↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
55/324

謀略編・第二話

 謀略編・第二話更新します。


 今回か金沢城(少し一乗谷城)と箕輪城が舞台になります。

永禄四年(1561年)三月、加賀国、金沢城、竹中重元――



 日中はかなり温くなり、積もった雪も徐々に融けていく頃。

 庭に咲いた梅の花を視界の片隅に捉えながら、私は『もう春なのだな』と心の中で呟いた。

 加賀の冬は寒い。いや、加賀に限らず、北陸の地の冬は寒い。それは越前で築城術を学ばせて戴いた時も同じであった。

 木綿の肌着のおかげで過ごしやすかった筈なのだが、それでも寒さを感じた事を覚えている。

 『もう歳か』等と口に出したら笑われるかもしれんな。

 いや、すでに六十路なのだから、十分、歳だとは思うのだが。


 「竹中殿?」

 「いや、つい益体も無い事を考えてしもうてな。もう春だというのに、ついつい炬燵が恋しくなってしまったのだ」

 「気持ちは良く分かりますとも。某も書類仕事を炬燵でやっていると、つい居眠りをしそうになってしまいます」

 風祭殿の軽口に『確かに』と笑いながら返す。

 炬燵。加賀に来てから使うようになったが、正直、アレ無しで冬は越せんわ。妻からも炬燵から抜け出せなくなってしまった、と笑いながら言われたものである。

 息子の半兵衛も、城での奉公や修養の時間以外は、炬燵に入って書物を読み耽っていたらしいが。

 

 目の前に現れる執務室の木戸。

 さて、気を引き締めねば。


 「竹中に御座います。お呼びと伺いました」

 「同じく、風祭に御座います」

 「おお、来てくれたか。長次郎と共にやって貰いたい事がある。これは密命だ」

 執務室におられたのは加賀守様以外に、補佐役のゆき様のみ。

 そして加賀守様からの警戒心を感じさせる言葉。加賀守様は我らに何を命じられる御つもりなのだろうか?普段なら、ここまで重苦しい雰囲気ではないのだが。

 

 「まず長次郎。其方には関東に向かってもらう。表向きは諜報の手伝いだ。長尾の侵攻状況について、北条家の忍びである風魔に流すのが役目となる。だがその真の目的は、長尾景虎という天才の手の内、戦い方を暴く事にある。その為に、其方達風の諜報担当者には、最前線という危険な場所へ出向いて貰わねばならない」

 「心得ました。いつかはこういう時が来る。その覚悟は決めておりました」

 「勘違いするでないわ。長次郎、其方には今後も武田家の為に働いて貰わねばならぬ。まずは生き延びる事を優先せよ。長尾にも軒猿と言う忍びがいる。御屋形様にお願いして、武田忍びの助力も仰ぐ。良いな?死んではならぬ。そして出来る限り情報を持ち帰れ」

 「分かりました、必ずや生きて帰ります」

 加賀守様が頷かれる。ただ今回の作戦は、間違いなく風からも死者は出るだろう。決して、越後の軍神は甘くはない相手だからだ。

 風の構成員は元を辿れば孤児という出自の者が多い。その分、百姓兵として紛れ込む事は容易いが、どこに軒猿の目があるか分からんからな。


 「重元。其方の役目は長尾景虎という男の戦い方を研究する事だ。風が入手した情報から、北条家は軍を動かして防衛戦を展開する。その様子を監視し、長尾景虎の得意とする戦い方、不得手とする戦い方、とにかく手当たり次第に研究しろ」

 「心得ました。ですがお願いが御座います。息子、半兵衛(竹中重親)も連れていく御許可を」

 「許す。この密命は武田の行く末を左右する、重要な戦いだ。だが、何としても生きて帰ってこい。頼んだぞ」



永禄四年(1561年)三月、加賀国、金沢城、竹中重元――


 

