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第10話・作戦会議

 長方形の木の机に置かれた数本の蝋燭。明かりも乏しい場所で、蝋燭を囲むように座って会議は行われた。 


 キトと同じく、重度にとっても封印術士はとても厄介な相手らしい。なにせ、土地神を封印するほどの能力の持ち主だ。相性が悪いことこの上ないだろう。


 トウヤも敵に回したくない相手らしい。


 とりあえず、ヘタロウを救出するに当たって、それに関わった人物のことをトウヤは仲間に説明した。あくまでも、ナオトを始末する為に手を組んだとの事を前提に。嘘ではないが、おそらく全てではないだろう。


 これだけの理由なら初めから仲間にも紹介していたはずだ。しかし、手を貸してくれるのだから、あえて口を挟まないでおく。代わりに王家内に施された複数のトラップについて説明した。


 作戦会議にいるのは、犬の兄弟とタマオ以外のメンバーだ。




「まずは封印と結界だ。本当にあったのか?」

「ああ、がっちりと。扉は開かないし、ヘタロウも出られないと言っていた」

「そこまでやるとは聞いていないが……」




 チョウゴがくすぶる不安を口に出す。




「トウヤはどうしてヘタロウを捕獲したんだ? 俺達にとって敵なのか?」

「奴にとっての敵だ。協力してもらった礼として西猛や月夜の手助けもしたが、何者なのかは聞かされていない。ユズキよ、あの老人はなんだ?」




 それでコウマとハクマに謝っていたのか――、と納得したところで、答える。




「走流野家の歴史を語れる唯一の人間だ。それに、薄紫色の瞳を持つ走流野家の一代目でもある。気にならないか?」




 監視者と呼ばれる、ナオトに似た男の存在。記憶で見た者は全員が関心を示した。




「マヤも薄紫色の瞳だったわね。お爺さんは知っているのかしら」

「全てはヘタロウを救出してからだ。まずは先に光影の国……。何か案はないか?」




 トウヤに向くと、彼はしばらく考え込んだ。その理由は光影の国を隠すほどに覆う煙にある。


 聞くところによると、封印術士を守るために、光影は毒作用のある煙を常に焚いているらしい。あの王家ですら許可が無ければ通ることを許されず、守りはどの国によりも厳重なんだそうだ。闇影隊を必要としないのは煙のおかげで、加えて彼らは要請がなければ国から出てこない。


 だが、12年前に土地神を封印したのだから、トウヤと封印術士は繋がっているはずだ。それなのに、どうしてここまで悩んでいるのだろうか。


 代わってチョウゴが問いかける。




「12年前に行動を起こしたとき、どうやって彼らに協力を仰いだんだ?」

「あんな物騒な奴らに頼むものか。向こうから接触してきたんだ」

「何の話しだ」




 知ってはいるけれど、説明するようトウヤを促した。簡潔に巨大な生き物を封じ込めたと話す。




「目的を達成するためには邪魔だ。俺は始末する気でいたんだが、そこに現れたのが光影の封印術士……。まるで機械のような話し方で、協力する、と。指示を出し、手際よく封印を施した」

「人にか?」

「そうだ。自分に封じ込めるつもりが、何やら手違いが起きたようだ」

「ちょっと整理させてくれ。お前達は王家と手を組んでいるんだろう? タマオからそう聞かされたぞ」




 ガイスの話しも踏まえて、僕は威支が王家と手を組んで土地神を封印したと考えていた。しかし、これはどうも辻褄が合っていない。




「手を組んだのは、巨大な生き物を封印した後でだ。王家も始末する気でいたようだから、こちらから会いに行った。仮に封印が解かれたとき、あの生き物たちは完全に目覚めてしまう。それを阻止するために器となった者を片付ける方向でいた。まあ、監視者の件が最優先となってしまったがな」

「何はともあれ、国の出入りを滞りなくするためには王家の力が必要になる。わし達が手を組んだのはそれだけの理由よ」

「じゃあ、王家に生き物の存在を知らせたのは誰だ?」




 場が静まりかえった。


 ヨウヒが苦笑いを浮かべる。




「怖いこと言わないでよ。これだとあたし達が利用されたみたいじゃない」

「…………その通りだ。どうやら利用されたらしい」




 トウヤの眉辺りの包帯が中心に寄った。




「マヤを殺した犯人のこともある。もしかすると、俺達を狙う敵が潜んでいるかもしれない」

「よりにもよって、王家や光影と繋がっているか……。わし達の情報は筒抜けだろう。手を切るべきではないか?」

「当然だ」




 そうして話しは光影の国に軌道を修正した。


 トウヤが地図を広げ、光影の国を指さした。その場所は北闇と東昇の間だ。




「俺に案がある。光影と王家が密である以上、これしか方法はないだろう」

「どうするつもりだ」

「いつものことだ。襲撃する」

「それだと他国の闇影隊が駆けつけるぞ」




 僕の不安を他所に、トウヤは「その心配はない」と言い切った。




「奴らは絶対に他国の人間を国に入れない。地震の時がそうだった。北闇と東昇の地震に挟まれ壮大な被害をだしたはずなのに沈黙を守っている。何かを隠しているのは一目瞭然だが、情報は一切出回っていない。つまり、襲撃したとしても、必ず黙秘する」

「目的は封印と結界を解くことだ。頼むから死者を出さないでくれ。封印術士が1人いればそれでいい」

「誘拐は得意じゃないが、ヨウヒがいればなんとかなる」




 それからトウヤは作戦を実行するメンバーを選んでいく。


 イザナは門の破壊。チョウゴは上空から、シュエンは地上の見張り。ヨウヒは封印術士を眠らせる。




「ヒスイはユズキと一緒に封印術士を品定めしてくれ。できるな?」

「いいけど、父さんはどうするの?」

「俺は〝もしも〟の時に備えて外で待機する。王家に報告されては困るからな」




 どうやら、死者を出すなという願いは聞き入れてくれなさそうだ。

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