大騒ぎ(不意打ちでこんな事言うなよ)
まさか、こんな事になるなんて・・・
どうして、もっと早く教えてくれなかったんだよ~~~~
とある大陸にある国、グリンドル王国。その王都にある王城の大広間。その大広間にてその日国を揺るがす出来事が起こった。
その日は、国の第一王女サナエル・グリンドル様の成人式が盛大に執り行われた。国中から沢山の貴族達や裕福な商人に加え、周辺諸国からも国賓を迎え入れての一大行事として催された。テーブルに用意された溢れんばかりの料理が天井に吊るされたシャンデリアの灯りに照らされ、煌びやかな衣装を身に纏った人々がシャンパンの注がれたグラスを片手に楽しく談笑し、この国の未来の幸福に思いを馳せている。そんな筈だった。
オレがこの大広間に一人で来ている事を除けば・・・
オレが一人でいることに会場の人々は訝しげに国王グリンドル三世陛下に視線を向けるが、当の国王陛下はそんな視線も気にせず傍らの王妃殿下と楽しく語り合っている。その傍にいる第二王子バリルド様が何も言わず黙って控えているので誰も疑問に思っていないのだろう。
それでも不穏な空気を僅かばかり感じ取っているのか、ゆっくりと知人を探す振りをして辺りを見回す参加者達も何人か見受けれれる。チラチラとオレの様子を伺いながら、ヒソヒソ話す者達もおり正直うっとおしいい。
(はぁ、やってらんね~な~。早くこんな事終わらせて欲しいぜ)
目の前の料理を自分で取り皿に取り分ける行為に慌てて駆け寄ろうとする給仕の者に片手を振り必要無いことを伝える。そうして自分でこれでもかと盛り付けた料理を食べる始める光景に貴族達の何人かは唖然としている。本来パーティーにおいて食事をする際給仕の者に指示を出し、少量を取り寄せ上品に食べるのだが、今回オレはその行為を自分から拒否した。そればかりか、そのマナーという暗黙のルールを破って勝手に飲み食いをする始末だ。いつもは優雅に食事をとるだけに信じられないのだろう。講師の先生に申し訳なく思ってしまう。そうして暫くすると漸く王女様が会場となる大広間へと入って来たのだ。
「只今第一王女サナエル・グリンドル様がお入りになられます。皆様。どうぞ、盛大な拍手で以ってお迎え下さいませ」
係りの者が告げる言葉と共に大広間の扉が開き、一組の男女が現れる。女性の方は勿論この国の第一王女サナエル様だ。水が流れるような金の長髪を腰まで靡かせ、女王蜘蛛と呼ばれる魔物の糸で織りあげた光を纏っているようなドレスを身に纏い、金のティアラを被り、何故か質素なレースの手袋を嵌めた手を引かれやや俯きながら笑顔で歩いている。
だが隣に立つ男性が問題だ。男性はイルクス公爵家次男エミュエル・イルクス。金髪を短く刈り上げ爽やかにしており、細長い切れ目にスッとした鼻筋という甘いマスク。長身を上質の礼服で覆った姿は女性なら誰でも目を奪われる姿だ。
そんな二人が大広間を堂々と歩く姿は異様な姿だ。
・・・隣で歩いているのが婚約者のオレ、ライヴェルト辺境伯家長男バルナー・ライヴェルトでないので当然なのだが・・・
その姿に大広間の人々がどよめくも、なんとか拍手だけは続けている。勿論オレにも、隠しながら窺う視線を向けている。これから何が起こるのか、どんな事が起こされるのか、様々な思惑を胸の内で考え推し量っている筈だ。しかし、オレとバリルドが何も言わず行動も起こさない事から困惑しているのだろう。そのうえ有力貴族の幾つかも黙っているので様子を見ているみたいだ。
二人が陛下と殿下が座す玉座の前に到着すると跪くのに合わせ陛下が片手を挙げると、拍手がピタリと鳴り止む。大広間より二段程高く作られた高座にある玉座より立ち上がったグリンドル三世陛下が、祝いの言葉を掛ける。