 「竹中殿。今回の密命、それなりの期間、長尾勢に紛れ込む必要があると考えます。百姓兵として紛れ込むのは容易いですが、入手した情報をどうやって竹中殿まで伝えたものでしょうか?」

 「そうですな。百姓兵として紛れ込むのと同時に、外から商人として接触するのは如何でしょうか?商人が食料や遊女を提供するのは良く見られる光景ですから、おかしくは無いでしょう。長尾勢がある程度移動する度に、商人として接触する者を変更すれば、疑われる事もないかと」

 「確かに。あとは今回の真の目的を考えると、次の目的地以外の情報は下手に集めない方が良さそうですな。御助言、忝く御座います」

 風祭殿が頭を下げられた。加賀守様が見出した方々は腰の低い方が多いように感じる。武田家での奉公期間と言い、立場と言い、風祭殿の方が上だと思うのだが。

 ふと室内を見回してみる。

 この部屋は風祭殿に与えられた一室。壁には日ノ本全体と北陸の地図が貼られている。地図には色々と書き込まれていた。

 更に板敷の上に無造作に積まれた書物や書類の数々。それらの量からも、風祭殿の多忙さがよく分かるというものだ。


 「越後から関東へ雪崩れ込むとすれば、まずは三国峠から上野国へ入るでしょうな。上野国は関東管領に与する国人衆が多いと聞いております。そこを足掛かりに、まずは武蔵国に入ろうとするでしょう。対する北条は出来るだけ、上野国で食い止める事を考えるかと」

 「ならばそこで潜り込むべきですかな?腕に覚えがあるのなら、陣借りという手もありそうです。もしくは長尾勢でなくても、長尾勢に合流した国人衆の兵に成りすます、というのも手ですか」

 「お待ちを。先程提案したばかりではありますが、長尾勢に直接潜入はやめた方が良いかもしれません。越後から来るのですから、兵達もある程度は顔見知りになっている可能性も有り得ます。もし我ら武田軍のように、小隊編成等をされていては、紛れ込むのは不可能でしょう。あくまでも国人衆に限定。その上で長尾勢の傍にいてもおかしくない国人衆に紛れ込むべきです」

 ふむ、と風祭殿が考え込まれる。恐らくは自身の記憶を総ざらいして、有望な御家を選んでいるのだろう。

 長尾も百姓兵が基本。さすがに武田家のように小隊同士が顔見知り、という事は無いと思うのだが、万が一、というのは有り得る。

 長尾には僅かとはいえ常備兵がいるそうだからな。


 「そうなると、第一候補としては箕輪城の長野家でしょうな。関東管領に忠義立てする御家として名を馳せております。ここなら長尾勢に近い位置にいられそうです」

 「良い所ではないでしょうか?あとは某も後方に付いていきます。長尾も北条側の忍びである風魔の諜報活動を警戒する筈。となれば諜報後には小田原方面へ向かうと考えるでしょう。となれば長尾勢の後方にいた方がバレにくいかもしれません」

 「分かりました。あとは竹中殿がどのような立場で関東にいるか、で御座いますな」

 念の為に考えておいた方が良いか。この場合、決してバレてはならない事以外は隠さずに行くべきだろう。あまりに隠し事が多すぎると、どこでボロが出るか分かったものでは無い。

 バレてはならぬのは、やはり竹中、という姓であろうな。弓騎兵部隊を率いて武功を挙げたおかげで、名はそれなりに有名になっている筈。

 目的については、いっそ理由をこじつけて明らかにしてしまうのも手か?


