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俺の家族が全員最強でした――。チートは問答無用でフルボッコ!  作者: 犬丸
第二章・上級試験編(青年期編・2)
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第17話・捕獲

 ユマを抱えてイツキが合流地点に戻ると、一本道を突破してきたいくつかの班と鉢合わせた。


 ナオトが上に来るように伝えて、全員が集合する。


 赤坂班・青島班、そして合流を果たした黄瀬班とガイス班だ。赤子を寝かせるような静かな動作で、イツキがユマを横にする。その間も、ユマはイツキの腕に顔を沈めて声を押し殺して泣いていた。


 ソウジの髪が静電気を帯びたようにふわりと浮く。




「貴様っ……」




 ケンタの胸ぐらを掴んで、でっぱりの際に押しやった。手を離せば落ちてしまう。ケンタが無我夢中でレンとフウカに助けを求めた。ソウジの怒声にかき消されるほど小さな声だ。




「待機を命じられたはずだろう!? どうして動いたんだ!!」

「だって……怖くてっ……」




 そうこうしていると、今度は五桐班とニチ班が合流した。険悪な雰囲気を感知して下から見上げている。背後には、狭い通路を我先にと駆けるグリードと、間をすり抜ける妖の姿がある。


 ハルイチが声を大にした。




「敵、後方から接近!! 動ける者は加勢せよ!!!!」




 ソウジが覗き込む。穴からわらわらと出てくるグリードに舌打ちして、ケンタをレンへ押しつけた。




「躾ておけ」




 ケンタを睨みつけて、レンがソウジに頭を下げる。




「ごめん……」




 ソウジが飛び降りたのに続いて、ナオトとヒロト、イツキとフウカ、クロムとデスが降りる。


 ニチ班の腕の中にはイオリとカナデが抱かれている。ソウジが上へ連れて行くよう頼んで、ニチ班が壁をよじ登り始めたところで囲まれた。




「「装!!」」




 戦闘を開始した受験生の声にニチ班が互いに顔を見合わせる。加勢すべきか否か迷っているのだ。加勢したとして、双子の力は赤坂班に気づかれる可能性が高いし、ヒスイの能力は他とは異なるものだ。だが、躊躇しているような時間はない。


 ヒスイが頷いて下に飛び降りた。


 白炎を両手に点火させながらナオトが目を細める。自分に襲いかかってくるグリードの数が多いのだ。テンリの命令で動いているのだとわかり、仲間の負担を軽くするため、ナオトは別行動を取った。




「おい、こっちだ!!」




 10個ある穴のうち、どれが正解かはわからない。適当に目に付いた穴に飛び込んでグリードを引きつける。しかし、その穴――。




「嘘だろ……」




 数歩進んだところで先がないのだ。


 内臓が浮く感触に声を奪われ、ナオトは叫ぶことすらできないまま、ほぼ垂直の通路を転げ落ちた。


 ドボン……と、ナオトの体が水に沈む。続いて、後を追ってきたグリードも次々に水中へダイブする。底は暗くて見えない。とんでもない深さを間の当たりして、水面へ顔を出し、泳いで岸へ向かった。


 不思議な洞窟だ。ここら一帯は、湖のようになっていて、壁に蔓延る苔の群れが水色に光っている。グリードに追われてさえいなければ、絶好の観光スポットなのに、仲間の頭によじ登ってジャンプをするグリードのせいで台無しだ。


 今度は踏まれた方が前へ進んだ仲間の頭によじ登ってジャンプした。それを繰り返してナオトを追う。


 ナオトは岸辺でグリードを待ち構えた。これなら囲まれずに済むし、数体ずつのグリードを相手にすることができる。




「うらぁああ!!」



 

 飛びかかってきたグリードの顔に衝撃砲を当てると、バンッ! と音が響いた後に木っ端微塵となって顔面が吹き飛んだ。ついでに、岸に上がろうとしたグリードを蹴り飛ばして、横から襲ってきたグリードの頭部を掴み地面に叩きつける。




「「キヤアアアアアアア!!」」




 仲間が殺されて目の色を変えたグリード。怒りで背中にあるトゲがかたかたと揺れる。




「っしゃあ!!」




 緑色の眼光が自分に注がれる気色悪さ。寒気を吹き飛ばすためにナオトは声を出しながら戦った。


 その様子を隠れながら伺っているのはテンリだ。ナオトを背後から襲撃しようと、言霊を唱える。




「獅子夜行」




 亀裂の入った空間から現れた数頭の虎。ナオトに狙いを定めて、肉食獣らしく背を低くしながら忍び寄る。




「更なる惨劇を見せてやる。さあ、俺の元へ連れて来い……」

「誰に何を見せるつもりだ? この愚か者」




 ここには自分の気配しかないのに、突然として聞こえてきた声。しかも、その声は自分の耳元で囁かれたものだった。


 背筋を伝う冷たい汗にテンリの言霊が解ける。気がつけば、テンリの周囲にはきめの細かい鱗粉が飛び交っていた。すかさず鼻と口を覆うと、今度はトウヤに捕獲される。




「片腕が使えないんじゃあ、本来の力は発揮できない」




 こうして、ナオトに気づかれぬまま、威支はテンリを連れて来た道を引き返した。


 その間に、何度もユズキが振り返る。




(ナオト……)




 ヨウヒはユズキの頭を優しく撫でて、彼女と目が合うとにっこりと微笑んだ。




「心配よね。行きたいよね。でも、今は彼に任せるしかないわ」

「……わかってる」




 ユズキの歩くスピードが上がっていく。

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