「我が娘、サナエルよ。今日、この日を無事迎えられた事を儂は嬉しく思うぞ」
「はい。今日この日よりこの国の為に働き、この国をより良くする事をこの場において誓わせていただきます」
「うむ。期待しているぞ」
満足気に頷く陛下に向けて笑顔で答える。そして隣りに居るエミュエルに目配せをすると悲しそうな顔付で話し始める。
「陛下、申し訳ありませんが発言をしても構いませんでしょうか?」
「うむ、許可しよう。して、何を言うつもりなのだ?この場でなければいけない事なのか?」
「はい。ライヴェルト辺境伯の子息バルナー・ライヴェルトについてのことです。かの者についてこちらに居るエミュエル・イルクスから話があるとのことです」
大広間に緊張感が広まるなか、サナエルがの言葉にエミュエルがハッキリとした言葉で断言する。
「あの者では、この国を第一王女サナエル様と共に支え導くことは出来ません。私イルクス公爵家次男エミュエル・イルクスはこの国グリンドル王国のことを真に思う故に進言致します。どうか、第一王女サナエル様とライヴェルト辺境伯長男バルナー・ライヴェルトとのご婚約を今一度お考え直す事を進言致します」
その発言に大広間に驚愕に満ちた声が走る。一様に騒めき驚く中、オレは平然として周囲を伺う。
(バリルドの奴は・・・良し、何とか大丈夫そうだな。後、他のヤツらは・・・ふむ、ほっといてもいいな。肝心のアイツらは・・・うまく食いついてるな)
そうしてオレの指示に従い、何人かが人知れず動き出すなか目の前では話が進んでゆく。
「何故今になってその話をするのだ?別にこの後でもよかろう。それに、何故バルナーではゆかんのだ?それなりの理由があると云うのか?」
陛下の問いかけにエミュエルがゆっくりと答え始める。
「まず、一つ目です。彼は貴族なら必ず通う学園に通っておりません。最初の頃の一年程度だけで、その後学園に通うことなく何故か卒業しています。これは恐らく買収による単位取得の不正が行われた事と推察されます。学園の監察を合わせて進言します」
この話に出席していた学園長以下数名の教師陣がムッとする。
「次に二つ目です。彼はこの王城に頻繫に通ってます。ですが、その目的はサリエル様への面会ではなくこの城に勤めるメイド達への声掛けです。多数のメイド達に言い寄る姿を見かけております。余りにも破廉恥すぎます。王位に就いた後の妾でも探していたのでしょう」
その話にオレと登城する度に話していた場面を見つかり咎められたメイド達が顔を顰める。
「そして三つ目です。王城の資料保管庫が荒らされていました。そしてそこから彼が出てくる姿を巡回していた当直の衛兵達二名が目撃しております。彼はそのことについて何も話さず、弁明もありません。やましいことが無ければ話せるはずなのに何も話さないのは、よからぬ事をしていた証拠です」
バリルドが決心した表情になる。
「最後に四つ目です。この件は一番重大です。彼は事もあろうにこの王城のエントランスに飾り付けられている我が国の国旗をその手に持つ剣で切り裂いたのです。これは王家に対する侮辱であり、王国への反逆行為と断言します。この件に付きましては事前に取り押さえる事が叶わず、私の力が及ばず申し訳ありません」
項垂れて謝罪するエミュエルにサナエルは「貴方のせいでは無いわ」と一応優しく語り掛ける。
その言葉に勇気づけられた様に面を上げたエミュエルは真っ直ぐ前を向くと、陛下の心に響くように力強く宣言した。
「故に私イルクス公爵家次男エミュエル・イルクスは断言します。ライヴェルト辺境伯長男バルナー・ライヴェルトは、この国に必ずや災いを齎す者と成ります。どうか、この国の為に英断を為さいますようお伝えする次第であります」
