表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
エリート先輩の異世界でも大魔導士【エリート】様伝説  作者: 史重
第二章 続きは異世界で待っている
19/24

各務氏 『Raod to royal capital』?

英語には自信がありません!えっへん!


「俺の昭和のラジオ並みの繋がりにくい頭にも分かるよ~に説明してくれ。

 アマンダさんルートは初っ端で消えたよな?」

 俺の眼をよく見ろと迫ったら目潰しが飛んできた。あっぶ!あっぶ!

「ちゃんと聞いていたわよ。何故だか忘れられてた様な気配がするけど、ちゃんと聞いて考えてました!」

 ぷんすかと口で言いながら迫田が胸を張る。ちょっと小振りの胸を張る必要がどこに・・って真崎!茂呂末にリークするな!

「乗り物コースも騎獣コースも砂舟でも、各務さんの魔力が抑えられないのなら危険度はかなり上がると思う」

 迫田の言葉にハッとシーラが頭を上げる。そうか、魔力酔いをするのは高位のモノばかりじゃない。意思の疎通のできない生き物への影響は逆に大きくなる筈だ。

 飛竜も走竜も、魔力に中てられて使い物にならないだろうし、砂舟で砂漠を突っ切って近道をしようにも、砂の中に居る魔獣が大いに刺激され襲ってくるのは確実だ。

 砂漠を迂回して敷かれた街道も、魔獣との遭遇率は高くなる。正しく八方塞がり。

「だから!部屋を出た後もキキが部屋の中を実況中継してくれてたから、田中君たちと同時に茂呂末と各務さん問題について話してたの。

 結論。これはもう、アマンダさんにせめて王都の郊外まで送ってもらう方が現実的よねって」

 お、女って奴は現実的と言うか、俺たち男が過程について話している所を結果重視でものを考えている。直感と言うのかもしれないが。

「私も方法論は出せないが、不可能に見えて単純にそちらの方が現実的じゃないかと思う」

 各務さんもそう思いますか。悪友も勝田も頷いている。真崎はなんで悪役笑いしてるんだよ。そんなオチ要らねえよ。

「問題はアマンダさんと取引きのできるネタだよな。そう考えているとアマンダさんが出て行くときの顔を思い出した。アレはこうなることを予想していたな。俺たちが何を出してくるか楽しみにしているんだろうな。

「そこでね、私たちの方から提案があるの。と言うか、切り札を提供したいの」

 迫田が茂呂末に目をやると渋々と言う態で紙袋を突き出してくる。何の変哲もない、こっちに来た時に何やら入れる袋が欲しいと言われ出したものだ。中身は分からない。

「これならアマンダさんもうんと言ってくれる物よ」

 自信満々で迫田が言うが、隣の茂呂末は俯いてブツブツ言ってるぞ?ハイとロウが普段とは逆の二人になっている。

「それが何かと聞いても?」

 恐る恐る聞いてみる。すると、にんまりと笑って迫田は俺にその紙袋を渡そうとしてくる。

「知りたい?ほんと~に知りたい?」

 罠だ。これはきっと罠。受け取って中を除いたら禍が出てくるかもしれない。

「いや、さこたがそんなにじしんがあるのならおれはそれでいいとおもうよ」

 目を逸らしまくり逃げる。勝田はやっぱ壁を見ているし、真崎は笑いながら離れて立っていた。

「じゃあ、俺が見ようか?」

 馬鹿(勇者)がいた。こればかりは名前詐欺じゃない。本当に馬鹿だ此奴。

「完次君の馬鹿~~~~~!」

 鳩尾に球速2百キロの文鎮がめり込んでいる。肺の酸素が全部抜けたんじゃないだろうかアレは。茂呂末恐るべし。

「近衛さんは(おもんばか)ると言う日本語を学んだ方が良いと思う」

 そうですね各務さん。彼奴が生きていたら俺が脳味噌に刻み込んでやりますよ。

「ま、まあ?思わぬハプニングもありましたが、この案は自信をもってプレゼンしたので全て私が責任をとるわ。

 安易な保証はしないから安心して。確実にヒットするから」

 ドンと胸を打ち迫田が言い切る。なんだよ真崎。俺だって墓穴職人は卒業するんだ。なにも言わないぞ?

