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俺の家族が全員最強でした――。チートは問答無用でフルボッコ!  作者: 犬丸
SEASON・2――/第一章・青年期編・4
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塊叫団と最弱・5

「ナオト、無事か!?」




 すぐに俺と奴らの間に滑り込んできた青島隊長。言霊以外は跳ね返せないようで、青島隊長の攻撃を食らった奴らの1人が派手にぶっ飛んだ。


 予想をはるかに上回る青島隊長の馬鹿力。リーダーらしき男の目が据わる。




(言霊の能力なしにここまでの力を発揮するとは……。この男が相手では、今の我々の装備では太刀打ちできん)




 リーダーが合図を出すと、物騒な集団は少しずつ後退を始めた。そして、




「また会うことになるだろう」




 そう言って空へ手をかざす。




瞬間移動(テレポーテーション)




 言い終えると同時に眩い光に包まれる。姿が半透明になると、空に真っ黒い穴が空いた。


 なんだ、あれ。空には手が届かないんじゃないのかよっ。


 立ち上がって奴らに手を伸ばす。瞬きをしている間に姿は消え、空にはいつも通りの景色が広がっていた。


 ぎりぎりで取れた物を手の平に見る。




「まさか、消えるとはな。それに、このマークはなんだ?」




 青島隊長が指でつまむ。




「……前に、俺が異世界から来たって話したのを覚えていますか?」

「もちろんだ」

「それは国旗といって、国のシンボルみたいなものです。意味は〝日本〟。俺が住んでた国の国旗なんです……」

「――っ、なんだと!?」




 一先ず、彼らを特殊部隊と名付けておく。




(日本に帰った……のか?)




 じゃあ、俺とユズキも帰れるってこと? いや、その前にあの黒い穴はなんだ?


 俺が転生したこの世界と、前の世界の時系列がどうなっているのかは不明だ。もしかすると、日本の技術が発展して映画で見るような世界になっているのかもしれない。だけど、俺の記憶が正しければ……。




(温暖化に自然破壊、化学汚染に人口増加問題……。発展よりも破壊行為の進みの方が早かったはずなんだけど……)




 両親はよくニュースを見ては未来を心配していたっけ。


 とにかく、この事は帰ってからユズキと話してみよう。あの頃の俺は幼すぎて記憶が曖昧だ。


 立ち上がり、気絶した塊叫団の山積みの前で仁王立ちでいるイオリのもとへ行く。




「多分、これで全部だ。ブサイクは片っ端からぶん殴ってやったぜ」




 そこへ、山の中に仲間がいると教えてくれた奴隷が歩み寄ってきた。




「ありがとうございます。あんな態度をとった後でこういうのもなんですが、本当に助かりました」

「こんな状況です。我々は任務を遂行するのみ。して、仲間は後どれくらい人質に?」

「女子どもが数十人ほどと、あの御方が……」




 丁寧な言い方に青島隊長の顔が引き締まる。




「その者の名は?」




 男は声を小さくした。




「東昇の国帝、ジコク様でございます。遺体と共に連れて来られました」

「遺体……?」

「ええ。白骨化してました。しかし、着ている服がいくら古くても一目で分かる。あの遺体は、おそらく身分の高い者かと……」




 確か、ジコク様はオウスイとトアの墓を探しに行ったはずだ。青島班に緊張が高まる。




「わかりました。必ず全員を救出します。手を貸してくれませんか?」

「出来ることなら何でも致します」

「では……」




 監視カメラが取り付けてあったパイプで簡易的な檻を作った青島隊長は、その中に塊叫団を閉じ込めた。そうして、俺たちは奴隷に捕まった振りをしながら山頂を目指す。


 入口までやって来て、眼下に広がる光景に青島隊長とイオリが絶句する。




「なんなんだ、これは……」




 噴火口みたいな入口は鉄製のどでかい自動ドアのような物が設置されている。監視カメラへ奴隷が合図を送ると、真ん中から左右へドアが開き、これまた大きなエレベーターが姿を見せた。


 俺にとっては懐かしい文明でも、この世界にはこういった物は存在しない。機械だらけの山中に青島隊長とイオリの瞳は忙しなく動いている。


 降下したエレベーターが止まると、塊叫団に引き渡された。鎖で頑丈に拘束され、そして、




「お疲れさーん。さすがに一般市民には手が出せなかったみてーだな」




 ボスとの対面だ。ここは、モニター室といった所だろう。いくつもある画面には、俺がパイプを曲げたせいで地面ばかりが映し出されている。




「んでー、わざわざ謝罪にしに来たってか? 青島班の隊長さんよー。俺の部下をこっぴどく痛めつけてくれたらしいじゃねーの」




 長いターバンと足首まであるマントに、腰のホルダーに収まっている短剣は血に染まっている。いかにも盗賊っぽい身なりの彼の年齢はまだ若い。20代半ばくらいだ。




「親父はもう死んだか?」

「さあな。王家に聞いてみろ」

「ま、いいや」




 ボスはモニター室から別室へと移動した。更に地下へおりて、平行して並ぶ牢屋へぶち込まれる。ここに来るまでかなり入り組んだ道を歩き、いくつかのエレベーターを経由した。


 鉄格子越しに、ボスが告げる。




「先に言っておくが、ここの設計は実に微妙なバランスで出来ている。内部から破壊すれば、あっという間に崩れっから、妙な考えは起こすなよ。俺はまだ死にたくないんでねー」




 手を振りながら去って行く。


 こうして、俺たちは内部の潜入に成功したわけだ。隣の牢屋にはガイス班がいる。




「ガイスよ、精鋭部隊はどうした?」

「それが……、親父の敵だとか言って……」

「――っ、そうか」

「あの者は誰なんですか?」

「初代塊叫団のボス、ガゼの息子だ。名前はキルだったか。ガゼは死刑されるその瞬間まで息子の居所を吐かなかったと聞いている。それにしても、なぜ我々は生かされているのだろうか」

「他国に売り飛ばす気でいるようです。聞き慣れない国名でした」

「四大国ではない、ということか」

「はい、ガディアン……と」

「今度はガディアンか。ナオトよ、心当たりは?」

「ありません。始めて耳にします」




 どうやら、ただ塊叫団を殲滅するだけでは終わりそうにもないこの任務。


 オウガ様の名前が出てきたから、きっと王家と関係があるんだろうけど、残念な事に精鋭部隊はキルの短剣でこの世を去っている。




(なんだか嫌な予感がするな……)




 この世界は、いったい何に巻き込まれているのだろうか。


 一刻も早くユズキに会いたくなった。

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