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俺の家族が全員最強でした――。チートは問答無用でフルボッコ!  作者: 犬丸
第二章・上級試験編(青年期編・2)
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第1話・任務開始。上級試験に参加せよ!

 本格的な試験編となりますので、三人称視点で話が進みます。

【コウの隠れ家】


 試験開始日を明日に控えた今日、威支は迷界の森に移動していた。コウの隠れ家を第二の拠点に構え、試験では、威支は光の柱と走流野家の息子を護衛する。


 その前に、ユズキにはやるべき事があった。実は、彼らは彼女の本来の目的をまだ知らないのだ。忘れてはいないだろうか。そもそもユズキは――。




「ラヅキを解放して終わりではなかったのか?」




 今しがたユズキから告げられた本来の目的に、トウヤ以外の全員が言葉を失った。




「違う。土地神を解放するためにラヅキが必要だったんだ」

「俺の話を忘れたとは言わせんぞ。ラヅキは空神だと言ったはずだ」

「代理……だがな」

「そういう問題じゃないだろう。なぜ奴らを解放するんだ」




 隠れ家の出入り口から冷たい空気が流れ込んできた。ユズキはそれを肌に感じながら答える。




「北闇からは冬が消え、東昇は大地を失った。南光では食物が育たず、唯一安定しているのは西猛だけだ。なぜなら、西猛の土地神だけが人の手によって封印されなかったからだ」




 長く生き抜いてきたトウヤにも、こればかりは原因がわからなかったようだ。




「あり得ん。奴らはただの兵士のはずだ」

「さっきから言ってるだろう。〝土地神〟、……お前たちが手を出したのは神なんだ」




 とはいえ、あまりにも突拍子もない内容だ。真実だとわからせるには、もうこれしか方法がないと、彼女は覚悟を決めてここへ来ている。


 けれど、どれだけ強気な彼女でも、今回ばかりはほんの少しだけ勇気が足りなかった。沈黙が続くせいでメンバーが困っている。


 ユズキの心境に誰よりも早く気づいたのはキトだ。呼ばれてもいないのに現れて、彼女を背後から抱きしめる。




「ここまで来たんだ。もう迷うな」

「そうだな……」




 キトがいれば怖い物は何もない。意を決して、――呼び出した。




「ラヅキ、時は来た」




 枯れ葉が揺れ動く。空気の流れが変わる。風が、巻き起こる。トウヤは目を見張らせた。




「黒い……狼。本当に空神を解放していたのか」




 ユズキの側に立つ、漆黒の毛を纏った狼が威支の顔を見渡した。


 そして、




「思い出すがいい。我が……たちよ」




 ユズキに記憶を返した時と同じ現象が起きる。ラヅキの遠吠えと同時に、洞窟に違う色味が帯びていった。でも、その空間にユズキとキトは入れていない。




「どうなってるんだ? 僕たちだけ弾き出されたぞ」

「まあ、気長に待とう。あいつらだって記憶に混乱が生じているのだ。ラヅキのおかげで治るかもしれない」

「それならいいんだが……。ラヅキの声、聞こえたか?」

「思い出せって言っていた」

「その後だ」

「気のせいだろう」




 メンバーが戻って来たのは、その会話の直後であった。何を見せられたのか、とにかく顔色はあまり良くない。なので、ユズキは触れなかった。コウマから記憶の話しを聞かされたとき、「血塗られた光景と先代の悲痛な叫び声」との発言があったからだ。


 用が済んだようで、ラヅキはコウのもとへ行ってしまった。


 もうそろそろ夜がやってくる。影の様子から陽がだいぶ傾いたことを感じたトウヤは、冒頭の会話には戻らず、作戦内容を確認し始めた。




「護衛のため、4人が試験へ潜入する。隊長にキト、部下に双子とヒスイだ。残りは、作戦通り、外で行われる試験のカバーを頼む」

「「了解」」




 ユズキが片手を上げる。




「ラヅキも参加させたい」

「わかっている。第三試験がいいだろう」

「……? ありがとう……」




 この中で、彼女だけが疑問を抱いていた。あれだけ反対していたトウヤが、なぜこうもあっさりと頷いたのだろうか、と。


 なにはともあれ、試験は明日開始される。潜入するメンバーで、双子は青年の姿へと変化し、キトはイッセイそっくりに化けた。そして、イッセイ本人から、自国初の戦闘服が手渡される。




「これを……」




 黒と薄紫色を基調とし、襟の裏には〝勇往邁進(ゆうおうまいしん)〟との文字が刺繍された、この世に四着しかない戦闘服だ。キトが口角をつり上げる。




「困難を恐れず、突き進め。良い言葉だ」




 こうして、4人は総司令官・桜の案内のもと、新館の宿屋へと案内をされた。そこで待っていたのはハルイチとネネだ。他のメンバーは早朝に潜入し、第一拠点である鍛錬場へと移動する。


 いよいよ始まる上級試験。ここで、様々な物語(ドラマ)が誕生する――。

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