「アマンダさんとのバトルは私が制す!」

 頑張ってくれ。迫田の薄い・・いやその華奢な双肩に俺たちの未来が懸かっている!



「本当に大丈夫なんだな迫田」

 勝田がここに来て心配する。その背からピリピリと緊張が伝わるが、丸まった尻尾なんて幻覚は知らない見ていない。

 俺たちは部屋を出て興味津々に見てくるムサイ奴らをすっぱり無視してカウンターに声を掛ける。

 カウンターには看板娘の清楚系肉食女子のフリージアさんが座っていた。

 奇しくもあのとんでも野心家王女と同じフリージアさんは、大物食いで有名な受付嬢で何故か悪友がアマンダさんと同じくらい怯えている人物だ。

 ほっこり笑顔に騙されるなと背景が煩いので、嫌なら外に出ていたらいいのにと蹴り出す。

「フリージアさん今日もお美しいですね」

「あらセイジ様。もうよろしかったのですか?

 やっとお戻りいただいたのに・・・私は呼ばれませんでしたわ。

 ギルマスのおやつ予算の改正を上申しましょうか?」

 美しい白い手が閃き細面の美貌を半分覆う。

「それ、俺を巻き込まないって保証してくれるのなら良いものをあげられるんですけど」

 ちらっと伺う俺をにんまりとした瞳がロックオンする。

「あら、買収ですか?喜んでお受けいたしますわ」

 しれっと上司だろうが親だろうが売り飛ばす様が思い浮かぶ。上司であるアマンダさんの懐刀でもある女傑だから、アマンダさんの急所は承知なのか。

「つまらないものですがお納めください」

 カウンターを滑らせ彼女の前に綺麗なリボンを巻いた小箱を押し出す。

 それを見た途端、彼女の瞳に星がぽんぽんとポップアップした。

 元々ご機嫌伺いにお土産として用意してきたものだ。フリージアさんはサテンにレースをあしらったリボンに釘付けになっている。瞳を潤ませ頬が紅潮しているその姿に流石に引く。

 無理も無い。これだけ美しいものが商品ではなく贈り物の梱包材の一つだとは、パライソと言うよりこの国では驚愕クラスの暴挙だ。

 その上、美しい柄の入った驚くほどに薄い包装紙に包まれた小箱にそのリボンが巻かれている。

 包装紙を解くと現れた蝋でコーティングした様なツヤツヤの小箱には、金箔で店名が書かれている。どれもが金のかかった王侯貴族や大金持ちが使用するものだと思われる。

 箱の中身はビーズ細工の紫のバラを象ったブローチ。

「これを?私が貰っていいのかしら?駄目って後で言っても返しませんわよ?」

 震える手でブローチを持ち上げ、そおっとランプの灯りに照らし見る。

「綺麗・・・こんな高そうなもの。本当にいいのですか?」

 代償に何を要求されるのかと思い至ったのか、疑わし気に俺を見てくる。

「勿論ですよ。

 この間最後にあった時、ヒデカの神殿で異変があるって教えてくれたでしょう?

