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俺の家族が全員最強でした――。チートは問答無用でフルボッコ!  作者: 犬丸
第二章・上級試験編(青年期編・2)
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第20話・隠し事

 ケンタに覆い被さるようにして倒れているフウカ。僅かに目を開き、のそりと座り込みで辺りを見渡した。




「妖がいないっぴ。助かったんだ……」




 肩の力を抜いて、盛大に息を吐き出した。


 囮になったフウカとケンタだが、足の遅いケンタはここで捕獲されてしまい、助けようとしたフウカも捕獲されてしまった。先に幻覚を見たのはケンタだ。


 ツインテールを解いて、結び直しながら、未だに意識を失うケンタに視線を向ける。もう片方を結び直そうとしたところで、フウカは手を下ろして俯いて肩を揺らした。




「バカだね……」




 フウカは全てを知ってしまった。


 頬を叩いて気合いを入れ直すと、手際よく片方も結んで、スタート地点に向かって歩き出した。そうして、近くで意識を失っている受験生をひとりひとり起こして回る。




「みんな、頑張るよ!! 不合格でもいいから、とにかくゴールを目指そう!! ほら、起きるっぴ!」




 なにか別の事をしていないと落ち着かないのだ。


 全員が起き上がって、フウカは先頭を歩き始めた。ケンタがいる場所を通る道を行く。そして、




「ケンタ!?」

「フウカちゃん……。ボクは……」

「あたし達、はぐれちゃったんだよ」

「そっ、そうなんだ!! そっか、はぐれたんだ……」




 あからさまに安堵するケンタに、フウカは目を背けた。







 その頃、合流地点にいる受験生は――。


 意識を取り戻したイオリとカナデ、上で待機していたガイス班とニチ班に双子が、ハルイチたちの介抱に汗を流している。


 どれだけ摩っても、暖めても、身体が冷え切ったままなのだ。まるで、何日も雪山を遭難したみたいに血色が悪くて震えが止まらないでいる。あのハルイチですら言葉を発せないほどだ。


 その中でヒスイだけが無事だった。




「きっと、氷の壁を分厚く形成したんだ。俺たちは長時間を冷凍庫の中で過ごしたのと代わらない。どうにかして回復させないと……」

「戻りますか?」




 カナデの問いかけに首を横に振る。ここで失格にさせるわけにはいかないのだ、特に、イツキはそうだ。ライマルとリン、自分は横に置いておくとしても、おそらくイツキだけは説明したところで納得しない。だからこそ、ユズキは光の柱に内容を伏せている。


 ひょんなことで情報が漏れれば、イツキは絶対に逃げる。そう確信しているからだ。


 試験前に聞かされた、ユズキとイツキの関係性。ヒスイは彼女の意見に同意した。


 そこへ、ナオトが戻って来た。




「全員やられたのか!?」

「ちげーよ。ヒロトが守ってくれたんだ。ただ、能力値の高さに皆がついていけなかったっつーか……」




 為す術もなく困っている様子のイオリ。頭を掻いて立ち尽くす。


 露出度のあるネネの身体にナオトが触れる。あまりの冷たさに目を見張り、すぐさま指示を出す。




「摩っても意味はない。あの通路の先が湖になっているから水に浸そう」

「それで助かるのか?」

「俺が修行してた頃、父さんが力加減を誤った時の失敗例を見せてくれたんだ。凍傷しかけた腕を水に入れていた。多分、水の方が温度が高いからだ」




 しかし、1人1人を運ぶには時間がかかる。ここで、ヒスイが言霊を唱えた。




「水・龍陣突破!!」




 ナオトが出てきた穴からゴゴゴ……と振動が聞こえてくる。直後、穴から龍の形をした水の塊が現れ、高く舞うとそのま受験生に落下した。水しぶきが飛び散り、足をすくわれたナオトたちがひっくり返る。




「これでいいか?」

「あ、ありがとう……」




 何度か繰り返していると、受験生の身体が温もりを取り戻した。1人ずつ意識レベルを確認して回る。イオリは、迷わずソウジの元へ行った。


 四つん這いでヒロトに覆い被さり、龍陣突破を背中で受けようとも、地面に爪を立てて堪えていたソウジ。




「ナオトが来る前に移動するぞ」

「――っ、貴様……なぜ……」

「事情は知らねえよ。だけど、理由があんだろ?」




 話しながら、イオリがヒロトを担ぐ。




「でも、俺の班員を傷つけるのだけはマジで許さねえから」

「守ってるだけだ」

「どうだかね」




 震える足で立ち上がったソウジに振り向く。




「知ってっか? ナオトはヒロトに勝ちたくてこれまで頑張ってきたんだ。それなのに、こいつの本気をナオトは見たことがねぇ。今回もそうだ。もしナオトがここにいたら、ヒロトはあの言霊を発動させたのか?」

「それは……」

「ナオトはバカじゃない。家族が何かを隠していて、それが自分のためだってことも気づいている」




 顔が見えそうになっているヒロト。上着をきちんと被せ直してイオリは言葉を紡ぐ。




「同時に、傷ついている。けど、あいつも男だ。俺らの前で悲しんだりはしねぇけどな。だから、早く解決させろよ。隠し事ばっかじゃそのうち自分が苦しくなるぜ。……ま、手遅れだろうけど」




 半目で地面を見つめるヒロト。噛み締めた唇からは血が流れ出ていた。

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