表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺の家族が全員最強でした――。チートは問答無用でフルボッコ!  作者: 犬丸
SEASON・2――/第一章・青年期編・4
269/316

王家VS最弱・4

 地面から突如として出現する巨樹。出現する前兆のようなものがないため、全部ギリギリのところで交わしていく。




「そらそらそらぁあ!!」




 がさがさの声で笑いながら、まるで子犬とじゃれているみたいに、オウガ様は無邪気な子どもそのものだった。


 このままじゃ埒が明かない。そろそろ次の段階に移行しないと……。


 俺で遊ぶオウガ様へ、ある真実を突きつける。




「オウガ様の一族は誰一人として薄紫色の瞳をもっていなかった。ってことは、王家はカンムとジンムの血筋じゃないってことだ!!」




 人体実験をしてまで王家を存続させてきたのは、力を保持し国民の信頼を得るためだ。そして、走流野家を消そうと目論んだのは、走流野家が王家の血筋だと公に知れることを恐れたため。だけど、この人が王家や国民よりも愛しているのはタモン様だ。




「テンリが言っていた!! トアの墓を暴けば、そこにあるのはタモン様に関する真実だって!!」

「なんの話しだ……」




 森王爆の攻撃が止む。




「これだけじゃない。テンリは自分がタモン様の弟だって言って、オウガ様の今後の予定をぜーんぶ話しやがった。蛍って人が阻止しようとしたけど俺が倒した」




 黄色い霧が消えていく。〝作戦成功〟だ。




「オウガ様、タモン様は全てを知りました。あなたが行おうとした混血者と人間の分離が失敗したのも、全国帝に文書が送られたからですよ。話し合いで済めば、タモン様も考えると言っていたのに。残念です」




 落ちた穴から青島隊長とイオリが出てくる。




「貴様らっ……」




 青島隊長が俺より前に立った。




「申し訳ありません、オウガ様。トラップの場所はタモン様から事前に聞かされています」




 言いながら、写真をポーチにしまう。




「国帝も民も、これまで王家を信頼し、愛し、尊いものとして崇めてきた。だが、もう終わりだ」

「終わり……?」

「誰もあなたを信じない。あなたはやりすぎた。それに、兄弟のうちどの血筋かなんてものは関係がない。その玉座はヘタロウさんの物です。薄紫色の瞳であることが、何よりの証拠だ」

「…………」




 沈黙して、鬼化を解く。それから玉座に深く座って「クククッ」と小さく笑った。


 なにがおかしいんだ? 王家は、国民の信頼がなければ成り立たないってのに。




「勘違いをしているようだ」

「というと?」

「王家は人間の存続のために、長い間をそれに費やしてきた。わしもそうだ。そして、これは〝どの王国〟に置いてもそうだろう。王には、民の命を守る義務があるのだからな」




 青島隊長の目が据わる。




「わしはこの王国を救おうとした。しかし、無駄に終わった。新時代への幕は閉ざされた」

「お話の意図が掴めません」

「その必要はない。この王国が欲しいのだろう? くれてやろう。こんなちっぽけな世界でよければ、好きに暮らすが良い。ただし……」




 年寄りらしくない、生気に満ち溢れた瞳が青島班に向けられる。




「待ち受ける未来は決してお主らを出迎えてくれはしない。わしが王でなければ、王国に暮らす全人類と生き物は必ず死を迎える」




 そうして、オウガ様は視線だけを俺に寄こした。




「テンリが全てを話したなら、神の存在も聞かされたな」

「勿論です」

「一つ、質問しよう。お主にとって神とは、どういった存在だ。答えてみよ」




 だいたいがひげ面で、上半身裸で、ちょっと筋肉が付いていて、頭に変な輪っかをつけているオジサン。そしてそいつは、




「世界を造る人」




 そういうのが、俗に言う神様だ。


 つまり、神様とは、創造神だ。前に住んでいた世界でも、「地球も人間も神様が創ったのよ」って母さんが言ってた。




「走流野ナオト、それが全ての答えだ。あとは自分で導き出せ。お主の先祖が何をしたのか、どうして土地神がこの王国に暮らしているのか……。そこに答えは潜んでいる」




 精鋭部隊に肩を掴まれる。帰れ、という意味だろう。







 北闇に帰還してタモン様に報告を行う。


 やはり、気になるところは同じみたいだ。




「王国?」

「はい、そのように仰っておりました。初めは南光のことだと思いましたが、全人類と例えたあたり、全国を称して王国と発言したかと……」

「つまり、俺の作戦は成功したが、また別の謎が生まれたわけか。面倒なジジイだ」




 出発する前に行われた作戦会議で、タモン様は3つのことを青島班に託した。


 1つ、走流野家に関する情報を得ること。

 2つ、オウガ様の能力を確かめること。

 3つ、テンリの名前でどのような反応を見せるか。


 3つとも情報を持ち帰ることに成功したけど、俺には気掛かりなことがある。




「ユズキの名前が出てきませんでした」




 黒い狼・ラヅキ。そいつが神様だと父さんは話していた。オウガ様の口からも「神」との言葉がでてきた。現状、神様に最も近いのはユズキだ。




「もしかして、王家はユズキがなんなのか把握していないんじゃ……」

「まあ、当然だろう。俺ですらあいつのことはよく分かっていない。神の器で、混血者と同じ能力を持ち、記憶喪失であるってこと以外だがな」




 あれ? おかしいぞ。言われてみれば、俺もそれくらいしか知っていない。そもそも、ユズキってどこから来たんだろう。


 上級試験があって他国に知り合いが増えた。格闘技場には四大国から大勢の国民が観戦しに訪れた。だけど、誰一人として彼女を気に掛けた人はいない。




(……――っ、馬鹿か俺はっ。答えは数年前に出ていたじゃないか!!)




 ユズキが北闇を出たあの日。彼女は自ら答えを口にしていたのに。




「そういやあ、テンリにも似たような事を言われたな。ヘタロウが黙秘した理由と、王家が幽閉した理由をよく考えろってな。回復を待つ他ないが、お前の先祖はいったいなにを」「タモン様!!」




 言葉を遮ってしまった。


 喉をせり上がってきた答えが衝動で吐き出される。




「ユズキも俺と同じです」

「なんだ、突然」

「だから、同じなんですっ!!」

「主語のへったくれもない内容を俺に理解しろと言いたいのか? 降格させるぞ」

「す、すみません。えっと、……ユズキは冬を知っていました」




 あの日、ユズキは俺にこう言った。「お前は〝冬〟を知っている。これこそが答えなのに、僕にはそれ以前の過程を聞き出すことができなかった」、と。彼女も冬を知っていることになる。


 つまり、




「ユズキには記憶がないんじゃない。話せなかったんです。……自分が、異世界から来たことを」




 だから、誰もユズキを見たことがないんだ。あんなに綺麗な白髪なのに、誰も印象に残っていないのは変な話しだ。




「おいおいおい、まさかそん」「タモン様、失礼します!!」




 またもやタモン様の言葉が遮られる。入ってきたのは伝令隊だ。




「今度はなんだ」

「東昇のネネ様から伝令!! 変異体、最後の1体で苦戦を強いられている模様!! 至急、増援に来られたし!!」

「わかった。ご苦労、下がっていい」




 タモン様が深い息を吐き出す。




「ユズキの件は後回しだ。いいな?」

「はい」

「青島、合図を頼む」

「了解しました」




 青島隊長はお焚き上げの中に緑色の粉を入れた。白い煙が緑色に変わる。


 数時間後、青島班は五桐班の増援に向かった。威支と合流すると、そこにはユズキの姿もあった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