 もう既に町は占拠されていて俺たちに知らせてくれるのも命がけだったと思うし。

 その節はありがとうございました」

「「「「「ありがとうございました」」」」」

 俺に便乗して皆も頭を下げる。悪友も戻っていて勝田越しにではあるが礼を言った。

「あ、あれは、ギルドも閉鎖されていて、依頼から戻らない冒険者様たちに連絡していただけですもの。

 ・・・結局、間に合いませんでしたね」

 照れながらも、自分の行動も間に合わなかったと思い悩んでいたみたいだ。

「フリージアさん。本当にありがとう。貴方がいなければヒデカの行方の手掛かりすら分からなかったの。

 本当にありがとう」

 迫田がフリージアの手を握り礼を再度言う。褒められ慣れていないのか、フリージアさんの真っ赤なレア顔が見れることになった。

「ギルマスはもうアリアさんトコかな?」

 茂呂末が落ち着いた頃合いにフリージアさんに尋ねる。

「あ、ああそうでしたね。もうお昼時分なので店に先に行っていると言付かっていますわ」

 気を取り直したフリージアさんはアマンダさんの伝言を伝える。予想通りなので礼を言うとカウンターを離れた。

「あ、フリージアさん。ワゴン廊下に出しときました」

「あら、ミントいませんでした?」

 これはミントさんの名誉より、うっかり迷い込む馬鹿がいないでも無いだろうから言っておこう。

「ギルマスの部屋の前で腰を抜かして唸ってます」

「あ、あら、おほほほほほほほほ・・・」

 すっくと立ったフリージアさんはカウンターを降りると笑顔の残像を残して奥へと行ってしまった。

 笑っているのに般若に見える笑顔ってと迫田が呟いた。

「まあ、なんだろ。うん、アマンダさんのトコ行こうか?」

 取り繕うように迫田が提案する。異論も無いのでギルドから向かいの食堂へ向こう事にした。


『アリアの台所』はこじんまりとした可愛いお店で、外見からうちの女子には人気があった。このイグリダ唯一の店舗型食事施設で、隣には店主の親族が宿を営んでいる。

 味は俺たちの舌に合うやや薄めだ。労働者の多いこの地域は舌が痺れるほど(香辛料が高価なので調味料の辛味)辛い。その中ではまだ美味しいと感じられる程度の辛さのこの店は有難く通わさせて頂いた。

 店の始まりは、アマンダさんがギルドマスターに収まると何処からかアリアさんを連れて来て店を出させた日から。以来十数年同じ味を提供し続けてくれている。

「まっまっまあ!カンジじゃないの!」

 店の扉を開けようとしたときに、店主であるアリアが出てきた。

 ふっくらとマシュマロの様な顔とどっしりとした肢体がTheお母ちゃんなアリアは、目にした悪友をしっかりと抱き潰しながらローリングキスをしている。放っておくと摩擦で悪友の顔が磨滅しそうなので声を掛ける。

「アリアさん。他の奴らも来てるし、久しぶりにアリアさんのゴハンが食べたいって言ってるんだ」

 うんうんと涙ぐんで迫田が待てずに悪友ごとアリアさんに抱き着く。何かが潰れる音がしたが気にしない。

「アリアさ~ん、会いたかったよ~」

 茂呂末も便乗して飛び付くが、流石母ちゃんびくともしない。

「ミエ!アイも!まあ、暫く見ないうちに・・太ったかい?」

 身体に見合う大音声でびっくりアリアさんは叫ぶ。迫田たちはもうッとふくれるが、アリアさんが泣き出したものだからぎょっとして抱き着く。

「どうしたのアリアさん。何処か痛くした?」

「ゴメンね・痛かったの?」

 茂呂末もおろおろと落ち着かない。

「違うわよう。アンタたちあんなにガリガリで、目の下なんか真っ黒に腫れ上がってたのに、こんなに娘さんらしくなってぇ。

 小母ちゃん心配してたんだよう。

 アンタたちが居なくなってからも、何故か小っちゃくなったセイジは来てくれてたけど、みんな生きてるって言うだけでなあんにも言わないし」

 良かった良かったと二人を撫でさするアリアさんに二人もウルウルしている。

 軽く言ってるが、俺が若返りして戻った時にはお喋りなアリアさんが絶句して、迫田たちが居ないことに何かを察したのか何も言わずに迎え入れてくれた。

「おや!ごめんね。アマンダさんに用じゃなかったのかい?