話し終えたエミュエルは、再び跪く。その一部始終の光景を見届けた一部の貴族達から感心した様子が観え、感心した声が上がり始める。・・・飽くまで一部だけであるのだが・・・
(正しく人生絶好調なんだろうな~。舞い上がっているのが手に取るように判るぜ。けど、これから先はこっちの反撃なんだよな~。精々哀れな道化師で踊ってくれよな)
話を聞き終えた陛下は、鷹揚に頷く。
「ふむ、その方の話は聞き終えた。ならば、次はかの者の話も聞かなければなるまい」
「かの者?」
「ライヴェルト辺境伯長男バルナー・ライヴェルトのことだ。どちらか一方の話だけではそれが正しいのか判別できんからな。当然の事だろう」
何を言っているのだと平然と答える陛下に、信じられないとばかりにエミュエルが目を見張る。
「な、何故ですか!ヤツが、反逆者なのは明白です!早急に処罰する「黙れ!!!」?!」
なおも言い募ろうとするエミュエルが、陛下の一喝にビクッと強張り慌てて口を紡ぐ。
「その方の話は聞き終えたのだ!口を挟むならバルナーの反論を聞き終えてからにせい!それとも儂に成り代わりバルナーを断罪するつもりか?」
「い、いいえ。そのような事は・・・出過ぎた真似をしてしまい、申し訳ありませんでした」
再度畏まるエミュエルを見下し、陛下がオレに視線を向けてきた。
「ライヴェルト辺境伯長男バルナー・ライヴェルトよ、前に出よ。お主に何か申し開きがあるかなら聞こう。儂が許す、申してみよ」
陛下の言葉に従い、大広間中央に進み出る。そうして陛下より右手側、サナエルを横目で見える位置に離れて膝まづく。
「陛下のご配慮に感謝致します。ですが、私の言葉ではエミュエルの疑惑を払拭することは難しいと思われます。そこで私の代わりに証言をしてくれる者をこの場に呼びたいと思うのですが、どうかご許可を頂けませんでしょうか?」
「ふむ。随分と用意がよいな。・・・良かろう、許可しよう」
「ありがとうございます。それでは一つ目について学園長より話してもらいます」
オレの言葉に頷いた学園長が、人垣より進み出ると一礼してから堂々とした姿勢で証言を語りだす。
「それでは僭越ながら語らせて頂きます。さてバルナー君ですが、彼は学園に一年程しか通わなかったではなく一年通うだけで十分だったのです。彼は入学した時、既に学園全ての教育課程を終えておりました。その学力の確認と卒業課題を終える為の期間こそ、彼が学園に通っていた一年なのです。この点につきましてはこの儂が自ら確認しておりますので、問題無いと断言します」
「「オオッ!!」」と周囲から驚愕の声が上がるなか、学園長が一礼して下がるのをエミュエルが憎らし気に見つめる。それに気付かないフリをしながら、次の証言者を呼び出す。
「ありがとうございます。次の二つ目についてメイド長に話してもらいます」
続いてゆっくりと歩み出たメイド長が優雅に一礼をして証言を始める。
「それでは証言させて頂きます。バルナー様がメイド達とお話しされていたのは間違いございません事です。ですが、それは相談に乗っていた為であり、その相談理由ですが『エミュエル様に仕事中にも拘らず執拗に口説こうとしてくるので何とかならないでしょうか?』とのことです。勿論、私の下にも同様の相談内容が複数届けられております。エミュエル様、バルナー様のことをとやかく言う前にご自身の身の振り方についてどうかご自重してくださいませ」
メイド長の話に女性達から非難の視線が、エミュエルに集中するなか三つ目の証言に移る。
「三つ目については、僕が証言しよう」
陛下の傍で黙って立っていたバリルドがオレより先に証言を始めた。
