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――悪夢――
とある日の、少年の夢――。
その映像はノイズが酷く、とても見られたものではなかった。映像の向こうにいる人物の顔は歪んでしまっている。音声は、様々な年代が混ざったような一定のない声が発せられている。
かろうじて目視できる範囲では、少年の目に映っているのは2人の男女だ。しかし、壊れた機械から流れるような音質は、まるで何十人もが同じ言葉を同時に話しているみたいに恐ろしい音をだしていた。
その中で、少年は笑っていた。
「ホラ、ナオトモ笑ッテルジャナイ」
「家ニ引キ返スゾー?」
少年は慌てて両手で顔を覆った。
「笑ッテナイヨ!」
男女が悪魔のような不気味な笑い声をあげる。少年は顔を覆ったまま指を開いて隙間を作った。そして、急に大きな声をだした。
「危ナイ!!!!」
直後、何かにぶっつかったような音が聞こえ、ノイズがさらに悪化し無音となった。
無音の世界に音色を与えたのは、少年の見知らぬ男性であった。
「キミ! 大丈夫カ!? 名前ハ!?」
少年が辺りを見渡した。それから、ある場所で動きを止めて爆発したように叫んだ。
少年は走った。何かを抱きしめると、少年の身体は真っ赤に染まった――。




