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Life-Cycle Hypothesis
夜のとばりはどこへいく。
どこにもいかない。
背筋を指先でそっとなぞる。
嚥下して
木々と羽毛のあいまにとける。
とろかす。
木々と羽のあいま、凍結した麦の穂に
あついミルクを注ぐ、銀色のスプーンで
おどるように
とろかす。
ちぢこまった文字たちを
とろかすように、それがいる。
かじかんで、こそばゆい。
冬の午前2時をとろかしていく。
夜が
夜がよんでいる。
気がとおくなるほどに
夜が。
振り返ると朝だった。
幢幢と 飄飄と。
ともしび点ると
幢幢と
瞳瞳と 堂堂巡り
生生世世 洞洞の闇
鼕鼕と 心音の
トレモロ途絶えぬ
幢幢と。