「僕が飼っているペットの虎のエミールが原因なんだ。あの日、エミールが見当たらなかったので僕と二人で探していたんだ。そして資料保管庫で苦しそうに横たわっていたエミールを見つけたんだ。よく何かつまみ食いしていたんで、それが原因だろうね。それで僕の指示で彼に治癒術士を呼ぶ為部屋を出てもらったんだが、その時に見られたんだろう。急いで連れて来てくれたお陰で助かったんだが、その姿を王城内のあちこちで見られたらしい。暫く噂話にもなっていたんだが、聞いていないのか?」
心底不思議そうな顔で問いかけるバリルドにエミュエルは、何も言えず俯いているままだ。ここで何か答えるとしても、知っている場合冤罪となり知らない場合己の無知を披露する事になる。だからここは、黙るしかない。そんな彼を気にする事無く四人目の証言者が声を上げる。
「エミュエル殿がおっしゃっていた四つ目についてですが、騎士団長である私とこちらにいる宮廷魔術師長がお話ししましょう」
揃って前に出た二人が跪くと淡々と話し始める。
「これは先程バリルド様がお話しされた事と関係ある事となります。ペットとはいえ、王城内での凶行が行われた事は間違いございません。我々騎士団の不徳の致すところであります。これまで以上に警戒を厳重にし、鋭意を持って取り組む所存であります。ですが、それでも全て完璧に行う事は出来ません。そこで宮廷魔術師長に相談したところ、実に画期的な案を出してくださいました」
「私が出した案は、この記憶水晶による王城内の記録でございます」
騎士団長の隣りにいる宮廷魔術師長が懐から掌に乗る大きさの水晶の球を取り出す。
「これはダンジョンで時々見つかるアイテムの一つで、皆様もご存知でしょう。持つ者が魔力を流し込むことでその者が観た光景を記録し、再度魔力を流し込むことでいつでもその光景を観る事が出来ます。私は、この使用条件を少し手直しすることで人が触れずとも記録が出来るように致しました。そしてこの王城内の重要な場所にこの記憶水晶を設置することを陛下に提案したのです。そして一先ず試験的に設置する事の了解を承りましたので、この大広間と件の資料保管庫、そして誰もが必ず通るエントランスに設置しました。この記憶水晶は、エントランスに設置した物であります。勿論我が国の象徴たる国旗が切り裂かれた日も記録している筈です。それを今からこの場で再現しましょう」
「ま、待て!」と、何故か焦った声で止めようとするエミュエルに構わず魔力を流し込む。その魔力に反応して水晶球から大広間の天井にエントランスの光景が写し出された。
人通りの途絶えたエントランスが最初に映し出された。それから何人かのメイド服を着た女性達や騎士達等の王城内で働く者や登城した貴族が従者と共に歩いて行く光景が続いていき、やがてオレが歩いて来る姿が映し出された。そのまま中央付近まで来た時、向こう側から歩いて来たエミュエルが突然剣を抜き切り掛かって来た。当然記憶水晶のオレも剣を抜いて受け止めるが、オレから離れたエミュエルは近くに飾られていた国旗を切り裂くと、何事か大声で叫びだした。その行動にオレが驚いていると駆け付けて来た騎士達にエミュエルが叫び、集まった騎士達もややぎこちない動きでオレの方に近づいて来る。そして映像は途切れた。
大広間中がざわついていた。それはそうだろう、罪を断罪しようとして声を上げた者が自作自演で行ったでっち上げの冤罪だからだ。当のエミュエルは、ガタガタと青い顔で震えていた。そして陛下の声が掛けられた。
「ご苦労だったな、サナエル。よくこの重罪人をここまで連れて来てくれた」
その言葉が聞こえたのだろう、エミュエルが顔を上げ見たのは陛下の前で労いの言葉を掛けられているサナエルの姿だった。慌てて立ち上がるより先に傍に近寄ったオレがその身体を抑え込む。
「な、何をする?!離せ!オレが誰だか判らないのか!!!」
「国を裏切った重罪人だろ」