 「某は美濃斎藤家の道三様について居場所を無くした兵法家としておきましょう。主が切腹した後、主を見捨てた義龍を恨んで美濃から逃亡。そのまま我が子と共に放浪し、関東までやってきた。そこで軍神と名高い長尾殿の采配を見たいと思い、遠くから学ばせて貰っていたという事にするつもりです」

 「名は変えぬのですか?」

 「竹中のままでは疑念を抱かれるでしょうな……岩手重元と名乗りましょうか。岩手は昔の姓ですので、馴染みがあるのです」

 後は成り行きに任せるとするか。

 身なりは古着を調達するか。関東まで旅をするうちに、適当に旅塵で汚れてくれるだろう。

 刀は少し使い込んだ物を持っていくとしよう。あまりに質が良く、刃毀れ一つない刀では刀身を見られてしまった時に、疑いを持たれてしまうからな。



永禄四年(1561年)三月、越前国、一乗谷城、武田信玄――



 新年の評定を終えて、雪解けと同時に加賀へ戻ったばかりの二郎から来た急使。何事かと思い文を見た儂は、即座に決断した。

 「良かろう。武田忍びを10名遣わす。二郎の家臣、風祭と竹中に力添えするように申し付けておく。すぐに信濃に向かわせよう。そこで合流させる」

 「かたじけのう御座います。では某も加賀へ戻ります」

 すぐに城を辞した使者の後ろ姿を眺めながら、儂は顎に手をやりながら思索に耽った。そこへ頼もしい知恵者である勘助が姿を見せる。


 「大御屋形様、加賀からで御座いますな?」

 「そうだ。二郎から忍びを借り受けたい、と言われてな。越後の手の内を暴きたいそうだ」

 「それはそれは、兵法家としては興味をそそられる話ですな」

 足を引きずりながら、儂の前まで歩いて来る。手振りで腰を下ろすように指示すると、勘助は笑みを浮かべながら腰を下ろした。


 「加賀守様は、いよいよ対越後に向けて準備に入った、という所で御座いましょう」

 「さすがにすぐにぶつかるつもりはないようだがな。それにな、其方と真田に諮りたい事もあるそうだ」

 ほう?とわざとらしく驚いたように勘助が反応した。


 「この老骨の知恵が役立つのであれば、幾らでもお貸し致します。しかしながら、加賀守様の配下には、知恵者がすでにおり申す。某の知恵がどこまで役に立つのやら」

 「其方が認めるほどの知恵者がおると申すか」

 「そうですな、冬に築城術を学びに来た明智光秀に竹中重元、この二名は武田家直臣と比べてもひけはとらぬと感じましたな。正直、四天王に匹敵してもおかしくないだけの素質は秘めて御座います。二年前に学び舎で某が軍略を教えた河田長親は将来が楽しみな逸材でありました。直接の面識はありませぬが、加賀守様の内政面を手助けしている井伊藤吉郎という者もかなりの切れ者と聞いております。甲斐の治水工事をあれほど早く完了させたのも、この男の知恵があってこそと聞きました」

 思い出したわ。確かに二郎が釜無川の治水工事の件で、役立つ男を見つけた、とか申しておったな。その男の事か。

 秋の武芸大会では名だたる兵法者を召し抱えておったが、あれも本音では対越後を想定しておったのかもしれんな。そういえば陣借りの名目で来ていた前田とかいう傾奇者もおった。

 二郎め、なかなか面白い者達を抱えておるではないか。


 「天神様の寵児と軍神、どちらが上をいくか……どう見る?」

 「戦場で戦うならば軍神、それ以外ならば加賀守様で御座いましょう。加賀守様も戦の才は御座います。死線も潜り抜けてはおります。しかしながら、苦戦した経験が御座いませぬ。加賀守様は苦戦しないように、前準備を怠らない御方故に。軍神を戦場で打破するならば大御屋形様でなければ難しいかと」

 「優秀なのも問題だな。だがまあ、あの二郎が馬鹿正直に正面から戦ったりなどすまいよ」



永禄四年(1561年)四月、上野国、箕輪城、長野業正――



 桜の花が満開になる頃。箕輪城に待ちわびていた御方が来られた。

 越後の軍神と謳われる長尾弾正少弼景虎殿。儂が忠義を誓っている関東管領上杉五郎憲当様に御味方し、更には関東管領様の養子となって次期関東管領として目されている御方だ。

