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ことばかす
「変身」
沈黙が川をすべりおりてゆくあいだ、
水のようにわたしたちのあいま、
うたうように
あいが
濯がれて。
◇
「水没の花」
水没の窓ガラス
週末の憂鬱を飲み
流木の手を濡らす
宵闇の真水のなかで
脱け殻の水槽抱いて
◇
「さじかげん」
甘過ぎだ、今朝の珈琲
どこまで溶ける?
残る、そこに。
のみ干した、みつのあじ
どこまでとける?
残る、――そこに。
◇
「1/n」
コモン・プール
高速バスの前のほう、窓際。
404を送り続ける
不幸を生業とする窓際の
403を拒み続ける
マークXに抜かされて、
512。
意味もなく大衆文化。
◇
「鍾乳洞」
垂れてゆく
ビルたちが
じっくり、ゆっくり、じわじわと。
のびてゆく。
もっと上へ、より上へ、さらに上へその上へ。
ぷかぷかの空がびりりとなって
黄色い砂の遊び場で
ビルの化石が垂れてゆく。