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俺の家族が全員最強でした――。チートは問答無用でフルボッコ!  作者: 犬丸
第二章・上級試験編(青年期編・2)
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第6話・特別ルール

【定期】


 本格的な試験編となりますので、三人称視点で話が進みます。

 試験を終えた混血者たちが、続々と山の麓に集まる。


 イツキとイオリは人混みを掻き分けて先頭に身を乗り出した。




「ナオトは!?」

「まだみたい。間に合ったね」




 イオリがナオトを呼ぶと、ゼッケンの位置をヒロトに直してもらっている最中の彼が振り返った。目が合うなり、イツキとイオリは両腕で大きな×を作る。満点じゃなかった、という合図だ。


 その隣で、リョウタが大きな○を作った。




「こういう意味っしょ?」

「マジでムカつく!!」




 近くで、犬の双子と、遅れてやって来たヒスイが合流する。リンの試験を見届けてきたために遅くなったのだ。赤坂班と、ライマルとリンの班は無事に第一試験を突破した。残すは、ナオト次第で青島班の合否が確定する。


 北闇の混血者同士がいがみ合う、その光景を背後に、ニチ班は任務完遂までの道のりが険しいことを察して(いか)めしい面持ちでいた。


 女に扮したハクマが会場を見渡す。そして、マイクを握る男を一転に見つめた。




「あいつ、ヤバイよ」

「うんうん。空気読めないタイプだよね」




 今しがた到着したヒスイにハクマは説明した。




「やたらと双子発言するっていうの? 赤坂が何度も注意してる」

「そのせいで試験が始まらないんだよね」




 山の麓で横並びに整列する受験生たちは、すでに暇疲れモードでいる。


 赤坂とアナウンサーのやり取りを伺っていると、どうやら決裂に終わったらしい。マイクを持つ男が赤坂を押しのけて大きく息を吸った。




「会場にお集まりの皆さん!! おはようございまっす!!」




 大声に、不快な音割れが響く。




「大変長らくお待たせしました! 第一試験、人間部門! 過酷な山登りレースを行いまっす! それでは改めましてルールの説明を行います! 最後に合否をわけるとても重要な禁止事項をお伝えしますので、ちゃーんと聞いて下さいね!」




 ルールその1――。

 走者の邪魔をしてもOK。ただし、武器の使用は禁止。


 ルールその2――。

 ゴールの合図は試験官にタッチ。目の前に立つだけでは測定不能となる。



 ルールその3――、




「これはごく一部の受験生に課せられる特殊ルールとなっておりまーす! あえて名前は読み上げません。……きっと、すぐにおわかりになるでしょうから」




 わざとらしく低くした声。会場が静まりかえる。




「人間でありながら混血者と同じ能力を持つ受験生に限って、ルールその1は適用されません。あなた方の場合はその逆で、受験生に触れれば即失格!!」




 赤坂と揉めていた理由はこれかと、ニチ班は目を細めた。




「ただでさえチートな能力だというのに、他受験生と同等に扱う必要がありますでしょうか? いいえ、ございませーん!! なので、非常に白熱した試合が想像されますが、合格を目指して頑張って下さい! いいですかー?」




 名前を読み上げないと言いながらも、返答を求める。性格の悪さにナオトは唇を噛み締めた。すると、ヒロトはアナウンサーへ歩み寄り、マイクを取り上げた。




「上等じゃねえか!! なあ、ナオト!!!!」




 ヒロトの大きな声に、ナオトは心臓辺りの服を握る。




「俺たちの邪魔をしてえなら、かかってこいってんだ。ただし、自分の人生を賭けられる奴だけにしろよな。先に言っておくけど、弱い奴に興味ねえからよ!! 以上!!」




 女子の黄色い歓声、感心の声を漏らす部隊長たち、苛立つ数人の受験生。様々な気持ちが交差するなかで、いよいよ人間部門の第一試験が始まる。


 ヒロトに投げ渡されたマイクを受け取った赤坂は、整列する受験生に向いた。




「位置について、よーい……始め!!」




 砂埃が舞い、足音が山に反響する。先頭を走るのはナオトとヒロトだ。その背中に触れようと手を伸ばす受験生が何人か見受けられる。2人がまだ本気を出していないため距離はそんなに開いていない。




「そもそもさ、俺とヒロトに触れるわけがないじゃん。宣戦布告する意味あったの?」

「いいじゃねえか。今年は前夜祭がなかったから、その代わりってことにしとけよ。そんなことよりも、やるぞ」

「そうこなくっちゃ」




 自己暗示の禁止はされていない。そのための往復ルールなので、2人は早速自己暗示をかけ始めた。


 ここから、2人の勝負が始まる。


 登りで集中的に自己暗示を使うのは同じ考えのようで、2人の体を纏うように熱気が発生。手を伸ばしていた受験生が異変を感じ取る。




「な、なんだ?」




 同じ顔が背後に向いた。




「じゃあな」「じゃあね」




 空気が「バンッ!」と破裂し、近くにいた受験生の足が取られる。この音は会場にも響き渡った。赤坂が口元に笑みを浮かべ、中腹辺りを仰ぎ見た。


 訓練校で赤坂が説明した内容を、受験生はきちんと頭にたたき込んでいるだろうか。


 赤坂キョウスケ――。彼は精鋭部隊の中でも群を抜く強さを誇り、役職で例えるなら幹部の位置にある。そんな混血者だ。数々の修羅場をくぐり抜けてきたキョウスケが人間部門を任されたということは、ただの山登りレースをさせるはずもない。




(さてと、どれだけの奴がペース配分を考えているか……。見物だな)




 彼はあらかじめ、混血者よりも過酷な試験である事を伝えた上で説明を行っている。だが、赤坂は肝心のスタート地点からゴールまでの距離を告げていない。


 赤坂の瞳はそびえ立つ山が映し出されているのであった。

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