 そのような御方に対して、礼を失するような事は出来ぬ。

 故に儂は病に侵された体に無理矢理言う事を利かせて御挨拶に伺った。


 「信濃守(長野業正)殿、そのように御無理を為されるな。病がちな事は耳にしておりますぞ」

 「何を申されますか。弾正少弼(長尾景虎)殿は我が主である関東管領様の為に、こうして上野まで来られたので御座います。関東管領様にお仕えする身としては、礼儀を失する訳には参りませぬ」

 「分かり申した。御挨拶、忝う御座る。せめて楽な姿勢を取られよ」

 そうは仰って下さったが、儂にも意地が有る。

 そして息子の業盛に支えられながら腰を下ろした儂には、どうしても伝えねばならぬ事があった。

 その為にも、弱気な姿勢を見せる訳にはいかぬのだ。何としても信じて貰わねばならぬからだ。


 「弾正少弼殿。真に申し訳ないが、どうかお人払いを。どうしてもお伝えしておかねばならぬ事があるので御座います」

 「……心得た。忠臣と名高い信濃守殿の頼みとあらば断わる事も出来まい。皆、下がっておれ」

 越後の家臣の方々が素直に下がる。儂も息子に下がるよう命じると、足音が聞こえなくなった所で、早速、切り出す事にした。

 我が策。これが成れば、弾正少弼様による関東征伐も、そして箕輪長野家も安泰と言えるようになるからだ。


 「弾正少弼殿。これからお伝えする事は、某の残りの命、全てと引き換えの策と考えて戴きたい。越後勢には上野国で越年をお願い致したいので御座います」

 「これはまた思いがけない御言葉。勿論、理由は有るのだろうが、お聞かせ願えるかな?」

 「昨年の秋の事で御座います。我が家臣、上泉秀綱の門人、丸目と申す者が加賀で行われた武芸大会に参加したので御座います。その丸目が加賀守(武田信親)殿から伝言を預かっておりました」

 あの今荀彧による長野家滅亡の策。

 儂も想定した事だが、今荀彧の見立ては儂の考えを上回る悪辣さであった事もお伝えさせて頂いた。

 その見立てをお聞き下さった弾正少弼殿は、真剣に頷かれた。


 「信濃守殿。某も加賀守殿とは文を通しての付き合いはある。故に、加賀守殿の事もある程度は知っているつもりだ。その上で申そう。その見立ては、某にも同意できる」

 「やはりそう思われますか。北条がそこまでするかどうかは断言できませぬが、最悪の事態は考えておくべき。故に某は対抗策を考えたので御座います。それが上野での越年」

 「……確かに北条に対する効果的な策ではある。北条は我ら越後勢が冬前に戻ると思い込んでいる筈。だからこそ、その思惑を外せば北条には収穫が出来ぬという傷を負わせる事も出来る。更に周辺に圧をかければ、次の春には大軍を率いて小田原へ攻め込む事も可能」

 下野の宇都宮、常陸の佐竹、安房の里見。北条に思う所のある御家の者達を集めて、数の暴力で小田原城を短期決戦で落とすのだ。

 この策を成就するには、北条家が百姓兵を集めにくいように立ち回る事。同時に兵糧確保が必須になる。

 前者は上野での越年がその答え。越後勢の圧がある限り、北条もおいそれと所領に帰ったりは出来ん。


 「上策は北条家の壊滅。中策は上策が失敗した時を考慮しての予備の策。まず上策は次の春の種蒔きの時季に合わせて、小田原城を短期決戦で落とせるように、今から侵攻を進めていくというもの。小田原城の守りは堅い。ですがそれも兵がいてこそ。北条も御家存亡の危機となれば百姓兵を集めるでしょうが、集められる数は常より少なくなりましょう」

