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無限転生の召喚士  作者: 阿澄龍之輔
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序章 5 集合

一旦自分の部屋に戻るか迷っていると、1人?の精霊が声をかけてきた


「コタローさん探しましたよ」

『あぁちょっとアスレーの倉庫に行ってたんだ。急いでるみたいだけどなんかあった?』

「シェリーが探してますよ。見つからなくてコタローさんの部屋で待つと言ってました」


狐太郎はありがとうと礼を言って自室に急ぐ

扉を開けるとベッドで寝ているシェリーがいた


『おい、シェリー起きろ。用事があるんだろ、ここは俺の部屋だぞ』


ゆさゆさと揺らすと、むにゃむにゃと起き出した


「あ、コタローおはよう~」

『寝ぼけてるな、そんなに待たせたか?』


保冷ボックス(簡易冷蔵庫)から冷たい果実ジュースを取り出してシェリーへ渡す

シェリーはジュースを一気に飲み干すと、パッチリ目を開ける


「ありがと!あ、そうそう出来上がったんだよ~」


コップを狐太郎に返すとシェリーは自分の魔法の袋から厚手のローブを3枚取り出す


『お、完成したのか!?思ったより早かったなー』


受け取った狐太郎はローブをまじまじと確認する

すると1枚だけ他とは若干だが歪なローブがあった


『シェリーこれは・・・』


どうしたんだ?と言いかけてシェリーの手を見て止まる

絆創膏だらけだったからだ


「えっと、あのねそれシェリーが作ったんだ。でもあまりうまくできなくて時間も掛かっちゃった・・だから」


俯き声が徐々に尻すぼみに小さくなる

そして他の職人さんに作ってもらったもう1枚のローブを取り出す


『これはあれだな、俺用だな。見ろ、大きさもピッタリだ。さすがシェリー』


羽織ってみるとサイズはピッタリだった

そしてシェリーの頭をわしゃわしゃと撫でる

狐太郎はシェリーの心遣いが嬉しかった

歪だろうが構わない

苦手だろうに一生懸命心を込めて作った

それが狐太郎には嬉しかったのだ


「えへへ、ありがとコタロー」


嬉しそうに目をつむりながら撫でられるシェリー


『あと2枚は王女達用だな、助かった。んでもう1枚は?予備か?』


シェリーが先程取り出していた1枚へ目を向ける


「えっと・・」

『一応袋にはまだまだスペースはあるからな。予備として持っておこう』


そういうと3枚+1枚を大事そうに魔法の袋にしまう


『時間的にそろそろご飯かな』

「あ、そうそう言い忘れてた。今日は王女様達も広間で食べてもらえって」

『出発前だからどんちゃん騒ぎしたいのか』


理由はわかるくせにはぐらかす狐太郎にシェリーは口を尖らせる


「違うよ、しばらくコタローとも会えなくなるからでしょー」

『わかってるよ、まったく有難いな』

「コタローはもう家族だもん。当然でしょ」


とない胸を張るシェリー


『んじゃ呼びに行った方がいいな』

「あ、シェリーが行く」


元気良くシェリーが手を上げる


『それじゃ任せたシェリー。俺は厨房へ行ってくる』


部屋から出て二手にわかれる


チラリと厨房を除くとそこは戦場だった

せわしなく動き回る料理人達

そんな中料理長のアグニスが目ざとく入口の狐太郎を見つけて近づく


「なんだコタロー、手伝いに来たのか?が、遅かったな。もうすぐ終わるぞ」


残念だったなわはははと豪快に笑うアグニス


『一応飲み物を追加しようと思ってね。足りなくなりそうでしょ』


と言いながら魔法の袋からいくつもの飲み物を出す

大半が酒だったが・・


「おう、助かるわ。正直足りないと思ってたんだわ。おい、こいつを全部冷やしておけ」


他の料理人にあらかた押し付ける


「んでいよいよ明日出発か。今日は王女様達も広間で食べてもらう事にした」

『うん、シェリーから聞いたよ。料理は足りそうなの?』

「とりあえずはな。なに、足りなくなりそうなら狩ってくればいいだけの話だ」


大した問題じゃないとアグニスは笑う


『みんな大ぐらいだからね。育ち盛り?って奴?』

「俺ら精霊に限ってそれは当てはまらんな。と言うか、一番食うのはお前だろコタロー」

『まさに育ち盛りだからね』

「よく言うわ」


2人は笑い合う


「そんなんだから、運ぶのは俺らに任せて主役は先に広間に行ってろ」


しっしっと手で追い払う仕草をして調理場へ戻っていった


