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俺の家族が全員最強でした――。チートは問答無用でフルボッコ!  作者: 犬丸
第二章・上級試験編(青年期編・2)
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第11話・毒霧が見せる恐怖

 一方、鍛錬場にて待機していた威支のメンバーは――。


 乱暴に押し寄せる波に足を取られぬよう、ゆっくりと岩場を進んでいた。そして、横長に開いた穴へ1人ずつ進入していき、イザナとバコクは外で待機する。中からトウヤが声をかけた。




「本当に2人で大丈夫なのか?」

「どのみち、肩の牙が邪魔をして中には入れん。まあ、ここには頼りになる俊足の馬がいる。問題はないだろう」

「わかった。5日後に会おう」

「ああ、気をつけてな」




 ここは、失われた東昇の大地に出現した大絶壁の真下。第二試験のゴール地点だ。トウヤ・ヨウヒ・ユズキはここから逆走を開始する。


 彼らの目的は護衛対象の保護ではない。護衛対象を狙うであろうテンリを警戒するためだ。試験内容の情報をタモンからもらった時点で、トウヤはここに目をつけていた。


 いくら精鋭部隊が配置されているとはいえ、脱落者の数と入口まで先導する精鋭部隊の数が合わない。かといって、大事な試験に妥協は許されないし、北闇で開催できないからといって何かが変わるわけでもない。南光がどんな試験を用意したにしろ、王家とテンリが密であるならば、どこかしらで襲われることになる。


 迷宮岩廊は護衛対象を襲うのにもってこいの場所だ。テンリは必ずやって来る。トウヤはそう確信している。


 真っ暗な洞窟を松明片手に進む。もう片方の手は壁に添えられ、足場の悪い道をひたすら歩き続けた。




「どうして壁がこんなにもヌルヌルしているのかしら」




 松明で手を照らすと、透明な粘液のような物がヨウヒの手の平に付着しているのが見て取れる。それは、他のメンバーも同様であった。


 ユズキが臭いに顔をしかめる。




「とんでもなく臭いぞ……」

「本当だわ。腐ったような臭いがする」




 粘液に火を近づけて出所を確かめると、ずっと奥に続いていた。




「まるで何かが這ったような跡にも見える。嫌な予感がするな……。急ぐぞ」







 その頃、青島班は――。


 ヘッドライトで行く先を照らしながら慎重に進んでいた。前方後方には他班がおり、ちょうど真ん中に位置する。




「これだけ人数がいれば怖いもんはねえな」




 イオリがきょろきょろとしながら、怯えを隠しきれない他班を勇気づけようとする。暗さに湿度、足音以外に何も聞こえない静かなの世界。しばらく大波の被害はなかったようで足もとは乾いている。


 確かめながら、イオリはしばらくは問題は起こらないだろうと予測した。しかし、




「なんでガスマスクなんかつけてんだ?」




 背伸びをしながら前方を確認すると、1人目の精鋭部隊が見えてきた。面ではなくマスクをつけながら壁側に立っている。


 先頭を歩く班が立ち止まった。目の前に白い靄のようなものが見て取れる。




「霧か?」

「毒ガスだったりして……」

「いくらなんでも試験でそんな場所には行かせないはずよ。何かあるわね」




 精鋭部隊を横目に女は片手で口を塞いだ。




「できるだけ吸わないようにしましょう」




 女に習って青島班も口を塞ぐ。そんな可愛い後輩たちを、精鋭隊員はマスクの裏で微笑しながら見送った。


 同時刻、別ルートにいる赤坂班や黄瀬班も霧を警戒していた。


 赤坂班にはハクマ、ライマルのところにはコウマ、青島班にはヒスイがつく。ガイス班は青島班と同じルートにいる。


 後方をついていくヒスイが状況を整理する。




(運良く別々のルートを選択してくれたけど、テンリが来るとすれば間違いなくこの道だ。その前に霧だな……)




 息を止めて足早に青島班の側へ移動し、口を塞いでいるイツキへ話しかける。




「第一試験、ありがとう」

「俺はなにもしてないよ。それよりも、吸って平気なの?」

「多分、無理だろ。精鋭部隊がマスクをしていたってことは、それくらいの装備がないと無駄ってこと」




 イオリが間に入る。




「やっぱそうだよな。っつーことは、切り抜ける方法は一つしかない」




 ナオトが頷く。




「走るぞ」




 この声はガイス班にもしっかりと聞こえていた。半獣化し、リンの肩をクロムとデスのかぎ爪が片方ずつ持ち上げる。青島班はそれぞれで走り出した。


 これに続き、他班が後を追いかける形となった。奥に進めば進むほど霧は濃くなっていき、しかも終わりが見えてこない。後方では、どんどん霧に毒される物が現れた。


 倒れる音にイツキが振り返る。




「幻惑の森の毒霧が地中にまで浸食しているだなんて……。全員が幻覚にかかったら、この試験はクリアできない」

「イツキと俺が先に行く」




 ナオトの薄紫色の瞳が前方を捉える。




「一度呼吸を整えて、それからイオリを拾いに来よう」

「頼むぜ。正直、もうクラクラなんだわ」




 ニヘラと笑って、イオリが壁を向いた。そして、




「――っ、肉を食うだけじゃねえーのかよ!!」




 彼にとっての最大の恐怖が襲いかかってきた。




「そのペンチ何に使うっ……、やめっ……、ぎゃああああああ!!!!」




 あまりの絶叫にナオトとイツキの足が止まる。左目を押さえながらのたうちまわる姿と発言に、喉を酸っぱいのものが逆流してきた。


 イツキがイオリの手を退かす。




「――っ、そんなっ……」




 イオリの左目は義眼だった。


 ヒスイの顔面の皮膚がこめかみに向かって引きつる。イオリ越しに王家を睨みつけ、仲間の先代が受けた恐怖を垣間見る。




「急いで霧から抜け出して、ここに戻ってこよう。早く彼を苦痛から解放してあげるべきだ」

「イツキ、行くぞ!!」




 イオリを抱えながらだと時間がかかる。これしか方法はない。

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