 「良き御思案。こちらの百姓兵の交代も考慮に入れたとしても、十分に間に合いますな」

 「関東管領様を奉じる弾正少弼殿の勝利条件は、北条家の討伐。その為の小田原城の落城。これが必須と申せましょう」

 『うむ』と力強く弾正少弼殿が頷かれた。

 何と頼もしい。これならば関東征伐も為せるだろう。

 

 「越年での戦となれば、対峙する北条の百姓兵の間に不満も募るな。収穫はどうするのだ?と」

 「如何にも。その上でこちらはそれを見越して、百姓兵を交代させるので御座います」

 「今の内から手筈を整えておけば、秋の収穫後には越後兵を交代させる事は十分に可能、という事か」

 北条が異変に気付く頃には、こちらの兵の交代は終わっている。そこで一当てして蹴散らすもよし、帰らせぬように立ち回るもよし。それはその時の状況次第だ。


 「兵糧は関東の諸侯を集めてからが問題になりましょう。故に小田原城攻めは短期決戦で一気に仕留めなければなりませぬ」

 「大軍を食わせるだけの兵糧が無いのだ。それは当然の事。自らの面倒ぐらいは看られるが、さすがに他国国人衆まで食わせるほどの余裕は無い」

 「仰る通り。その上で、もう一つの献策を行います。敵対した者達は最初から皆殺しと致します」

 どうやら儂の献策は、軍神の考えの外にあったようだ。

 ならばこの策は効果があるだろう。


 「この策は、小田原城を落とせなかった時を想定しての中策。即ち予備の策。弾正少弼殿には上洛という使命が御座います。その為に関東を離れれば、生き延びた北条が逆襲に転じ、国人衆も北条に鞍替えする者も出てくる。その時、少しでも関東管領様による秩序を維持する為には、北条に与した者達を、予め減らしておく必要が御座います。つまり間引いておきます」

 「百姓兵を束ねる国人衆が死んでいなくなれば、兵を集めて北条の旗の下に集う事も無いという事か」

 「然様に御座います。特に最初から北条に与する者達は、北条家に対して忠誠心が高いと見るべき。となれば小田原城を落とせなければ、間違いなく先兵として逆襲に転じましょう。ならば最初に殺しておけば、後の不安の種を取り除く事が叶います」

 弾正少弼殿は、何度も深く頷かれた。

 勿論、小田原城を落とせれば何も問題はない。

 だが戦とはそう思い通りに進むものでは無いのだ。


 「これにより、北条の勢いを弱める事が叶えば、北条に対して思う所のある者達が、我欲から率先して北条への攻勢を継続する事も考えられます。今の内に領地を奪え、と。例えば、安房の里見家」

 「敵の敵を作る、という訳か。それに小田原城包囲によって種蒔きを阻害できれば、秋の収穫を台無しに出来る。それが北条の足を引っ張る事に繋がる。某が再び関東に来るまでの時間稼ぎにもなりますな」

 「仰せの通り。これにより、来年に落せずとも、上洛後に関東征伐を再開する事は叶いましょう」

 集まる兵が少なくなれば、それだけ北条の攻勢は弱まる事になる。

 それが関東管領様の秩序を継続し、ひいては長野家の存続にも繋がる。

 あとは弾正少弼様が、再び関東へ戻って来られるまで時間を稼ぐだけだ。


 「それすらも失敗するという、万が一の場合には、弾正少弼殿がお戻りになられるまで箕輪長野家が時間を稼ぎます」

 「……心得た。信濃守殿の御覚悟、確かに受け取った。御安心召されよ」

 「忝う御座います。恐らく、某は冬を迎える事は叶わぬでしょう。しかし箕輪長野家の忠誠は関東管領様に捧げて御座います。どうか宜しくお願い申し上げます」

 これが親として、当主として出来る最後の策だ。

 あとは息子である新五郎(長野業盛)を信じて託すしかない。

 

