第3話・種族別の第一試験
【定期】
本格的な試験編となりますので、三人称視点で話が進みます。
受付を済ませて廊下へ行くと、種族別に案内標識が置かれてあるのが見て取れる。人間・半獣人・半妖人で各教室に振り分けられ、試験官から第一試験の説明がされる。
第一試験は体力測定。よって、評価基準が異なる。そのための振り分けだ。内容を知った各教室では響めきが巻き起こっていた。
南光で上級試験を行う場合、第一試験から班での行動が決まっていた。それなのに、北闇が用意した第一試験は、各隊員の個人点を班の合計で競うものだ。
MAX10点で評価され、合計点が20点を下回っていれば失格との注意書きも添えられた用紙に目が釘付けとなる。赤坂班は4人いるので、30点以上を獲得できなければ失格となる。
そしてもう一つ。班の合計であるが、個人点が基準を満たしていない場合に限っては、個人のみを失格とする。
このように、点数評価には納得がいくものの――。
ある教室では、
「俺の班、人間が1人いるんだけど、こいつがまったく使えない奴でさ。ヤバイよな?」
また、ある教室では、
「体力測定ってなに? 自信ないんですけど。はい、終了」
さらには、こんな弱音を吐く者まで。
「人害認定四種じゃなくて、班員に殺されっかもなー。合計とか最悪……」
タモンはこうなるのを読んだ上で、あえて点数評価を取り入れている。
混血者は人間を見下し、人間は混血者に任せっきり。しかし、上級試験を受けにきた自信過剰共をわざわざ咎める理由はない。身をもって思い知れ、ということだ。
なにはともあれ、半獣人を受け持つ試験官は早速内容について説明した。ヒスイや、南光から来ているクロムの班、イツキとイオリはこの試験を受ける。
「半獣化した状態では生き物によって差がでてしまうため、お前達には半獣化の禁止を先に言い渡しておく。この状態で行うのは、1キロ走だ。2分以内に走りきれば10点、3分以内は8点、それ以外は5点となる。もちろん、ゴール出来なければ失格だ。では、移動を開始する。受付で班名が書かれたゼッケンを配付されるので、必ず受け取るように」
次に、半妖人。ここにはコウマとハクマ、そしてハルイチ率いる五桐班やライマルの姿がある。
「あなた達に競ってもらうのは、難易度の高い100メートル走です。ルールは一度しか説明しません。しっかり聞いて下さいね」
試験官が一枚の紙を見せる。
「スタート前にこの用紙を配ります。ここには事細かに犯罪者の容姿が書かれています。10秒でできる限り覚えた後、ゴール地点にて化けてもらいます」
半妖人の目が据わった。
半妖人はほんの僅かの時間だけ姿を変える能力が備わっている。しかし、もって3秒ほどしか使えないため実用性はない。王家も、彼らのこの能力はまったく重視していなかった。
「うんうん、皆さんが考えていることはわかります。ですが、本当に使えない能力でしょうか? 少なくとも、タモン様はそう考えてはいません。例えば、潜入捜査で敵のアジトに潜り込んだとしましょう」
試験官は身振り手振りで大袈裟な演技をした。
「大変!! 見張りを1人倒したはいいけれど、仲間がそこまで来ているわ!! 誰かが誤魔化さなきゃ!! ……はい、そうです。あなた方の出番です。門を通過する、たった3秒。この3秒が班員の命を左右します」
教壇の前に座るハルイチが大きく頷く。
「素晴らしい。俺も使ったことはありませんが、そう考えれば眠らせる理由がないですね。いいでしょう、受けて立ちます」
「頼もしいわぁ。どれだけ特徴を覚えられているか、点数を決めるのはこれだけです」
「はて、では何の為に走るんですかい?」
「メインは変化ですが、100メートルをどう有効活用するかはあなた方次第です。頑張って下さいね。ちなみに、タモン様はこの能力を重要なものと捉えていますので、試験の様子は他種族の子に見られないようになっているから安心してね。じゃ、移動します」
最後に、人間。ここにはナオトとヒロト、ケンタがいる。試験官は赤坂だ。
「はい、ちゅーもく。喋ったら失格ねー」
強烈な一言に、不満を吐露していた隊員が静かになった。
「その調子で頼むよ。さて、お前達の試験について説明する。混血者よりも過酷だから心してね」
背中を向けて黒板に向く。山の絵を描いて言葉を紡ぐ。
「スタート地点は山の麓。ゴールは試験官が列を成して立っているからすぐにわかる。ゴール到着時間で点数が決まるから、忘れないようにね」
山の横に点数を書いていく。4分以内が10点、5分以内は8点、残りは時間で点数が決まり、5分以上は失格というルールだ。
チョークを置くと、誰かが手を挙げる前に、赤坂は「ちなみにだけど」と声を大にして言った。
「双子は別ルールだ。お前たち2人は二往復した時間で得点が決まる。ゴール場所がスタート地点になるから間違えないようにね」
「「了解」」
「じゃあ、移動開始。はぐれないようにねー」
こうして、半獣人、半妖人、人間の順に試験は始まった。




