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Sランク冒険者の子育て  作者: ふーしん
3/4

少女

ガロウたちはSランクの冒険者集める旅に出た。


「Sランクを集めたら、ラルクが怒りそうね~。誰にめんどうな依頼を振るのかって」


「あいつも元Sランクだし何とかなるだろ」


「それもそうね」


「ねー、じいじはどこにいるの?」


「そういえば、今どこに向かってるんだ?」


その質問に、ヴェルが自信なさげに答える。


「たしかフレアディアの国に行ったって聞いたんだけど、聞いたの一年前なんだよね・・・」


「フレアディアってどんなところなの?」


「火の国っていわれてて、火の精霊を神格化して信仰してるらしいわ」


「へー!」


ショウは目を輝かせた。


「ジジイとは定期的にあっているんだろ? そこに行けばいいだろ」


「定期的っていっても数年ごとだし、次は数年後ってとこかしら」


「チッ、めんどくせえな」


「とりあえず、情報もないしフレアディアへ向かうわよ」


「はーい! ・・・あれテレポートするんじゃないの?」


「テレポートは3日に一度しか使えないの。もし使えないときピンチになったら逃げられないでしょ。だから、ピンチのとき以外は使わないようにしようと思うの」


「確かにそうだね」


「今まではピンチなんか無かったから自由に使ってたんだけどね~」


「この旅が終わったら世界を回る旅に連れてってよ!」


「ええ、もちろんいいわよ」


「やった! ガロウも一緒にいくんだよ! ね! ね!」


寝ているガロウにショウはしつこく問い詰める


「あー あー あー、わかったわかった。わかったから引っ付くな」


「ふふっ」






ショウとヴェルの二人は何気ない会話をしながら、町でとった馬車に揺られている(ガロウはほとんど寝ていた)。魔物が途中で現れたりもしたが、ヴェルは片手間ですべて倒していった。

その道中、倒れている少女を見つける。二人は様子を見るために少女のもとへ向かう。


「大丈夫?」


ヴェルが声をかけると、少女はすくっと立ち上がっていった。


「食べ物ちょうだい!」






「ほんとよく食べるわね・・・」


あげた食べ物をすべてたいらげ、満足そうにおなかをさすっている。

よくみるととてもかわいらしい顔立ちをしている。大きくてぱっちりとした瞳に、長くツヤツヤした黒髪が魅力的だ。


「ありがと! 私はララフィール、ララって呼んでね」


「私はヴェルよ。そして、私のうしろに隠れているのがショウ、あと馬車の荷台にガロウってやつがいるわ」


私が初めてショウに会ったときも、ガロウの後ろに隠れていたなあ。ヴェルはそんなことを思い出し、微笑んだ。


「ヴェルさんとショウ君、いい名前ね!」


「ありがとう。それと、私たちの名前は呼び捨てでいいわよ」


「あらそう。じゃあヴェルとショウ、食べ物おいしかったわ。これで一つ借りね!」


ララもヴェルの後ろに回り込み、ショウに近づいて笑顔で言った。


「お、おう」


(うーん、これは照れているってより警戒しているわね。そういうことも教えないとなあ)


ヴェルの周りをくるくる回っている二人を前に、ヴェルはふとそんなことを思う。


「借りなんていいわよ。それより、なぜこんなところで倒れていたの?」


「それが何も覚えてないの。もしよかったら私もあなたたちの旅についていきたいんだけど・・・」


ララは寂しそうに言った。


「申し訳ないけど、連れてはいけないわ。私たちの旅は危険すぎる」


「でも私、身寄りも無いしこのままじゃ殿方に体を売るしか無くなってしまいます!」


ララは、きれいな瞳をうるうるさせながら言った。


「いやそんなことないと思うけど・・・」


「それに皆さんともう少し一緒にいたいの、お願い!」


「うーん・・・ 私たちは悪い人に追われているの。できるだけ守ってあげるけど、ついてくるなら命の保証はできないわよ」


「大丈夫、いざとなったら私が守ってあげるわ!」


ララは、満面の笑みでその小さな胸をトンッとたたいた。


「ふふっ、頼もしいわね」


ララはショウに手を差し出して言う。


「じゃあこれからよろしくね、ショウ!」


「お、おう」


二人はぎこちない握手を交わした。その後、食料補充のために町に立ち寄って食料を買い揃える。するとララに、行きたい場所があると言われてガロウとヴェルの二人は人気(ひとけ)のない洞窟に連れられた。(ショウは宿で寝ている)


「ララ、あなたはなぜこんな場所を知っているの?」


「どうせガキの秘密基地だろ? どこでもいいだろ」


「そうよ、ここは私の秘密基地。きれいでしょ!」


洞窟には赤黒い宝石のようなものが点在している。薄暗く、しかしそれでいて力強く輝いている。


「たしかにきれいだけど・・・」


「おいおい、これのためだけに俺たちを連れてきたのか?」


「ここにはね、伝説があるの。選ばれしものに力を与える、みたいなものがね。さあここに触ってみて!」


ララは、洞窟の奥にあるひときわおおきな宝石を指差した。


「あのなあ、こんなおままごとをしている場合じゃねえんだよ」


「いいじゃない、少しぐらい付き合ってあげましょうよ」


そう言ってヴェルは宝石を触る。


「うーん、少し温かい・・・かな? それだけね。選ばれしものは私じゃなかったみたい」


「ほら! 次はガロウよ!」


ララが急かす。


「はあ・・・」


ガロウがだるそうに宝石に触れた。そのとき、一斉に宝石の輝きが消えたかと思うとガロウが苦しみ始める。


「がっ・・・あああ!」


「どうしたの!?」


「ふふ・・・ ふふふ・・・ あははははは!!」


ララの笑い声を最後にガロウは気を失った。



閲覧、感謝します。

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