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俺の家族が全員最強でした――。チートは問答無用でフルボッコ!  作者: 犬丸
SEASON・1――/第一章・少年期編・1
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狙われた最弱・5

 こうして、俺は父さんに連れられて再び本部へ向かった。タモン様に修行をするための休暇の許可をもらうのだ。




「話したのか?」

「はい。各隊長の許可はすでに得ていますので、問題はありません」

「そうか。んで、ヒロトはどうした?」

「あの子にはもう一度説得を試みます。それで、許可は頂けますか?」

「いいだろう。ただし、場所は指定させてもらう。それ以外の場所での修行は認めん」

「わかりました」




 タモンが様が俺に向く。




「外にいる男に鍛錬場と伝えるんだ。そいつと一緒に先に行ってろ。セメルと話す事がある」

「了解です。じゃあ父さん、また後で」




 執務室を出るとニスケが待っていた。タモン様に言われた通りにすると、「着いてこい」と言って歩き始める。




「あそこは特別な者しか入れないんだぞ」

「特別……ですか。例えばどういう人が?」

「人前で修行できない者……。精鋭部隊って知ってるか?」

「いえ、初耳です」

「混血者並に物騒な奴らだ。しかも、請け負う任務は機密なものばかりときた。あいつらは絶対に人前では修行をしないんだ」




 話しながら、ニスケは厚みのある鉄の扉を開けた。中は薄暗く、壁は人工的な手触りで滑らかだ。長い階段はかなり下へと続いている。驚いた事に、本部には地下が存在するらしい。松明を手にとって一段ずつゆっくりと下りていった。


 暗闇の奥から吹いてくる風に、ふと歩みを止めた。水の匂いを含んだ風が肌を撫でてくるのだ。


 いつの間にか、滑らかだった壁はゴツゴツとした岩肌のような質に変わり、階段も形がいびつになっていた。そして、辿り着いた場所を見て息を飲み込む。


 鍛錬場だというから、道場みたいな場所を想像していた。しかし、目前に広がるのは、人が大勢住めるほどの空間だったのだ。そこには作業をしている人が何人かいる。


 壁に開いた穴から滝のようにして流れてくる水を引くために作られたであろう、用水路。だが、用水路にしては浅い。男によると、小川に似せているらしく、中を覗くと底には削って掘ったような跡があった。土や石、水草や小魚までいる。


 この空間に光を与えているのは、天井を支えている何本もの支柱に設置された幾つもの松明だった。電気がくるまでの代わりらしい。他にも、建設中の大きな建物がある。




「ここは……」




 声に男が振り向いた。




「12年前に北闇は大地震に見舞われた。あれのせいじゃないかって噂だ。本部が建つ丘の真下にあるんだが、地震の被害に遭うまで、足もとにこんなバカでかい空間があるだなんて知る由もなかった。タモン様はこの場所を鍛錬場と呼んでいる。まっ、合言葉みたいなものだ」




 火をおこせば魚を焼いて食べられるし、簡易トイレもある。「生活には困らないだろう」と、ニスケは得意げだった。


 俺はというと12年前の記憶の中にいた。地震が発生したのは俺が生まれた日だからだ。生まれた直後からの記憶がある俺にとって、男のは興味深い発言であった。


 しばらくして、父さんがやって来た。俺と同様で驚きを隠せないでいる。どうやら限られた人しか知らないようだ。


 案内をしてくれた男は、作業をする人達を連れて鍛錬場を出て行った。だだっ広い地下に2人きりとなる。


 もらえた休暇は2週間。その間、ヒロトは同班の混血者の家にお世話になるらしい。




「よし、早速始めようか」




 そう言って、父さんは両手を広げた。淡い光が身体を包みこんでいく。




「まずは手本を見せる」




 父さんの足もとから冷たい空気が発生した。そして、小川に向けて手を伸ばして何かを唱えた。




「氷・捕縛牢」




 すると、いくつかの物体が浮いて出てきたではないか。その正体は氷に捕らわれた魚だ。


 


「これが言霊の能力だ。父さんの本来の力は水だけど、これに性質変化を加えて氷に変えることが出来る。ただし、これだと状況次第では言霊はその能力を存分に発揮できない。ここで補助するのが自己暗示だ」




 片手なら片手に、両足なら両足に、力を与えたい場所を意識する。どのように、どれだけ必要となるのかを考える。


 説明しながら父さんが上着を脱いだ。右手が赤くなっている。


 氷の塊を一つ手に取ると、それを頭上に投げた。程よい高さまで落下してくると右ストレートで氷を殴る。ただそれだけなのに、氷は弾丸のように飛んでいき、壁に当たって粉砕した。

 



「言霊がなければ成せない打撃技だが、自己暗示がなければあれはただの塊だ。この二つを組み合わせることで言霊は力を発揮する。これで言霊と自己暗示についての説明は終わりだ」

「仕組みはわかったけど、どうやって氷にしたらいいの?」

「ナオトの能力が父さんと同じとは限らない。そもそも言霊とは、自然の力を借りた力であり、ほとんど解明されていない謎を秘めた能力なんだ」




 身をもって体験したものが能力となるらしいけど、これも有力な仮説にすぎないらしい。




「自然ってたくさんあるじゃん」

「そうでもないさ。現時点でわかっている主な自然は、俗にいう五大要素ってやつだ」

「地・水・火・風・空……だっけ。他は想像つくけど、空ってなに?」

「空は物語の中にしか存在しない、いわば幻の能力だ。なにせ、空には手が届かないからね。さ、ナオトの性質を確かめてみよう。空はさておき、火以外は触れたことがあるはずだ。その四つをイメージしてごらん。言霊がナオトに合う能力を選んでくれる」




 ソワソワせずにはいられない方法ではないか。さっそく目を閉じて色んな記憶を掘り起こした。


 しかし、俺の記憶は中でも最悪な物を見せつけてきた。睡眠時間を削ってでも避けて通ってきた悪夢だ。


 瞼を精一杯こじ開けたときには遅かった。俺の身体を真っ赤な炎が包み込む。

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