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俺の家族が全員最強でした――。チートは問答無用でフルボッコ!  作者: 犬丸
SEASON・2――/第一章・青年期編・4
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最強変異体と最弱・3

 思いっきり暴れ回りたいところだけど、ネネの言葉通りなら真上にあるのは神霊湖。他国へ水を供給するほどの水源を誇る馬鹿でかい湖だ。




(どうすれば勝てる?)




 考えろ――。天井を崩さす、ここを支えている壁もできるだけ無傷で済ませるにはどうしたらいい?


 辺りを見渡して地形を観察する。使える場所と変異体の体を比較しながら、ふとある作戦を思いついた。


 複雑に入り組んだこの迷路と変異体の長い手足……。これを上手く利用できれば勝算はあるっ!!


 青島隊長を呼んで作戦の内容を説明する。というのは、青島隊長じゃないと変異体を動かせないからだ。そして、ラストを飾るのは、




「俺とユズキで本当にいけんのか?」

「2人じゃないと、あの分厚い皮膚には歯が立たない。イオリの爪とユズキの狼尖刀ならきっとやれる。ただ、この作戦を成功させるには、俺とヒスイが踏ん張らないと元も子もない。いい?」




 ヒスイに向くと、彼は頷いてくれた。




「もって2分か。その間に押し出すんだな?」

「そういうこと。水中じゃあいつに負けるけど、地上でなら俺たちの方が有利だ。手足を任せる」

「了解」




 もう少し詳しく話して早速行動に移った。俺とヒスイは尻側に回り込み、青島隊長は顔側へ移動する。ユズキとイオリはネネと一緒に怪我人の護衛をしながらタイミングを伺う。


 そうして、ゆっくりと水中に潜っていく。




(どれだけ濁ろうが、腹さえ見失わなければこっちのもんだ)




 これから、俺は全ての攻撃を無視して変異体の腹にだけ集中する。ソッと腹底へ潜り込み、ギリギリ触れないところで手をかざした。


 ヒスイが言霊を発動する。




(水・龍呪縛(りゅうじゅばく))




 8体現れた龍が変異体の手足に絡みついた。イツキの夢想縛りに似た言霊のようで、変異体の力を奪っている。違うのは、イツキの場合は力を奪うだけだが、ヒスイの龍呪縛にはへし折るだけの握力のような物まで備わっているという点。


 関節の多い変異体の手足だが、それでも何ヵ所か折られてしまった。


 変異体が再び暴れ始める。底に沈殿していた土が瞬く間に視界を悪くする中で、姿勢が傾き、腹が俺のの平に乗った。


 片手には、




(炎・衝撃砲・改!!)




 そして、もう片方の手にも、




(炎・衝撃砲・改!!)




 2つ同時に発動する初めての試み。威力は半減するけど、なにせ10メートルもある巨体だ。いくら浮力を利用したとしても、片手じゃ時間がかかるためこうする他ない。それに、紫炎を使う包火系の技は水中では無意味だ。


 つまり、鎮火しようとも衝撃砲のみで対処できるこの言霊だけで変異体を地上に押し上げ、その間にヒスイが手足を封じ込めるわけだ。


 とはいえ、ここは奴のテリトリーだ。ダメージの少ない手足で俺に攻撃を仕掛けてくる。顔を殴られようが、腹に食い込もうが、無視だ。


 連続して、




(衝撃砲・改っ!! ――っ、改!!)




 近くを龍が通ると目の前で濁った水が渦を巻いた。その中心を足が貫き顔面に入る。




(っ!?)




 あろうことか、足は俺の右目に強打した。潰れてはいないけど、痺れて瞼が開かない。鬱陶しい!!


 Uターンして攻撃の姿勢を整える足に片方の手を向ける。足の裏が接近する。そこへ、




(炎・衝撃砲!!)




 見事に真ん中へ、しかも至近距離で放たれた衝撃砲が足を木っ端微塵に吹き飛ばした。緑色の液体と茶色く濁った水とが混じり合い、余計に視界が悪くなる。




(あともう少しだ!!)




 ここでヒスイが合流した。さっきの足が最後だったようで、2人がかりで腹を押し上げる。




(これがラストだ!! 炎・衝撃砲・改!!)

(水・龍陣突破!!)




 変異体の体がふわりと浮き上がる。そして、空中へと押し出された。




「今ですっ、青島隊長!!」

「キヤアアアアア!!!!」




 変異体の手を一本ずつ掴んで、青島隊長が走り出す。途端に、空中から岸辺に叩きつけられた変異体は、青島隊長の馬鹿力に引っ張られて岸に引きずられた。


 出口の方ではない穴に飛び込むと、しばらくして何かを破壊する音が響き渡った。噴煙が穴から舞い上がり、その中を青島隊長が飛び出してくる。手にはまだもう一本の手を握っていた。


 今度はまた別の穴に入っていった。先程と同じことが起こり、




「そらあああ!!」




 穴を崩壊させて変異体の手を固定した青島隊長は、雄叫びを上げながら変異体の横っ腹に強烈な蹴りをいれた。強制的に仰向けにされた変異体の腹の上にユズキとイオリが飛び乗る。


 腹には、何発もぶち込まれた衝撃砲のせいで一箇所だけ著しい損傷がある。2人はそこに爪を立てた。


 縦と横で2人の体が交差すると、天井にまで緑色の血しぶきが舞った。ヒスイと顔を見合わせる。




「勝った……?」

「ああ、終わったな」

「っしゃああ!」




 こうして、最後の変異体は討伐されたのだった。


 紫炎で変異体の体を燃やし、灰になる瞬間まで見届けてから迷宮岩廊を後にする。外はもう真っ暗であった。




「皆さんのおかげで無事に全変異体の討伐が完了し、神霊湖の安全も守られました。今日はもう夜も遅いですし、五桐家で休まれて下さい」




 その後、東昇の医療班が五桐家に駆けつけ、ライアの治療にあたった。


 次の日、青島班と威支はライアが犯した罪と、そこから導き出されたイオリによる名探偵並みの推理によって驚愕することとなる。

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