 「最後にもう一つ。此度の策は弾正少弼殿の御発案として戴きたい。まもなく死ぬであろう老いぼれでは、意味が無いので御座います」

 「……そういう事か。どれだけの神算鬼謀の持ち主であろうとも、死んでしまっては恐るるに足りん。生者でなければ意味がない、と」

 「然様で御座います。愚息では若すぎ、経験も足りませぬ。某の入れ知恵とすぐにバレましょう。それでは意味が無い。故に『軍神』という存在が必要なので御座います。またもや策に嵌められるかも?という不安や疑惑が北条の足を引っ張る事になる。残念な事では御座いますが、愚息ではどう足掻こうとも、加賀守殿のようにはなれませぬ」

 新五郎は決して愚かでは無い。親の欲目を抜きにしても、優秀と言えよう。

 ただあまりにも経験が足りないのだ。足りない経験を補うだけのものも持ちえておらぬのだ。

 それが加賀守殿との決定的な差。それを持ち得る者こそが『天才』と呼ばれるのであろうな。


 今回もお読み下さり、ありがとうございます。

 

 まずは金沢城から。


 【重元さん六十歳】

 意外にお年寄り。生まれは1499年。もっと若いイメージがありました。

 半兵衛が1544年生まれなので45歳の時の子供。長男重行が1532~1570年らしいですが、何をしたのかもよく分かっていない。ただ三人兄弟揃って40前に死んでいる……

 そして竹中ファミリーは炬燵愛好家w


 【軒猿】

 有名ですよねえ。ただ軒猿というのは忍者の別の呼び名だそうです。

 夜盗組とも呼ばれていたそうなので、純粋な忍びとは言い難いのかもしれません。活動時期がいつからかも不明なので、賊を捕えて司法取引みたいにして取りこんだんでしょうか?


 【竹中親子お邪魔します】

 という訳で半兵衛と一緒に上野に向かいます。身なりも襤褸くして、時代劇に出てくるような旅をしてきた浪人ぽいイメージ。流浪人〇心ではありませんw


 少し一乗谷より。


 【勘助さんの評価】

 割と評価高いです。光秀さんとか評価高くて当たり前だけどw

 主人公は戦においては軍神が上と評価されています。

 実際に指揮するのは光秀さんなので、軍神>光秀という事になりますが。


 最後は箕輪城より。


 【業正さんの策】

 史実における厩橋城での越年です。これを策としております。

 ただそれだけでは芸がないので、そこからもう一歩、踏み込みます。

 これって主人公が丸目に伝言頼まなければ、起こらなかったかもしれませんw当然、主人公としても想定外の事態になります。

 何せ主人公の歴史知識は教科書レベル。厩橋城での越年なんて、知ってる訳もない。


 【上策】

 北条家壊滅。これが必須と言う答えに辿り着いたのが業正さん。なのでそこに至るまでの道のりを、策と言う形で色々と考えております。越年や種蒔きに合わせて小田原包囲短期決戦もその一つ。


 【皆殺し】

 これが一歩踏み込んだ策。ようは反撃の芽を先に摘んでしまえ、というもの。上策が上手くいく内は敵戦力の減少に効果があり、失敗後は逆襲を弱めさせる効果がありますよ、という感じ。


 【敵の敵を作る】

 ようは二虎競食の計。北条とどっか(業正さんは里見を想定)を食い合わせて時間稼ぎ。小田原包囲で種蒔きを阻害出来れば、北条領で米を収穫出来なくなる≒弱体化。周りもちょっかいかけたくなるなるよね?という所。


 【策の発案者】

 死人では抑止力にならん、という理由です。それには軍神というネームバリューは必須です。


 今回もお読み下さり、ありがとうございました。


 それではまた次回も宜しくお願いします。



 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 敵の敵は味方ではないが利用できる。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。