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第14話・チーム編成

 床を何度も叩く踵。耳障りな音に何人かは苛立ちを見せ、何人かは不安を煽られている。


 激しい貧乏揺すりをするのは俺だ。目を閉じて懸命に記憶を掘り返し、他に何かヒントになりそうな物がないかを探す。しかし、無情にも、スコップは何にも当たらなかった。




「母親の特徴を伝えただけでこの様か。隊長どころか国帝まで潰されるなんて、敵は相当手の込んだ事をしている。おそらく、これも先を読んでのものだろう。いずれこうなると承知の上で、辛抱強く待ったにに違いない」




 タモン様を横目にしながらソウジが冷静に推測する。




「となれば、敵は次の手段に出るわけだ。こちらも策を練るべきなんだが、貴様の態度を見ていると絶望しか感じない」

「ごめん……。手掛かりになりそうな物が何も見つからない。出来る事は母さんの特徴を言わないこと。これだけだ」

「イツキ、貴様の考えは?」




 タモン様のベッドの横に腰掛けているイツキは、手を握りしめて瞳に悲哀(ひあい)の色を深く漂わせている。幼い頃から面倒を見てくれた人なんだ。誰よりもショックを受けているだろう。




「これは言霊じゃないと思う。こんな時限爆弾みたいな言霊はないし、大掛かりな物だとしても、特定の人物だけじゃなくて前みたいに国全体が言霊の餌食になっていたはず……」

「だとしたら、最悪だ」

「どういう意味だ?」




 俺の問いにユマ代わって答える。




「もし言霊だとしたら、犯人は近くにいるはずだ。そいつを見つけ出して叩けば済んだ。だが、これが別の方法だとしたら、治療法を探さなきゃいけなくなる。医療班でもお手上げ状態なのに、私達に何が出来るのかって話しさ。まだ言霊の方がマシだった」




 ここで、医療班に話しを聞きに行っていたヒロトが戻って来た。検査結果は、毒物や薬物は陰性だったそうだ。


 薬や毒じゃないとなると、いったい何が原因なのだろうか。




「そういえば、タモン様と母さんの話をしたとき、国の問題だって言ってた。国全体が幻覚にかかった時から内通者がいるはずだって……」

「なぜ貴様は無事なんだ?」

「それは、俺が母さんに会ったことがないからだ。写真もないから姿もわからない」

「なるほど。ならば、この件は母親を知らない者で小隊を組み、原因究明するしかない。俺も知らない。他は?」




 手を挙げたのは、イツキとヒロトを除いたメンバーだった。イツキは母さんの資料を見たことがあるそうだ。


 そうして、ソウジはメンバーの中から数人を選んだ。除外されたのはカナデとケンタだ。ケンタは素直に従ったが、カナデは頑なに嫌がった。




「私も行きます! 足手まといにはなりません!」

「ダメだ。ハルイチとの約束がある。貴様は置いていく」

「でもっ……」

「ここで4人を守れ。そのための言霊だろう」

「――っ……」

「後でアイツをここに寄こす。2人で中を見張り、ヒロトとケンタは外で見張れ。イツキは国内の偵察だ。反論は認めない」




 なんて圧力だろうか。行動で威嚇を示さなくとも、鋭い眼光がカナデを抑えつけている。瞬く間に彼女は身を小さくさせてソウジから目を背けた。


 ケンタは――、説明する必要はないか。


 こうして、6人で原因究明することとなった。メンバーは、ソウジ・ユマ・イオリ・レン・フウカ、そして俺だ。


 ソウジはもう1人の配下に状況を伝えるため集落へ。その間に俺達は必要な物を揃えて正門前に集合し、ソウジが来たのと同時に出発。


 向かう先は――。




「貴様、当てずっぽうに動いていないだろうな?」




 俺を先頭に走るメンバーの不安が、ひしひしと背中に届く。




「なんの手掛かりもないんだ。もし知っているとしたら、俺には思い当たる人物が1人しかいない」

「誰だ」

「…………ユズキ。彼女なら、何か知っているかも」




 イツキはサバイバルのプロだと言っていた。ならば、薬草なんかにも詳しいはずだ。ただし、大きな問題が1つだけある。




「向かう先には必ず重度がいる。頼むから、刺激しないでくれ」

「……まずは知っていることを吐け。話しはそれからだ。味方に隠し事などするから事を複雑にするんだ」




 俺の行く手を阻んでソウジが立ち止まる。


 敵はここまで仕掛けてきたんだ。もう、俺1人で抱えきれる状況ではない。だけど、これまで信用できなかったのも確かだ。


 だってそうだろう?




「助けて欲しいって何度も叫んだし、やめてくれって泣きながら頼んだ。それでも……やめなかった……」

「――っ、今はそんな話しをしている場合じゃない!」

「そうか? ヒロトと違って俺が混血者と距離を置いていた理由に心当たりがない、なんて言わせない」




 いや、覚えているはずがない。


 ソウジは遠目に、ただ黙って成り行きを楽しんでいただけなのだから――。

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