 奥の個室に居るよ。先に行ってな、腕に縒りをかけてご馳走作るからね。ほら」

 ポンと迫田の尻を(はた)き中へと促す。

 それからは俺たちに抱き着いてはキスをして一緒に入った。

「まあまあまあ!いい男だねえ。

 父さんが化けて来たかと思ったよ」

 各務さんと対面した第一声だ。そんなわけあるかあの熊男と比べるなんて烏滸(おこ)がましいって言うかおっさん薪を担いで裏口から入ってきたぞ。勝手に旦那を殺すなよ。

「セイジ生きてたか」

 無表情で口数少ないアリアの夫・ぺテルは真っ先に俺の所に来てくれた。俺が人工魔獣に捕まった時に最後まで助けようとしてくれていた。元が付くけど大先輩冒険者だ。

「ぺテル。他の子たちも居るわよ」

 喜々としたアリアに振り向くと、ぺテルは目を見張る。

「無事だったか」

 息を吐き出すように言うぺテルに皆黙って頷く。その様子をアリアさんが涙ぐんで見ている。胸が痛くなって温かくなった。

「それからね、新顔さん。アンタに負けないイイ男よお」

 手の平返しかという勢いで各務さんが紹介される。もう苦笑するしかないが、初対面の気まずさも無く各務さんがぺテルに挨拶をする。

「エイタロウと言います。ギルドマスターに呼ばれて来ました。

 セイジからここの料理は美味しいと聞きましたので楽しみにしています」

 卒なく老夫婦に挨拶をする各務さん。俺もこれくらいさらっと言えたらなあ。

「よろしくエイタロ。楽しみにしていてね。それじゃ、ぺテル後を頼むわね」

 ニコニコとしながらアリアさんは厨房に退場していく。ぺテルはうっそりと頷いて薪を担いだまま方向転換をする。仕事の途中なら悪いと声を掛けると、半分は奥の個室用だと目の前の大きな暖炉の薪置きに半分下ろす。

 のっしのっしと薪を抱えて俺たちを先導する。

「アマンダさん、坊主たちが来たぞ」

『入って貰って』

 ドア越しに声を掛けるぺテルさんにご機嫌なアマンダさんの声が返って来る。これはイケるのか?急に動悸息切れ眩暈が・・・と方向転換をする前に勝田に捕獲された。

「今日は俺この扉は開けない方が良いって星占いで書いてたし」

「馬鹿?」

 迫田に呆れられたように見られる。それキツイ。ぺテルさんもその手で撫でられると頭が()げます。本当にスミマセン。

「ギルドマスター、入ります」

 覚悟を決めて扉を開けるとそこは南国リゾートと化していた。

 生い茂る南国の緑が鉢植えで効果的に並べられ、奥行きを広く見せている。

 普段は暖炉を中心とした家庭的な雰囲気の団体用の個室の一つとして稼働しているが、アマンダさんが貸し切りにすると様々なテーマで模様替えがされる。

 アリアさん夫婦は別に恩人だからと言ってアマンダさんに盲従するわけでは無いが、可能な限りアマンダさんの我儘を受け入れる。

 今日は南国リゾートの気分なのだろう。

 大きい机は仕舞われて、床には真っ白な砂が敷き詰められている。歩くたびに砂がワークブーツを絡めとるの難点だが、ヴィジアルの完成度は高い。

 目的のアマンダさんは小麦色で肌露出の高い少女に指のマッサージと爪の手入れをして貰っていた。

「待ち草臥れたわよ。両手足の爪を2回も塗り直したわ」

 そう言いながらも2回目の爪の色が気に入ったのか、お礼を言って少女を下がらせた。

「それで、どうするの?」

 見透かされるようでうんざりするが、正直に俺たちの決めた今後の方針を告げる。

「各務さんを王都に連れて行って僅かな可能性でもギフトの問題を解決してから、設楽の救出という順序になりました」

 当然よねとアマンダさんは続きを促す。

 ここで迫田が出番を主張する。俺は頭一つ下にある迫田の旋毛を見ながら溜息一つ落とし、場所を譲る。

「そこでですね、王都までの移動手段なんですけど全滅になることが分かってしまったんです」

 アマンダさんの眼が半眼になる。迫田の発言のその先が読めるからだろう。

「嫌よ。可愛いミエの頼みでも。

 王都までこの馬鹿者たちを送れって言うんでしょう?

