田家が確立された瞬間ですかね。 [一言] 今さらながら軍神封じ込め予想 神から人であることを知らしめる。 軍神さんが居る戦場から可…
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