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無限転生の召喚士  作者: 阿澄龍之輔
56/115

一章 45 レフィルとヴァージル

あの人登場、なにやら因縁があるみたいです

「ようやく見つけましたよヴァージル」


声と共に青い影がローブの男とクリスティアの間に割り込んだ

その声音は穏やかながらも内に怒りが内包しているかの響きがある

まさかの登場に目を見開くローブの男


「あ--レフィル様・・!」

「クリスティア様、僕が奴を--ヴァージルを抑えておくから、倒れた仲間を・・」


レフィルはそう言うと両刃の長剣を手にヴァージルに駆け出した


「クリスティア様!!」


しばらくするとウェルキンとマキシムがこちらに掛けてきた


「ご無事ですか!」

「はい、みなさんも無事で」

「もちろんです」

「俺はギリギリでしたがね」


胸を張るウェルキンにマキシムは素直に答える


「時間がありません。ウェルキン、倒れているデュラインとロイザードを運んできて貰えますか?」

「わかりました」

「俺も行こう」


ウェルキンとマキシムが駆け出した後、遅れて狐太郎とミレリアもこちらに来た


「コタロー様、ミレリア様も」


狐太郎とミレリアは頷く


「クリスティア様大丈夫ですか?」

「はい」

「ローブの男は?」

「レフィル様が対応してくれてます。何か知ってる風な感じでしたが」


クリスティアはチラリとミレリアを見る

事情を知ってるなら説明して欲しいと言う眼差しにミレリアは小さく首を振る


「私とレフィルが探していた人物はたしかにアイツだが、レフィルの事情に関しては私からは話せない。直接レフィルから聞いてくれ」

「そうですか」

「まぁ、私もレフィルも目的はアイツをなんとかする事だ。見た所、王女様達もアイツを止めたい様子。できればアイツはレフィルに任せてくれないか?」


クリスティアはチラリと狐太郎を送る

狐太郎はその視線を受けて頷く


『構いません。2人の戦いを見る限り参戦できそうにないですから』

「すまない、助かる」


ミレリアが頭を下げた所でウェルキン達が戻ってきた


「コタロー、無事だったか」


デュラインとロイザードを背負ったウェルキンとマキシムがこちらに歩いてきた

背負われている2人は未だ意識は戻ってないようでグッタリしている


「1度ミルワース様の結界に行って治療しましょう」

「それがいい。俺達でもアレに入っていけそうにもないしな」


背負われている2人を見たクリスティアは、その怪我の酷さに悲しそうな表情をするが一瞬で引っ込め、1度下がる事を伝える

その言葉に賛同したマキシムはレフィルとローブの男、ヴァージルの戦いを見やる


「悔しいが同感だ」


言いながら結界のある場所へ下がる一行

途中気づいたグリッドがこちらに気づいてマキシムに手を貸す

一行はシャルロスとルティーナがいる檻まで下がったウェルキン達は、背負っていたデュラインとロイザードをゆっくり降ろして寝かせる


「クリスティア!無事か」

「はい、2人が守ってくれました」


クリスティアの返事に、シャルロスは寝かされた2人に視線をやると呟く


「あのローブの男は相当の手練のようだな」

「恐らくここの誰よりも強い。レフィル殿が来なければ危なかった」


ウェルキンが悔しそうに答えるが、シャルロスは視界に入った人物に目を奪われる


「--!!」


寝かされた2人に近づき、軽く診察しながらミレリアは呟く


「ふむ、ひどい状態だな。しかし私は治癒魔術を使えないぞ。ポーションもコタローに使ったので最後だ」

『クリスティア様、魔力は?』

「もうほとんど残ってません・・」

『では俺のポーションがまだ余ってるからそれを使おう』


狐太郎が言いながらポシェットからポーションを2本取り出すと蓋を開けて半分は振り掛け、残りは2人に飲ませる


『これでしばらくすれば目が覚めると思います』


そしてもう1本を取り出すとミレリアへ渡す


『先程のポーションと同じ、というわけではないですが』

「いいのか?見れば私の使ったポーションよりも効果が高そうだが」

『命の恩人へのお礼としては安いものです』

「そうか、ならありがたく戴こう」


狐太郎からポーションを受け取り魔法袋へ仕舞い込む

するとミレリアを見て考えるように黙っていたシャルロスは何かを思い出したように驚愕の顔になる


「--まさか!?」


小さく呟く


「しかし・・いや、面影はある・・」


尚もブツブツ呟くシャルロスだが考えがまとまらない感じだがそんなシャルロスを他所に話は続く


