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第312話 勇者の本領

第312話〜勇者の本領〜


 木山のステータスに比べ、俺のステータスはそこまで劣ってはいない。


名前:斎藤 恭介

 種族:龍魔

レベル:220

 適職:反逆者・公王

 適正魔法:身体強化魔法(レベル220)

スキル:龍魔槍術(レベル12) 錬金の秘奥(レベル10) 

    森羅万象(レベル15) 異空間収納(レベル6)

    明鏡止水(レベル21) 龍魔化(レベル2)

    未来視(レベル40) 過去視(レベル39)

    魂魄励起(レベ8) 眷属化(レベル9)

ステータス 攻撃:188233×46=8658718

      防御:188162×46=8655452

      素早さ:189359×46=8710514

      魔法攻撃:166875×46=7676250

      魔法防御:166156×46=7643176

      魔力:168821×46= 7765766


 ガブリエルを倒した事で莫大な経験値がもたらされ、さらにはベルゼブブとも契約を交わした事で俺のレベルは相当に上がっていた。


 各種スキルも強化され、単独でもすでに上位天使である座天使であれば撃破はできる。チームを組めば智天使だって討伐対象にすることも可能だ。


 だが確かに俺は木山に比べれば選ばれなかった人間なのだろう。素のステータスで九百万という馬鹿げたレベルに達している木山に対し、俺は反則的な身体強化魔法を使ってようやくそこにたどり着くことができるだけ。


 スキルや魔法を抜いた強さなど比べるまでもなく、もし戦えば瞬く間に俺は木山に殺されてしまうだろう。


「くたばりやがれっ!!」


 すでに相当数の槍を破壊されたが、俺は新たに進化したスキルである異空間収納と錬金の秘奥を駆使し、破壊された槍を異空間に収納。すぐさま錬金の秘奥で修復し戦線へと送り出すという荒技を使って戦場に常に槍を最低でも百は飛ばし続けていた。


「ぬりぃんだよ!!」


 それでも木山はそんな俺の猛攻を意に介さずに剣の一振りで大半の槍を破壊してしまう。もはやその光景は俺にとってはそれこそ理不尽でしかなかったが、どちらも本領を未だ出す事はしていない以上、こんなところで根を上げるわけにはいかなかった。


 インデックスにより鑑定してもらったところ、どうやら木山の持っている剣はオリハルコン製の剣らしい。


 オリハルコンといえばファンタジーの世界では定番の、最高の鉱石とも呼ばれるものだ。どうやらそれを天使が手を加えたらしく、ただのオリハルコンよりもはるかに強度や威力が増した剣となっているようだ。


 対する俺の槍はハイミスリル。決して弱いわけではないは、オリハルコンと比べればどうしたって差は出てしまう。


 それはまるで俺と木山の差のようでもあり、そんなところでも如実に現れてしまう差に、俺はもはや苦笑をするしかなかった。


 木山と俺には圧倒的な差があるのはわかっていた。それこそそんなのは元の世界で嫌というほど味わってきた。だったら今更その事実が増えたところでなんだというのか。俺はあの時、あの永久の森で一人、もう二度と理不尽になど屈しないと誓いを立てたのではなかったか。


「お前が本気を出さないなら無理やりにでも出させてやるよ!!」


 俺は何をしにここにきたのかを思い出せ。ここにきたのは木山を倒し、そしてカナデを取り戻すためだ。俺の長年の因縁に決着をつけるとともに、中央大陸を木山から守るためではなかったのか。


 なら出し惜しみなんてしてる暇はない。元から木山が強い事は百も承知。これまで木山に勝てたことがない以上、俺はあくまで挑戦者的な立場なのだから力の温存などもってのほか。


「ロンギヌス!!」


 魔槍の召喚により召喚するは、神殺しの槍。神の如くこの世界に君臨しようとしている木山を殺すにはお誂え向きの槍だろう。


 すでに陽動のために銀の槍は木山の周囲に配置してある。木山も俺が仕掛けてくる事はわかったようだが、無数に襲いくる銀の槍を捌かなければならず、攻撃のためを作っている俺を止める余裕まではないようだ。


 それはそうだろう。確かに俺の攻撃は先ほど木山にダメージを負わせることができなかったが、この先もそうだとは限らない。無数に散らばる槍の中に、俺が必殺の一撃を忍ばせていないとも限らないのだ。


