表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
127/316

第1話・重度の出生

 大中小、ばらばらの背丈に体格をしたフードの者達。中には僕と変わらないくらいの身長もいる。子どもだろうか。他に目を見張ったことといえば、フードの盛り上がり具合だろう。先が尖っていると一目でわかる者が2名いる。


 とまあ、素性を隠すこの怪しい集団、ここにいる計7名は全員が重度だ。


 早速チョウゴが実行した。




「マヤの探し物を捕らえたんだけど、奇妙なことが起こった」




 重度の中で一番の高身長が歩み寄ってくる。こいつからはニオイがしない。おそらく、半妖人の重度だ。犬と蛇、どちらだろう。




「報告しろ」

「マヤがこの子を連れ去った後を追った。合流して様子を伺っていたら、何者かがマヤを殺した」

「…………あのマヤが? それは本当か?」

「この子の背中の傷が証拠だ」




 そう言って、マヤは僕の背中を見せる。すでに治りかけていた傷だが、ここへ入る前に再度引っ掻いてもらった。




「雷と風……。言霊を2種類もっている。気をつけた方がいい」

「すぐに調査する。それで、そいつはどう始末する。マヤは殺す気でいただろう」

「気が変わったらしい。マヤは彼女を勧誘していた。皆もすでに気づいていると思うけど、この子にはニオイや気配がない。使えるんじゃないかな?」




 僕が子どもと疑っている身長の一番低い者は、誰よりも早く「賛成」と声を上げた。声質からして、やはり子どものようだ。




「危険な場所に行かなくて済むんだもん。それよりも、早くコウマを捜しに行こうよ! 溺れ死んだらお前らのせいだからな!」

「落ち着け。敵の手中にある内は迂闊に近づけないと話したばかりだろう。必ず取り戻すから、今は少し待つんだ」




 そんなやり取りを傍観していると、別の誰かが入ってきた。他にも仲間がいたようで、そいつはフードを被っていない。




「新入りとの話しが聞こえてきたのですが、彼女ですか?」




 そう言って、特に不審がることもなくこちらに歩いてくる。


 獣化は進んでいない。人の顔をしていて、キリッとしたメガネがとてもよく似合っているインテイ系の男性で、手足が動物だ。これだけでは何の種類か特定はできないけれど、敵が増えたのは確かだ。




「お手伝いさんは黙っててよ! どうせ大人の事情ですからって決まり文句しか言えないんだからさ!」

「酷い言われようですねぇ。しかし、こればかりは本当に大人の事情のようですよ。コウマ君なら私が一緒に捜してあげますから、一先ずは静かにしてなさい。邪魔をしてはいけません」




 手足をばたつかせる子どもを抱き上げて、「申し訳ございません」と謝りながら去って行く。まさか、重度の中にも、ただのお手伝いさんが存在しようとは。




「話が逸れたね。とにかく、いつもの方法で決めよう」




 チョウゴは、僕を仲間に入れるかどうかの多数決を取った。結果は4対3で反対が多い。




「残念だが、始末するしかない」




 男がそう言うと、奥の方からお手伝いさんが大きな声を投げてきた。




「私は賛成でございます。ちょうど助手が欲しかったもので」

「……これで4対4だな」

「忘れちゃいけないよ。マヤは勧誘してたんだ。5対4で決定。彼女は今日から仲間だ。それにコウマが戻って来ても、あの子はハクマと同意見のはずだ」




 折れたのか、少しの前を置いて男はこくりと頷いた。





「……お前を威支(いと)へ歓迎する」




 男がマントを脱いだ。


 蛇の鱗がびっしりと肌を多い、頭部からは鹿の角のような者が生えている。ヨツノウミを人型にしたような生き物だ。ただ、目は包帯で巻いて隠している。これだと表情が読み取れない。鼻と口は人と同じなので、進行はあるもののまだ完璧に妖化していないのがわかる。




「とりあえず、殺さない。そういうことか?」

「察しが良いガキは嫌いじゃない。余計な真似はするな」

「……了解」




 こいつが、妖化できる蛇の重度――。




「チョウゴ、マヤのことはお前から伝えろ」

「わかった」




 それだけ言うと、他のメンバーも一緒にこの場を去っていった。




「誰に伝えるんだ?」

「さっきハクマを連れて行った人だよ。彼は、マヤの側近だから……」







「なんて……仰ったのですか……?」

「マヤが殺された。一瞬の出来事で助けられなかった、すまない……」

「そんなっ……。本当にマヤ様なのですか!?」

「俺もツラいんだ。二度も言わせないでくれ……」

「まさか……、そんなことが……」




 抱っこしていたハクマを下ろし、ふらつきながら壁にもたれ掛かる。かなり親しい仲だったようだ。




「今は悲しみに浸っている場合ではありませんね。一刻も早く捜さなければ……」

「だけど、どこを捜せばいいんだ? 闇雲に行ったって敵に見つかるだけだぞ」




 いったい誰を捜すのだろうか。すると、黙って話しを聞いていたハクマが僕に小さな声で言った。




「生まれ変わりが誕生するんだよ、新人。人間よりも早く見つけて、目撃者を始末しないと、こっちが追われる身になるからね」

「猫の生まれ変わりってことか?」

「うん。俺達はそうやって誕生するんだ。先代の記憶を引き継いでね」




 最後に「所々だけど」と付け加えて、頭の後ろで手を組んだ。これは興味深い話しだ。マヤも〝記憶が教えてくれた〟と話していた。記憶とは、重度にとってとても大切な物なのかもしれない。


 ともかく、これで伝説に近い生き物だと言われてきた重度の出生の秘密は暴かれたわけだ。


 彼らは、殺すだけでは意味がないということを――。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