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第55話 要塞都市カムイ

いつも誤字の指摘ありがとうございます。非常に助かります。

第55話~要塞都市カムイ~


 クジョウから出発して丸3日。急げば1日でたどり着く工程ではあったが、いろいろと考え直したこともあって少しゆっくりとここまで歩いてきた。


 とはいっても、普通に歩けば1週間はかかる行程だ。俺達だからこそのスピードであるのは間違いない。


「ここがカムイの街ね。街っていうよりはもはや要塞だな」


 街まで数百メートルというところまで来た俺達の目に飛び込んできたのは、まさに要塞としかいいようのないふざけた外観をした街だった。


 クジョウの街もそれなりの壁を備えていたが、カムイの街の壁はそれの比ではない。高さは目算で30m。しかもそれが広大な敷地を全て取り囲んでおり、ところどころに設置されている門以外からは簡単に侵入できそうな場所などまずない。


 しかも壁、というよりも城壁の上層にはバリスタなどの遠距離武器も数多く設置されていて、防御能力が非常に高いことをうかがわせる造りになっている。


 壁面には覗き窓のようなものが付いているところ見ると、そこから魔法などでの攻撃も可能なのであろう。


 帝国との防衛線を担う地方の都という位置づけである以上、万全を期すという狙いがあるのはわかるが、一つの街の防衛能力としては異常すぎる外観。


 他の思惑があると考えられてもこれは仕方がないだろう。


「どうするんじゃ?この手配書をみるに、クジョウと違って正面からは入れてもらえんと思うがの」


『すぐに戦闘の開始だよな。私はそれでも構わないけど』


 エリザがそう言いながらひらひらと一枚の紙を手元で弄ぶ。あれは何度目かのリッチモンド伯爵からの刺客を返り討ちにしたときの戦利品だ。


 簡単に言えば指名手配書。誰が書いたのか、それなりに似ている似顔絵と懸賞金の書かれた紙きれ。下段にはデッド・オア・アライブの文字が躍っていることからも、これが俺を手配したものであるのは間違いない。


 どうやらクジョウを堕とした俺は、リッチモンド伯爵の中で完全に敵に認定されてしまったようだ。それ自体は別に構わないしむしろ望むところなのだが、一体どうやって俺という存在を認識したのか。そこだけが疑問だった。


『追跡の魔法とかいろいろあるからな。私たちがいる以上は基本的にそんなもの気づかないわけないが、敵に魔族がいるとなるとわからない。魔族の中には隠蔽魔法が得意な奴もいるし、そういうところから情報が流れたのかもしれないな』


 筋の通るスルトの説明。確かにその可能性はあるか。まぁ、どんな経路であれ、ばれようがばれまいがそんなものは関係ない。俺は俺のやりたいようにやるだけだ。


「どうします恭介さん?まずはあの門ごと燃やせばいいですか?」


「それでもいいけどここは頭を使おうぜ。ここまで搦手でやってきてるんだ。最後の最後に力技ってのも味気ないからな」


 そのためにわざわざ収納にいらないものをつめてきたのだ。それを使わない手はない。


 カムイの街を遠目に見つめながら、俺は薄く笑ったのだった。


 ◇


 カムイの街への出入り口は2つ。アーネスト公国の中央部へ向かうための南門。もう一つは防衛線へ向かうための北門の2つだ。


 どちらにも兵が常に30人単位で常備しており、未だかつて不法侵入を許したことはないらしい。


 それなら空からはとも思ったが、シュライデンの話によれば、空には対空用の結界が縦横無尽に張り巡らされているのだそうだ。


 もちろん俺達ならそこを突破するなど訳はないが、できればスマートにいきたい。そのためにはばれるなどは以ての外なのだ。


『それで方法は?』


「まぁ見てろよ」


 門を突破するにはどうするか?簡単なことだ。門を見張る者の目を他に向けてしまえばいいだけのこと。


 俺達のいる南門は、公国の中央部へ向いていることもあり、交易用の門としても使われている。そのためか先ほどから大きな荷車を引いた馬車が、ひっきりなしに街道をカムイへ向けて走っているのだ。


 やはりファンタジー定番の中世の設定のせいなのだろう。車などは一度も見ることはなく、運搬の手段は全て馬車で行われているようだった。


「ちょっと失礼するぞっと」


 そんな馬車の一つ。街へ向けて走る馬車の荷車へと侵入し、収納の中からとあるものをいくつか置いておく。それを繰り返すこと10回。


「何をしておったんじゃ?」


「門を通るための細工とゴミの処理だよ。もうちょいしたら門が騒ぎになるはずだ。その隙に中に侵入するぞ」


「わぁ、恭介さんの顔が素敵に黒いです!!これは悪いことをしたに違いありません!!間違いないです!!」


『こいつ。ほんとに清々しいくらい悪い顔するよな』


 褒めてるのか貶してるのかは知らないが、俺はそれを無視してゆっくりと街へ続く街道を歩いていく。


 門まで残り100m。そろそろ門番が俺達に気づくという距離まで近づいたその時だった。


「お、お前!?これは何のつもりだ!!」


「どういうことだ!!なぜ荷車にこんなものを入れている!!」


「な、何をしているんだ貴様らは!!」


 次々に響く門番の怒鳴り声。それに呼応するかのように次々と出てくる兵士達。


 兵士たちは先ほど到着した商人たちが街へ入るための検査をしている最中、荷車の中のあるものに対して強く反応したのだ。


 5台の荷車に対して10人ほどの兵士が捕り囲む。その様子はまさに一触即発の様相を呈してはいるが、全ての兵士が今は荷車へ意識を集中させているようだった。


「今のうちに一気に通過しちまうぞ」


「お主、やっぱり悪趣味じゃな」


「何とでも言えよ」


 緊張感が異常に高まった門を、俺達は目にもとまらぬ速さで通過する。


 ステータスに任せた強引な突破であり、平時であれば例え目に留まらなくても兵士は違和感を抱いたことだろう。だが、今は非常事態の起きている最中。俺達の高速移動で少しばかり強い風が起きたとしても、誰も気にも留めることはないのだ。


「はい、侵入成功」


 こうして俺達はカムイの街の中へあっという間に侵入を果たしたのだった。


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