 だとすれば木山は容易だとはいえ全ての槍に対処をしなければならない。しかし対処する槍は無数にあるせいで、俺への対応はどうしても接近してこなければ行えない。ならば俺はそこをつくまでだ。


 ロンギヌスに魔力を纏わせた宙を舞う槍の間を縫うように木山へと接近する。無論、過去視と未来視は同時にすでに発動させている。


 確かに木山は強い。もうそれは認めよう。ステータスも高ければスキルに至るまでが反則級。おそらくだが、このまま成長を続ければ一年を待たずして熾天使の強さなど越えていくことだろう。


 木山の性格を知る俺からすれば、きっと今の天使との同盟も一時的なものであることくらい簡単に予測がつく。天使にしてもそのつもりなのかもしれないが、最終的には木山が憤る天使を前に高笑いしている姿が目に浮かぶ。


 そうすればその次はきっと神にも木山は噛みつくことだろう。何より自分の上に誰かがいることを嫌うやつのことだ。その可能性は極めて高い。そして実際に神を超える可能性も俺なんかよりもはるかに高いはずだ。


 木山という人物は性格に難があるのは周知の事実だが、それを補ってあまりある才能がある。俺なんかでは逆立ちしても勝てないほどの才能がだ。


 だがその才能も使わないなら宝の持ち腐れ。今この時に限っては木山はまだ俺のことを舐めている。だからこそ聖剣を使うそぶりも見せないし、何より持っている天恵をほとんど発動しようともしない。


 ならば俺はその間に殺すだけ。実際の強さなど勝敗には関係ない。結局は勝ったものとは生き残ったものなのだ。俺を舐めて力を使わないなら俺にとっては好都合。こちらは持てる力を注いでその隙に木山を殺せばそれで終わり。あの時にこうしてればなどという言い訳は、死んでしまえば無意味でしかないのだから。


「今度こそくたばりやがれ!!」


 攻撃を当てるだけの隙は作った。銀の槍による陽動で、木山の余裕を奪い、さらには未来視で剣の軌道を読み切り、過去視で俺の行動を改竄し確実に木山に攻撃が当たるように配置する。


 やっている事はさっきと同じかもしれないが、それでも木山は未来と過去を支配する俺の攻撃には対応できていない。さらに先ほどとは違い、今度の攻撃は俺の攻撃の中でも破格の攻撃力を誇るロンギヌスによる一撃だ。


 いかな木山といえど、この一撃をモロにくらえば流石に致命傷となるのは間違いない。


 先ほどの再現かのように、俺の攻撃は木山の剣をすり抜けるように胸元に向かい一直線に進んでいく。そして確かに俺の槍は木山の胸に直撃した。


 だが手に感じるのは先ほどと同様の虚しい手応え。


「さっきよりもマシな攻撃だけどよ、そんなので俺に傷を付けようってのが土台無理な話だ」


『マスターっ!!』


 これも先ほどの再現のように、振り下ろされた剣を俺は間一髪で回避して後ずさる。


「おいおい、それがお前の全力か?だとしたら期待外れもいいところだぞ?」


 あり得ない。薄ら笑いを浮かべながら俺を見る木山に対して、俺が感じたのはその一言に尽きる。


完璧なタイミングでのロンギヌスによる一撃だ。あの一撃はこれまでの経験から考えれば智天使程度なら殺せる威力を持っていたはず。


『おそらく敵のスキル、聖なる守護の効果だと予測されます。神に認められた者に限り、あらゆる攻撃に耐性を得るスキル。そのスキルでマスターの攻撃を防いだのだと考えられます!』


 なんだその反則的なスキルはと怒鳴り散らしたかったが、木山はその時間すら与えてはくれない。


「おら、次は俺の番だ」


 俺の周囲に展開されるのは無数の光の魔法陣。さらには上空に巨大な炎の魔法陣。


「生き残って見せな」


 その言葉の次の瞬間、俺の視界は白と赤の光によって一気に奪われたのだった。


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新連載を開始しました。 【『物理特化ですがなにか?~魔術は苦手だけど魔術学院に入学しました~』 是非こちらもよろしくお願いします!!
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