「しかしまさか精霊の結界とはな。たしかにここなら安全だろう。戦えないものはここに残るといい」


ふいにミレリアは口をひらく


『ミレリアさんは?』

「決まっている。ヴァージルを倒しに行くのだ」


「無茶だ」そう言おうとしたが、彼女の実力を目の当たりにしているウェルキン達は言葉がでない

それにこの中でもミレリアの実力は抜きん出ているだろう

力強く発言したミレリアは一同を見回した後歩きだそうとした


『俺も行きます!』

「コタロー(様)!?」

「正気か!?」


ウェルキン達から驚愕の声が上がる中、ミレリアだけは立ち止まり振り返る


「ふむ、では行こうか」


口元を僅かに笑みの形に形作りながらまるで狐太郎がそう言うのがわかっていたような口ぶりだった


『俺は・・もっと強くなりたい。--あの頃よりも--』


最後の言葉は小さな呟きだった為に誰にも聞かれる事はなかった


「行くぞ」

「わ、私も行きます!!」

「--クリスティア様!?」


突然のクリスティアの言葉にウェルキンはもちろん、ミレリアや狐太郎も目を見張る


「危険だぞ」

「そうです。何もクリスティア様が行かなくても・・」


ミレリアの言葉に続きウェルキンも危ないと説得する


「--私は・・アゼル兄様を止めなくてはなりません」


少しの逡巡の間がありクリスティアは口を開く


「止められるのは私だけで、今止めなければアゼル兄様は・・」


俯き悲しそうな表情をするクリスティアにウェルキンは折れた


「・・わかりました。そこまで決意が固いなら私からは何も言うことはありません。・・コタロー!」

『何?』

「--クリスティア様を任せるぞ」


ウェルキンの言葉に驚く狐太郎

てっきり自分も行くと言い出すと思っていたのだ


『わかった。命に代えても絶対に守るよ』

「ダメだ、お前も絶対生きて戻れ」

『え?』


てっきり命に代えても守るで、当たり前だと言葉が飛んでくるかと思った狐太郎は再び面食らう


「貴様にはまだ色々教えてもらわなければならない事があるからな」

『ウェルキン・・』

「後はクリスティア様との事を詳しく聞かせて貰わねばならん」

『え、それは・・』

「クリスティア様、私の代わりには不十分だと思いますが、コタローが守ってくれるのでご安心ください」


戸惑う狐太郎にウェルキンは素知らぬ顔でクリスティアに進言する


「ウェルキン、ありがとうございます。必ず生きて戻ります」

「はい、私はクリスティア様以外には使える気は無いので生きていてもらわねば困ります」

「ではウェルキンが職を失わないように生きねばなりませんね」


ウェルキンの言葉にクリスティアは幾分笑顔を見せる


「話は終わったか?」

「はい」

「では行こう。どうやらレフィルが苦戦しているようだ」

『え?』


唐突なミレリアの言葉に驚く


「あいつの事だから簡単には負けんだろうがな。行くぞ」


ミレリアの言葉に頷いた狐太郎とクリスティアは一緒に結界から出て行った


ウェルキン達はしばらくその姿を眺めていたが、見えなくなると地面にドサッと座り込む

隣のマキシムも同じだった

グリッドが慌てて駆け寄ってくるも大丈夫と制した


「本当に行かなくて良かったのか?」

「ん?ああ、今回ばかりは足でまといだ」


マキシムの言葉にウェルキンは自分の手を持ち上げて見せる

手は小刻みに震えていた


「精霊召喚の反動かわからんが、力が入らん。ここまで気力で来たが限界だ」

「ふっ、お前さんもか」

「も!?マキシムまさか」


ウェルキンの言葉にマキシムも手を上げて見せる


「この通り、お前さんと同じ状態だ」


マキシムの手も震えている


見れば足も力が入らないのだろう


「こればかりはポーションでは回復できなかった」

「まだまだ訓練が足りないな」

「まったくだ」


2人はニヤリと笑い合う


「後は任せるしかあるまい」

「そうだな」


2人は狐太郎が出ていった方に視線を送りながら、死ぬなよと小さく呟いた





「やはり間違いない」


唐突にシャルロスは声を上げる


「どうしたのですかシャルロス様」


みなが訝しげに見守る中、シャルロスはゆっくり口を開く


「あのミレリアと言う女性は王族だ」

「え!?」


シャルロスの言葉に一同は驚き固まる


「隣の大陸にあるロマレイア帝国の第二王女だったはずだ。幼少期だが1度見たことがある」

「そんな国の第二王女が何故・・」


その疑問には誰も答えるものがいなかった



「うっ・・」

「--!?デュライン?無事か」


2人の大声の会話で目覚めたのか、小さくうめき声を上げてデュラインが目を覚ました

