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俺の家族が全員最強でした――。チートは問答無用でフルボッコ!  作者: 犬丸
SEASON・2――/第一章・青年期編・4
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塊叫団と最弱・3

 北闇に比べれば寒くは感じない、とはいえ季節は冬だ。




(奴隷とは聞いていたけど、酷すぎる……)




 ボロ雑巾みたいな服に素足で、全員の首が鎖で繋がれている。彼らは皆、ガタガタと震えながら森の中で佇んでいる。


 アナウンスが流れてきた。




「あー、あー。下僕のみなさん、おはしゃーす! 俺様が愛してやまない奴隷1番がこーんな情報を持ってきてくれやした。ネズミが数匹進入してきたってよ」




 ……バレてるし。




「精鋭部隊ってのは面倒だよな。素性を隠すために赤い面を外せないってんだからよ。ま、おかげですぐに発見出来たわけだ。おーい、聞いてるかぁ? どこに隠れたって無駄だぜ。この山は360度を監視員が見張ってんだわ。奴隷総出でな。お疲れさーん。ってなわけで、奴隷に告ぐ」




 奴隷が動くと、あちらこちらで鎖の音が鳴った。




「久しぶりに始めるぜえ!! 侵入者を連れてきて俺の目の前で殺すことが出来れば故郷に帰してやる。奪い合わずに仲良くやれよー? 俺らはファミリーだ!! 仲間同士の殺し合いだけはすんじゃねーぞ。ってなわけで、……捜せぇえ!!」




 孤島の何処に逃げ場があるというのだろうか。見つかったのが精鋭部隊だけってのは救いだけど、それも時間の問題だ。討伐班に緊張が高まる。


 青島隊長が背を低くしながら話す。




「敵は相当賢いぞ。自らは動かず、奴隷に希望を与え、しかもそれが叶わぬものだとわかってやっている」

「どういう意味っすか?」

「彼らは互いに鎖で繋がっているのだ。誰かが木に引っ掛かけでもすれば次の者が転倒し、その次の者は引っ張られる。この連鎖はストレスを生み出し争いを勃発させる。故郷に帰れる以前の話しだ」




 なるほど。奴隷の怒りを上手いこと利用して、こちらを混乱させる作戦というわけか。見分けもついていないのに、これだと八方塞がりだ。




「仕方ない。傷つけたくはないが、気絶させていくしか方法はないだろう。異論はあるか?」

「いいえ、ありません。面を外せればいいのですが……」

「それだと精鋭部隊である意味がないだろう。これだけ監視員がいるのだ。お前たちが悪いわけではない」




 ここで、ガイス隊長が作戦を提案した。精鋭部隊のゴーサインが出る。青島班はその作戦に沿って奴隷を引きつける役目を担った。




「行くぞ!!」




 青島隊長の号令と共に走る。ガイス班は待機し、精鋭部隊が護衛する。


 それにしても、なんて奇妙な光景だろうか。




(人が蛇みたいに動いてる……)




 木々が邪魔で一直線に下りられないのだ。先頭に合わせて後列が着いてきている。そうやって俺たちを取り囲むように展開していく。




「頼む、捕まってくれ。俺たちゃ帰りたいんだ!」

「闇影隊なら民の声に応えろよ!」

「そうだそうだ! 救出に来たんなら別にいいじゃねえか!」




 とまあ、なんとも身勝手な発言を集中的に浴びせられる。とはいえ、奴隷がどれだけ精神的苦痛を強いられるかなんて俺には分からない。言い返さずにひたすら青島隊長の後を追い続けた。


 最後尾が山から下りたところで、青島隊長は山の麓付近で立ち止まった。クロムとデスが飛び、その下を精鋭部隊とガイス隊長が護衛しながら登山を開始している。


 青島隊長と目が合うと、こくりと頷かれた。




(いつだったけ。ヒロトは加減しながら言霊を使ってた)




 が、俺はそんなことはしない。奴隷を見張りに使っているのなら――。




「炎……」




 山を崩せばいい。


 麓には数多くの監視カメラが設置されていた。ジー……と機械音を鳴らしながら、ボスはカメラ越しに青島班を見ている。青島隊長はカメラに眉を寄せたイカツイ顔を向けている。

 

 出てこないなら、そこでしっかりと見てやがれ!!




「衝撃砲・改!!」




 紫の閃光が奴隷の間をすり抜けていく。麓から一気に中腹までいくと、そこで衝撃砲が能力を発揮した。


 土砂崩れが奴隷を襲うと、彼らは麓からこちら側へ走って逃げてきた。




「もう一発!! 炎・衝撃砲・改っ!!」




 今度は三連続で放つ。言霊は繰り返し使うことでも能力を鍛えることが出来るらしく、変異体のおかげで衝撃砲だけが飛び抜けて成長している。つまり、威力は抜群ってことだ。と、その時、




「やめてくれっ!!」

「なっ!?」




 衝撃砲の前に飛び出した奴隷。両腕を広げて硬く目を閉じる。




「クソッ」




 奴隷を掻き分け、自分で放った技を自分で受け止めた。体を覆う紫炎が吸収する。




「なにやってんだ!!」

「すすすすまないっ。中に仲間がいるんだよ!」

「なにー!?」




 青島隊長の言う通り、ボスは賢いらしい。俺はまんまと「下僕総出」という言葉に騙された。




「それに、この山は自然にできた物じゃないんだ。土属性の混血者が長い年月をかけて作り上げた要塞みたいなもので、自然の物と比べればそこまで頑丈ではない……。君の能力だと、簡単に破壊されて仲間が生き埋めになってしまう!!」




 青島隊長は混血者の行方を聞いた。すると、奴隷は「用済みは殺される」と震えながら答えたではないか。思わずカメラを睨みつけた。パイプを蹴ってへし曲げ、カメラを鷲づかみにして顔を寄せる。




「……待ってろよ。お前は俺がぶっ飛ばす!!」




 カメラを破壊して捨てると、奴隷の集団の中から笑い声が聞こえてきた。




「うひゃひゃひゃひゃ!! ボスをぶっ飛ばすだと? 無理無理! その前にてめぇの仲間を心配するこった!!」

「誰だ!?」




 数が多すぎてわからない。




「俺らが同じミスを繰り返すとでも思ってんのか? わざわざ同じ作りにしたのは、こっちに対策があるからだってんだ!!」




 すると、「ボンッ!!」と音が響き渡った。山頂付近からだ。




「ほーら、捕獲された。ネットランチャー様々だなあ!!」

(ネットランチャー!? そんな物まで用意してるのかっ)




 微かにクロムの暴言が聞こえてくる。




「おら、何をぼさっとしてやがんだ! 帰りてぇなら働け雑魚どもがあ!!」




 まるで、巣を守る働きアリだ。雄叫びを上げながら捨て身で突進してくる奴隷たち。


 どれが塊叫団だ!? 似たような格好に青島班は苦戦を強いられた。

 ブクマと評価、ありがとうございます!


 まだまだ戦闘は続きます!

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