 冗談じゃないわ」

 ふんとばかりに横を向く。やっぱり迫田でも無理だったか。迫田の事は割とお気に入りだったけどそれとこれとはと言うより、迫田で(から)め取ろうとしたと捉えられたんだろうな。

「そうなんですけど。各務さんの駄々洩れ魔力が抑えられないとどのルートにも魔獣や騎獣問題で私たちも危険になるし・・。

 アマンダさんにお願いを聞いて貰おうって、あいとも相談してあるものを持ってきたんです。

 それでもダメってアマンダさんが言うのなら、諦めて歩いて行きます。

 見るだけでも見てくれませんか?」

 迫田のアマンダさんを擽るポイントを抑えた『お願い』に、アマンダさんは無言で思案している。

 迫田の下ろした竿の先、謎の貢ぎ物がアマンダさんを誘っている。食うか、喰い付くか、息を呑んで状況を見守る俺たちとぺテルさん。・・・ツキアイガイイネ。

「・・・見るだけなら見て上げてもいいわ」

 釣れた!?内心小躍りしながら見守る。口も手も出せるものか。

「では、これを、お納めください」

 迫田は茂呂末と二人で綺麗にラッピングされた薄い箱を渡す。あの紙袋はどうしたんだ?包装し直したのか?興味がわいて凝視する俺を茂呂末は睨んでくる。

「アマンダさんここはちょっと拙いので別室を」

 構わず箱を開けようとしていたアマンダさんを引き止め、迫田はアマンダを案内して部屋を出ていく。何が入っているのか興味は尽きないが、悪友の辿った道を思い出し自粛する。茂呂末が何か言いたげにこっちを見ていたが口にする前にお呼びがかかった。

「あい、行くわよ。アリアさんも呼んで来て」

 迫田が呼ぶと、茂呂末が舌を出して追いかけていく。緊張感がぶった切られて息を吐く。迫田グッジョブb


 そんなことがありました、1時間後。

 油断してだらけていた俺たちを飛び上がらせる大音声が響いた。

「最高!いいわ、いいわよ!どこにでも送ってあげるわ~」

 何があったんだろう。何がったんですか?

 踊るように入ってきたアマンダさんは、赤いトレードマークのロングドレスをひらめかせながら、宣言した。

 その頬は紅潮し蕩けるような瞳は俺たちなんぞ映していない。何か同じようなシーンを見たような。

 何度も見えない位置にあった姿見の所へ行ってはポージング。戻って来ては迫田と何やらきゃあきゃあ言っている。

 そう言えば、元々大きかったお胸が形良くボリュームアップされてませんか?腰回りもきゅうっと絞られたような・・・?ん?んん?あ・・んぐ!?

「それでは王都まで転移を使用して頂けるのですね」

 背後から各務さんが俺の口を塞ぐ。セ、セーフ?

「ふふん。いいわよ。ミエとアイにはとっても良い物貰っちゃったもの。彼女たちに大いに感謝しなさいよね。

 まあ、それも王都の一歩手前の町・アランス迄だけどね」

 腰に手を当て『何やら様』を強調するようにモデル立ちをされてますがな。餅は餅屋だった。これは俺たちの誰も思い付けない切り札だ。

「ええ、彼女たちは俺たちにはもったいない宝ですからね。日常から崇め祀ってますよ」

 軽口は迫田には不評だったがアマンダさんは当然よと返してくれた。え?本気で言ってますか。

「回り道に思えるかもしれないけれど、最善の道よ。

 シーラは知らないから夢を見た。私達は過去の遺物なの。今を生きている貴方たちは気にすることなくやるべきことをやりなさい」

 ここに居ないシ-ラを思う。だから付いてこなかったのかもしれない。

「さて、大きいことは決まったし、アマンダさん私お腹空いた。アリアさんのゴハンが食べたい」

 珍しく子供のようにはしゃぐ迫田は元々アマンダさんによく甘えていたな。ギフトも関係しているのかもしれない。

 アマンダさんも迫田だけは甘やかしていた。時々痛ましいものを見る視線に驚いた記憶が甦る。

「そうね、アリアが冷めるわよって怒ってくる前に行きましょうか」

 考えてもしょうがない事には蓋をしよう。誰も喜ばない。

「食べたらお買い物よ!ミエもアイも王都の奴らを驚かせましょうね」

「「イエ~イ」」

 お、女の買い物。千里の道もマイナス一歩かもしれない。


女子ーズは強い。今迄空気でもやることをやってます。


読んで戴き感謝感激。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