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俺の家族が全員最強でした――。チートは問答無用でフルボッコ!  作者: 犬丸
SEASON・2――/第一章・青年期編・4
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塊叫団と最弱・4

 正直、加減がこんなにも難しいとは思ってもなかった。手際よく次々と襲いかかる奴隷を気絶させていく青島隊長と違って、俺とイオリは見るに堪えない雑な扱い方をしている。




(面倒だっ……)




 一刻も早くガイス班と精鋭部隊を救出に行かなきゃいけないのに――。そんな気持ちが余計に焦りを生む。何よりも腹が立つのは監視カメラだ。ずっと見られている。


 奴隷を避けながらパイプを蹴り倒しこちら側が見えないようにした。それにしても、




「おわっ!?」




 イオリが体を後ろへ反らせて拳を避ける。今度はしゃがみ込んで片足を軸に攻撃してくる。ジャンプして回し蹴りを交わすと、相手はすくっと立ち上がった。体を回転させて肘で横顔を狙う。イオリは軽くいなした。……ただの奴隷じゃない。


 かといって、塊叫団だと判断する材料もない!!


 青島班が背中合わせで集合する。




「青島隊長、この人たち……」

「ああ、戦闘に慣れているな」




 ここで、青島隊長が決断する。




「もう少し派手に暴れても平気だろう。イオリよ、半獣化を許可する」

「マジっすか!?」

「ナオトの場合、自己暗示の加減がきかない。ここはお前に任せてみよう」

「その間、俺は何をしたらいいんですか?」

「観察だ。紛れ込んでいる塊叫団を見つけ出せ」




 前から何度も言われている〝観察〟。実は、上級歩兵隊に昇格した時に、青島隊長が最も大切なことの一つとして教えてくれた事だった。


 任務の成功率よりもまず先に鍛えるべきもの、それこそが観察眼。言われてみれば、隊長たちが先に動くことはほとんどなかった。そして、青島隊長は模擬訓練の時にこうも話していた。




(相手の力量なんてものは後からでもいい。まずは、個人を知り、理解しようと歩み寄る心……)




 きっと、下級歩兵隊の頃から、青島隊長は下準備を始めていたのかもしれない。なぜなら、新人歩兵隊の中でこれを実行できているのはたった1人しかいなかったからだ。


 上級歩兵隊としての心構えを話した後、青島隊長はその人物を告げた。




(ユズキの観察眼を見習うこと……)




 これは、赤坂班と黄瀬班でも話されている内容だ。上級歩兵隊に昇格したということは、各隊長と同等の地位になったということ。これからも隊長ではあるけど、下級歩兵隊の頃のように特別指示は出さない。自分達で判断していかなければいけないのだ。


 我先にと襲いかかってくる奴隷を観察しながら、彼らの表情にしっかりと目を凝らす。俺の経験を思い出して、悲痛に満ちた表情を捜す。


 寒かったはずだ。苦しかったはずだ。故郷が恋しかったはずだ。俺みたいに、家族や仲間を想っているはずなんだ。だけど、




「いない……?」




 そんな奴、どこにもいないじゃないか。帰りたいと思っている割には、戦闘を楽しんでいるようにも見える。まるで、檻に閉じ込められていた動物が解放されて遊び回っているみたいだ。


 でも、本当にいいのか? 俺が一言発するだけで、青島隊長とイオリはその通りに動くんだ。これが、上級歩兵隊の重み……。俺はなかなか決断できずにいた。


 そうこうしていると、顔ばっか見てたおかげである事に気がついた。




「青島隊長、どれが塊叫団かわかりました!!」




 青島隊長がにこりと微笑む。――ああ、そうか。この人はとっくに気がついていたんだ。




「言ってみろ」

「はいっ! 塊叫団はブサイクです!!」




 俺の報告にイオリが馬鹿笑いする。




「だーはっはっは! んだよ、ブサイクって! ……でもまあ、わかりやすくて助かるわ!!」




 奴隷を掻き分けて、迷わずに一人目をぶっ飛ばしたイオリ。


 思い起こせば、タモン様はこう言っていた。高価な値で取引できそうな人物や品に目をつけては手当たり次第に暴れ回っていた、と。


 重要なのは、高価な値という言葉だ。リンのような金持ちだけではなく、美貌も関係しているとしたら、区別をつけるのは簡単だ。


 となれば、残す問題はあと一つ。




「炎・ほうっ」「させるかあ!!」




 滑り込むように俺の背後へ回り、首を締め上げてきた奴隷。地を蹴って奴隷の頭から背後に移動し、腕から逃れる。瞬く間に数人に取り囲まれた。


 そう、こいつらだ。戦闘慣れしているこいつらは、いったいどちら側なのか……。


 すると、彼らは妙な会話を繰り広げた。




「報告にあった紫炎とは、これか?」

「そのようです。所持者の感情に左右され、狙った対象だけに能力を発揮する。レベル5の危険人物として登録されています」

「登録は〝あの時〟が最後だったはずだが……。まさか本当に、数百年の時を経て所持者が現れたとはな。オウガもさぞ慌てたろうに」




 ……オウガ? こいつ、皇帝を呼び捨てにしたのか?




「まあいい。捕獲し、連行するぞ。後は総理に判断を委ねる」




 いったい何の話しをしているのか、俺がそう考えていると彼らが動き出した。すかさず衝撃砲を放つ。すると、




霊魂(スピリット・)(シールド)、発動っ!!」




 ボロ雑巾だった奴隷の服が一瞬にして迷彩柄の服装に様変わりした。分厚いヘルメットに、ホルダーをつけていて、一見サバイバルゲームのような戦闘服だ。左胸に見覚えのある国旗が縫い付けられている。


 言霊を跳ね返されて、自分に返ってきただけではない。――俺は言葉を失った。




(なんで……どうしてっ……)




 日本の国旗があるんだ!?


 それは、俺が前の世界に住んでいた国の国旗だった。

 少しずつ序章へ繋がっていきます。


 彼らがいったい何者なのか、なぜこの世界にいるのか――。

 謎解きしてみて下さい!

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