オレを睨みつけてくるエミュエルに対して平然と言い放つ。更にその隣にイルクス公爵家の者やその派閥の貴族達が次々と連れてこられ、強制的に跪かせられる。全員が狼狽え何とか助けてもらおうと愛想笑いを浮かべる中で、唯一人だけイルクス公爵家当主が憎しみに満ちた瞳で目の前の檀上の陛下を見据えている。
そんな彼らに陛下が断罪を下した。
「お前達が我が王家を乗っ取り、この国を自分達の物にしようとした事は既に調べてある。イルクス公爵家は断絶とし、その血に連なる者は全て死罪とする。そしてその派閥に関わる者達も同罪とする。全員、地下の牢に連れて行くがよい」
「待ちなさい」
次々と「お待ちください!」「こ、これは何かの間違いです!」「わ、私は悪くない!悪くないんだ!」とか騒ぎながら連れて行かれる中、エミュエルが連れて行かれる番になった時何故かサナエルが呼び止めた。
その声にエミュエルが希望に満ちた顔付になり、必死になって弁明を始める。
「サナエル様!わ、私は悪くありません!全てあの父上に言われて、仕方なく行ったことなのです。本当はやりたくなかったんで。だ、だからお願いです!どうか、ご慈悲ブギャッ!」
最後まで言わせる事無くサナエルは嵌めていた手袋を脱ぐと、エミュエルに投げつけた。
「貴方が触れたものなど、汚らわしくて彼女達に片付けさせるのも可哀そうですので貴方が片付けてください。さ、連れて行ってあげなさい」
顔に手袋をぶつけられたエミュエルが呆然とし連れ去られていった後、檀上の陛下が声を張り上げて大広間に集まった人々に語り掛ける。
「皆の者!今日は済まなかった。それと一つだけ伝えたいことがある。実は我が娘サナエルはライヴェルト辺境伯長男バルナー・ライヴェルトと結婚することとなった!後日改めて正式に発表するが、先ずは皆にこのことを伝えたい。では、改めてこの日を祝おう」
その言葉に盛大な拍手が沸き起こった。
パーティが終わって暫く後、王城内にあるオレ専用の部屋でオレとサナエルが寛いでいた。四人掛けのソファーに一緒に座っており、対面には椅子に腰掛けた陛下がリラックスした様子で紅茶を飲んでいる。カチャリと紅茶を飲み終えた陛下が頭を下げた。
「済まなかったな、こんな役目を与えてしまって」
「本当ですよ、お父様!なんで、私があんなイケスカナイ奴にエスコートされなければいけないんですか!折角の成人式が台無しですよ。ああ、思い出しただけでも気持ち悪いです」
両手を擦りながら恨みがましく見詰めれば、陛下が慌てて取り繕う。
「ほ、本当に済まん!こちらが何かしていると知られてしまうと奴らに感づかれてはいかんだろう、その為には一番目立つ事案が必要だったんじゃよ!丁度良いのが他に無かったんじゃ。仕方なかろう」
チラチラと様子を伺いながら言い訳する陛下に根負けしたオレが助け舟を出すことにする。
「サナエル。この話は、ここまでにしよう」
「でも・・・」
「ほら、そんなことより結婚式のドレスとか決めないといけないんだろ」
その言葉を聞いた途端サナエルが笑みを浮かべる。
「そうよね!結婚式のドレスを決めないと!・・・どんな色とデザインにしようかしら?」
漸く機嫌が治ったサナエルに、陛下がホッとして傍らのメイド長に紅茶のおかわりを注いでもらう。
「王都で一番のデザイナーに依頼して、生地は」
「勿論最高の物を用意するよ」
笑顔で答えるオレにサナエルは満面の笑みで頷くと、デザイン案を考え出す。
オレもメイド長に注いでもらった紅茶を陛下と飲みながらこれから先の事を話し合うことにして、
「あ!お腹周りで注意してもらわないといけないんだわ。あんまりキツイとこの子が苦しくなっちゃうから、不味いわよね・・・」
「「「は???」」」
「チョット裏で詳しくオハナシシヨウではないか」
・・・哀れドナドナされて行く未来の息子でした。