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俺の家族が全員最強でした――。チートは問答無用でフルボッコ!  作者: 犬丸
SEASON・2――/第一章・青年期編・4
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最強変異体と最弱・2

 狭い食堂を通って広い空間の中に落っこちた。液体が溜まっており、粘液が混じっていてベタついている。


 あまりの気持ち悪さに、包火を発動させて、咄嗟に浮いていた布きれを拾い粘液を拭い落とした。


 ん? なんでこんなところに服があるんだ?




(しかもこれ、南光のじゃん)




 黒と赤の模様がある。よく見てみると、南光の戦闘服がたくさん浮いているじゃないか。




「これも……。これもか。全部、上級歩兵隊の物だな。どうなってんだ?」




 奥に進む。すると、そこには人の姿があった。いきなり包火に照らされた顔に驚いて尻もちをつく。


 ちょっと待ってくれ。こんなところに人? しかも、生きてるじゃないか……。




「あのー……」




 声をかけると、そいつは手招きをしながらこう言った。「動けないんだ。助けてくれ」、と。恐る恐る近寄る。状況を理解して、俺は言葉を失った。


 座っているのは痩せ細った男だ。頬は抉れたようにこけていて、二の腕と太ももが手首や脹ら脛の太さと同じになっている、棒のような人間。しかも、背中と変異体の肉体が一体化してくっついているではないか。




「どっ、どうしたらいいですか!? ってか、なんですか、これ!!」

「この場所はどうやら〝生きている〟らしい。一思いに殺してくれればいいのに、あまりにも残酷すぎる……」




 そう言って、男は自傷気味に笑った。




「ここは何処なんだ?」

「何処って……」

「目隠しをされていたから何もわからないんだ。その服、北闇の上級歩兵隊だろう? 他国なのを承知で頼む。お願いだ、助けてくれっ……」




 この人、何も知らないのか。自分が変異体の腹にいることも、外の状況も何も。


 とにかく、男の人を剥がしにかかる。ゆっくりと、慎重に、指先に包火を集中させながら焼き切っていく。男は「ライア」と名乗った。


 ライアは、仲間の戦闘服を一点に見つめながら涙を流した。




「すまない、許してくれっ。俺だけ助かるだなんてっ」

「他の人は、その……溶けたんですか?」

「順番に骨の髄まで搾り取られたのさ。最後になった俺だけが生き延びた。一刻も早く脱出して、城にとんでもな部屋があることをオウガ様へ報告しなければ……」

「ここ、部屋じゃないです」

「……なに?」




 驚いた事に、ライアの外での最後の記憶は、最初の上級試験が開催される前のものだった。変異体と融合したことで栄養が行き来していたみたいで、ジワジワと生かされていたのだ。


 俺は、新種のグリードとその変異体について説明した。そして、ここが馬鹿でかい変異体の腹の中だと伝える。




「それはあり得ない!!」

「だけど、事実です」

「だとしてもだ!! あの御方は俺たちに何をしたんだ!?」

「誰のことですか?」

「蛍様だ!! 俺たちは、あるミスを犯して罰を受けていた。目隠しをされ、地下の水溜まり場で5日間を過ごすよう命じられたんだ。体は急降下した。そしてここに落ちたんだ」




 だとしたら、変異体は大口を広げて下で待っていたことになる。……王家の地下でだ。南光の海流を流れてきたというビゼンの仮説は正しかった。ただし、ここで一つ疑問が残る。




(王家もグリードの対応には追われていた。何も知らなかった可能性の方が高い。だとしたら、蛍は気づかずに突き落とした……?)




 腰の周りも焼き切ったところで引き剥がす。立つ力もないため、腕を肩に通して腰を支えながら一箇所を見つめた。


 口から出ようとすれば、舌で転がされた挙げ句、噛み殺される。衝撃砲で穴を開けたいところだけど、ヒスイの言霊でもダメージはなかった。皮膚は頑丈なはずだ。つまり、




(多分、一生のうちで最大の人生の汚点になる……)




 ケツの穴から脱出するしかない。6枚ある南光の戦闘服もちゃんと持って、そうして両足に自己暗示をかけた。




「物凄い衝撃がきます。堪えて下さい」

「君、名前は?」

「走流野ナオト」

「走流野っ!?」




 ライアの腕に力が入る。やっぱり爺ちゃんと父さんは凄い。名乗っただけでこんなにも身構えてくれるなんて。おかげで少し体勢が楽になった。




「行きますっ!!」




 ドンッ!! と衝撃音の直後、電光石火の如く駆けだした。外側に比べて内側の組織は柔らかい。いくつもの壁をぶち抜き、そして、




「おおおおおおお!!」

「行けぇぇえええ!!」



 

 ……排泄された。出た先は水中だ。手足に捕獲される前に岸に上がる。


 内臓を突き破ったんだ。変異体は絶叫しながらのたうち回っている。




「ナオトよ、無事か!?」

「俺よりも先にこの人を!!」




 青島隊長が抱きかかえる。ライアは、初めて見る変異体に絶句している。




「変異体の出所について知っているかもしれません。話しを聞いてみて下さい」

「わかった。……出来るな?」

「はいっ!!」




 俺とイオリ、そしてユズキとヒスイが変異体に向く。


 第2ラウンドの始まりだ。

 余談ですが、最強変異体と変換したいのに、どうしても「最強変態」となってしまう。


 こんなの、赤坂だけで十分だ。


 少年期編・2の前半部分を編集し終えました。「模擬訓練と最弱」のタイトルで載せています。内容も変わっていますので、是非一読下さい!

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