広間へ行くと精霊たちがせわしなく準備を勧めている

その一角に所在なさげに緊張しまくっている2人を見つけた

2人も狐太郎を見つけたようで安堵の表情を浮かべる


『もう少し待ってね。もうじき準備終わるはずだからさ』

「シェリー様に連れて来られたんですが、何か始まるんですか?」

『ん?シェリーから何も聞いてない?』

「はい、急に部屋に来たと思ったら着いてきてと言われまして・・で、着いたらここで待つようにと言われました」


軽いめまいを振り払うように狐太郎は頭を振る


『まったく・・・えと、ここに呼んだのはみんなで晩ご飯を食べるためさ。明日ここを発つから今日が最後だからって事で用意してくれたみたいだね。俺もさっき聞いたんだけど』

「何か気を使わせてしまってすいません」


メアリー共々頭を下げるクリスティア

それに狐太郎は気にしなくていいよと釘を刺す


『どうせ半分はどんちゃん騒ぎをしたいだけなんだろうしね。残りの食材をほとんど食い尽くす気満々なのが見え見えだ』


ちなみに精霊は人間と同じように食事を取らなくても生きて行ける

普通の精霊の大半、というか全ては物を食べると言う事をしない

ならば何故ここでは食事をしているのかと言うと狐太郎が寂しがるからだ

1人で食べる食事程味気ないものはない

この世界樹の麓の村は精霊が普通に具現化できる数少ない場所である

具現化すれは物にも触れるし、食べたり飲んだりできる


「残った食料を全部ですか?明日から大丈夫なんでしょうか?」


メアリーが心配そうに尋ねる


『構わないよ。精霊は基本食べなくても生きて行けるからね。俺がいなくなると食料も不要になるし』


気にしなくていいと言われメアリーは納得した

そして続々運び込まれる料理に目が釘付けだった


「みんなお優しいのですね。」

『ん~まぁね。家族みたいなもんだし』

「みたいとはなんだコタロー、家族だと思ってるわしらはどうすればいいのだ」


振り返ると立派なあごひげを蓄えた老人が渋い顔をして立っていた

後ろに2人、若い男女の精霊が付き人のように立っている

無論外見からそう見えるだけで中身はわからないが


『アムエルじいちゃんごめん。ありがとう』

「うむ、わかればよい。お客人よ今日はゆっくりと飲んで食べて疲れを癒し、明日に備えるがよい。わしらは着いて行けんが何、コタローがいれば大丈夫だろうよ」


アムエルと呼ばれる老人は素直に謝る狐太郎に満足し、2人に言いたい事をいい終えると自らの席へ向かう

後ろにいた2人もそれに習うように続く


とそのうちの1人の女性が立ち止まりこちらへ振り向き扇子で口元を隠す


「コタロー、なるべく早く帰ってきてくださいね。お爺様が寂しがりますから」

「誰が寂しがっとるか!!ミルワース、余計な話をしてないで席に早う着け」


と小声で話しているのにアムエルから鋭いツッコミが入るが華麗にスルーするミルワース

アムエルも恐るべき地獄耳だ

狐太郎も余計な事は口には出さない


『はい、そこまで留守にするつもりはありません』

「それを聞いて安心しました。クリスティア様メアリー様、コタローをよろしくお願いしますね」

「あ、いえこちらの方がお願いしたいくらいです」


慌てて頭を下げるクリスティアとメアリーに満足したようだ

それじゃあねとミルワースは優雅に腰を折るとアムエルの隣へ座る

それから続々と精霊達も広間へ到着し、席へ着く

狐太郎達に気づき何人かは声をかけに来ようとしたが、アムエルに後にしろと言われしぶしぶ席に着く


そうこうしているうちに広間には全員集合しほぼ全員が席に着く

未だ召使達によって料理が運び込まれている

総勢100人程が全員一斉に集う、ある意味壮観だろう

全員が一同に介するのもめったにある事ではない

過去にも数回しかないくらいだ

3人以外は全員精霊だ

100人の精霊にクリスティア達は完全に圧倒されている

そして100人分の料理と飲物いったいどれだけの量なのか想像つかない

とりあえずテーブルに乗る分の料理はすでに終わっている

あとは運び込まれるのを待つだけだ

しかしアグニス達はこれからまだ料理をするために席には着いていない

召使も同様だ


しばらくしてすべてのテーブルというテーブルに料理と飲み物が行き渡る

それを確認するとアムエルがやおらジョッキを持って立ち上がる





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