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俺の家族が全員最強でした――。チートは問答無用でフルボッコ!  作者: 犬丸
第二章・上級試験編(青年期編・2)
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第8話・作戦実行

 次の日、王家が北闇に到着した。会議室に通され、第一試験の報告会に参加している。


 受験者名簿を確認しながら、オウガはある枠で目を細めた。




「光影の国……?」




 報告会を仕切るタモンに代わって、コモクがオウガの声を拾う。




「私も驚きましたわ。ニチ班を推薦したのが、イッセイと名乗る男でしたの」

「死者が蘇るわけがない」

「仰るとおりです。ですが、彼の顔、タモン曰くそっくりだ、と」




 オウガの耳元に口を寄せる。




「どうしてタモンがそのことを知っているのでしょうか。イッセイ様が亡くなられた時期を考えると、当時の年齢は1歳か2歳か……」




 そこで一度口を閉じて、口元に手を添えながら静かにオウガの隣に座る。




「なんだか混乱してきましたわ」

「どうしたんだ?」

「タモンは馬の重度の出現があった後に誕生した。そして、馬を実際に目の辺りにした闇影隊は、南光を除くと赤坂キョウスケのみになります。その後、イッセイ様が亡くなられた……。けれど、これは40年ほど前のお話ですわ」

「……何を言っている。そんなわけがないだろう」

「申し訳ありません。今回の試験、初の試みで疲れているのかもしれませんわ。オウガ様の仰るとおり、あり得ない話しですわね。だって、もし40年も前の出来事だとしたら、タモンと赤坂キョウスケの年齢が一致しないですもの」

「少し休め」




 会議室を出る前に、コモクがタモンへ目配せをする。その合図をしっかりと受け取り、しばらくしてタモンは報告会を終わらせた。


 本部の最奥にある執務室。廊下を挟んで前にある部屋は、タモンが寝るためだけに使用している部屋だ。そこへ王家を案内する。




「親父の部屋に比べれば質素すぎるが、問題ねえだろ?」

「ああ、気遣いは不要だ。それで、2日後の第二試験は何をする?」

「西猛の海岸沿いにある、アレで試すつもりだ」




 瞬時に場所を突き止めた蛍が腕で一刀しもう反論した。




「何を考えておられるのですか!? あそこは、幻惑の森の毒霧が充満する危険地帯だ!! いくら森よりは霧が薄いとはいえ、救助なしでは出られないのですよ!?」

「入り組んだ馬鹿でかい洞窟の迷路だってことを忘れてるぞ」

「ちゃんとわかっています!! 問題は霧の方でしょう!! 彼らは、胸底に押し殺した闇を引きずり出されることになる!! 精神が破壊されたら如何なさるおつもりですか!?」




 腕を組んだ姿勢で、蛍の赤い面にグッと顔を近づける。互いの呼吸がぶつかり合う。




「闇影隊の闇とは、人の心に眠る闇。闇影隊の影とは、その闇を狙う影の存在をさす。つまり、闇を払拭して初めて影と戦える勇敢な兵士を育成できるというわけだ。薄められた毒霧ごときにやられるようじゃ話しにならん。無駄死にする前に諦めさせた方が早い」

「……グリードが潜んでいる可能性もあります。きちんと調査したのですか?」

「おいおい、討伐対象だろう? なぜ調査する必要がある。ハンターと同じで、襲いかかってきたら始末する。それだけだ」




 踵を返し、扉に向かう。




「南光での第一試験はハンターの討伐が確定している。俺が考えた第二試験と何が違うのか、後で理由を言いに来い。話しはそれからだ」




 廊下へ出る。




「ああ、そうだった。第二試験では精鋭部隊を配置する。例え誰かが幻覚を見たにせよ、俺の部下がきちんと保護するから安心しろ。うっかり、〝過去〟に触れちまうかもしれねえがな」




 扉が閉まると、蛍は自身の面を足もとへ強く叩きつけた。そして、参加者リストの用紙の束をめくり、北闇のところで指を止める。




「――っ、第一試験を突破していますね。棄権させますか?」

「それだと怪しまれる」

「しかし、毒霧を吸った〝あの子〟が何を見るかは、こちらも予測がつきません。精鋭部隊に情報を漏らせば、我々は終わりです」

「……テンリに報告しろ。ここは奴に任せてみよう」

「確実に死者がでますよ?」

「王家存続のためだ、仕方あるまい。幸運なことに、第一試験で半数以上が失格になっている。我が国も含めて、人間の犠牲者は最小に止まるだろう。それにだ……」




 窓に振り向いて、剪定された庭を眺める。




「我々が潜ませた内通者ではない。尻拭いするのは奴の役目だ」







 その頃、会議室に戻ったタモンは、待っていたコモクと小声で会話していた。




「食いついたよ。これで少しは足止めできるはず」

「西猛へは?」

「北闇へ来る前に、蘭に指示を出している。面倒だが、お焚き上げは毎日作り直されているから安心しな」

「すまないな」

「なんだい、あんたが謝るだなんて気持ちが悪いねぇ。私はただ、ラオ様のためにやっているだけさ。ラオ様の死に王家が関与しているのなら、私はいくらだって手を貸すよ」

「まだ確定したわけじゃねえぞ?」

「私の国が最初の目標となり、ライマルの運命を変えられた。そして、ラオ様は死んだ。関連がないとでも思っているのかい? あんたはそこまで馬鹿じゃないはずだよ」




 そこへ、ユズキが訪れた。タモンに席を外すよう頼んで、会議室の扉が閉められる。とても小さな声で話しているのだろう。ユズキとコモクの声は誰にも聞こえなかった。


 こうして、2日後が訪れた。正門前には合格者がずらりと並び、号令と共に西猛へ出発する。後方にはオウガと蛍の姿もあった。


 いよいよ、タモンが前もって告げていた作戦を実行する日がやってきた。


 情報公開を行った際に、タモンは威支のアジトがあるのは幻惑の森だと話している。威支を注視していると思わせながら、タモンは初めから、調査任務を行うのではなく毒霧を利用し内通者をあぶり出す気でいたのだ。


 走流野家から離れるなんてことは考えられない。だとしたら、合格者の中に必ず内通者は潜んでいる。

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