君と僕と雨と時々夏
誤字脱字等々多いかもしれません。
昨日までの猛暑が嘘だったかのような豪雨にため息をついてカーテンを閉めると、見計らっていたかの様なタイミングで携帯が鳴った。
嫌な予感がして渋々電話に出るといつもの落ち着いた声が聞こえる。
「…もしもし」
「起きていたのね。用意をしておいて海に行くから」
「え、ちょっと、あの、豪雨だけど?」
「海へ行くから」
それだけ伝えて切れた電話に俺も少しばかりキレそうだ。
彼女の我儘に付き合わされるのはこれが初めてではないし、もう何度目だと言いたいくらいに多いのだけれど、頑固な彼女の事だ何が何でも海に行く。
諦めて支度をすると妹からは馬鹿だと罵られた。
嗚呼、確かに馬鹿なのかもしれないな。
「来たわ。行くわよ。車はうちの兄が出すから」
「あのさ、別に今日海に行く予定は元々無かったわけだしさ、海に行きたいなら晴れた日の方がいいのでは?」
「そんな事どうだっていいでしょ?海に行きたいのよ」
これ以上は面倒になりそうだからふーんと流して窓の外に目をやると、変わらず止みそうにない豪雨だった。
海に着いたという声で眠りから覚めた俺は彼女に目をやると彼女は荷物を置いて裸足で駆けていった。
俺もそれを同じ様にして追いかけると、彼女はびしょ濡れで荒れる海を眺めていた。
「ほら、誰も居ないわ。暗い空と大雨と荒れた波。どうせ晴れた日に海に入ったって濡れるのだから、今濡れたっていいじゃない」
「ごめん、ちょっと良くわからない。」
「だから、こんな夏もいいでしょって言ったのよ。」
馬鹿なんだからと付け足されたのを俺は聞き逃さなかった。
確かに人の賑わう海もいいけど、こんな荒れた海も嫌いじゃないかもしれない。
浜辺に座ってただ暫く会話もなくお互い海を眺める。
なんだか喋る気になれなかったのだ。そんな日もある。
満足した彼女は帰ろうとだけ言うとスタスタと歩き出して、俺はため息をつきながらそれをまた追いかける。
家に帰ると妹に馬鹿だなんだと罵られ風呂に追いやられた。
次の日俺は風邪で寝込んだけれど、薬と睡眠と気合で治した。
夏も終わりの方、祭りで彼女に会った俺はこんな夏も悪くないなと伝えた。
処女作です。あまり勝手も分からないのですが、うまく形に出来ていたら良いなと思います。
※良い子でも良い子ではなくても荒れた海はあまりオススメしませんので
安全に楽しくあそびましょう。