横を見るとロイザードもゆっくり上半身を起こして頭を振っている


「ウェルキン!?マキシム殿!無事でしたか」

「ああ、なんとかな」

「傷が・・」


2人は自分の体を見回しながら傷が治っているのに驚く


「・・ここは?」

「精霊様の結界の中だ」


デュラインはまだ頭が回ってないのかウェルキンの言葉を聞いて沈黙が広がる


「--!?クリスティア様は?」

「アゼル様を止めにコタローとミレリア殿と行ったぞ」


ハッとして慌てたデュラインにウェルキンは落ち着いた声音で言う


「よく落ち着いていられるなウェルキン。いつもなら「他の奴らにクリスティア様の護衛なんか任せて置けるか」って何が何でも付いて行くのに」

「色々あるんだ。それに体が限界だ・・」


震える手を持ち上げてみせると2人は目を見張る


「後はコタローに任せる」

「そうですか」


デュラインは特に何も反論はせずに兄、アゼルの方へ向かったクリスティア達の方へ視線を向ける






クリスティア達がアゼルの元へ向かう途中


『--な、なんだあれ!?』


狐太郎が声を上げる

そこにはローブの男と戦っているレフィルがいた

しかしレフィルは押されているようで、所々怪我をしており血を流している

致命的な傷はないように見えるが長引けば不利は目に見えていた

そしてレフィルが押されている理由、狐太郎が声を上げたのもそれだった


「--魔族か。しかも2体、遠距離型」


ローブの男の他に魔族が離れて魔術を撃っている

恐らく1対1ならこうもレフィルが押される事はない

それほどまでにローブの男とレフィルの実力は拮抗していた

しかし時折魔術が飛んでくるのでそちらに神経を割かねばならないレフィルは不利な状況だった

魔術による攻撃はかわしているものの、それでローブの男への対処が遅れ小傷を増やしている


「すまないが私はここに残る」


ミレリアの言葉に狐太郎は頷く


『大丈夫です。レフィルさんをお願いします』


狐太郎はそう言うとクリスティアと共に先に進む


「かの地に眠る幾多の炎の精霊よ、我が魔力を喰いて紅蓮の炎となし敵を撃ち倒せ!」


魔術を唱えるとミレリアの前方に球状のマグマの玉が出現する

大きさはバレーボール程で食らえば骨まで溶かされそうな高温の熱を撒き散らしている

そのせいで蜃気楼がたつ程だった


ラーヴァバレット(溶岩弾)


発動させた[溶岩弾]はマグマの尾を引きながら凄まじい速さで悪魔に突っ込んでいく


ミレリアから近い側にいた悪魔は[溶岩弾]をまともに食らったが、奥側にいた一体はかわされた

食らった悪魔は肉が焦げる嫌な音をたてながら崩れるように地面に倒れ、悪魔の残骸は消滅するように消えていき後には地面に2m程のマグマ溜りが出来上がった


悪魔からの攻撃が止んだ事で、レフィルはヴァージルと距離を置くべく剣を横薙ぎに振るう

ヴァージルは後ろに飛んでかわすと、すぐに突撃態勢に入っていたがミレリアからの牽制でさらに後方へ飛んでかわした


「助かったよミレリア」


レフィルの傍に駆け寄ってきたミレリアに言葉だけで礼を言う


「これを飲め。コタローからの差し入れだ」


手渡されたポーションをチラリと見て軽く驚くも、すぐに蓋を開けて一気に飲み干した


「凄いポーションだね。彼のお手製かな」


見ればレフィルの小傷は塞がっており、体からは気力が溢れているように見える


「さぁな。効果が高いのは確かだ」

「落ち着いたら色々話を聞いてみたいね」

「それにはコイツをここで逃すわけにはいかないぞ」

「わかっているよ」


2人が話している間ヴァージルは動いていない、無論悪魔もだが

恐らくヴァージルの動きに合わせて連携するように命令されているのだろう


「悪魔は私が受け持つ。アイツはお前に任せる」


ミレリアの言葉にレフィルは驚き視線を移す


「僕でいいのかい?ミレリアの方が--」

「構わん。それに単に私では相性が悪いだけだ。ただ譲るからには負けは許さんぞ」

「わかっているよ」


ミレリアの喝にレフィルは薄く笑みを浮かべる


「作戦は決まったのか?」

「ああ、作戦って程でもないけどね」


ヴァージルの言葉にレフィルは答える


「くくく、どうせ貴様の事だ。難しい作戦なんか無意味だろう」

「さすがはヴァージル、よく知ってるね」


言葉の終わりと共に地を蹴り駆け出す


「ふん、昔から貴様はかわらないな」


駆け出し一気にトップスピードに乗ったレフィルの斬撃をするりとかわしながヴァージルは持っていた曲刀を半身の態勢のレフィルに袈裟斬りに振り下ろす

それを超人的な反射速度で紙一重で避けるとお返しとばかりに手に持つ長剣を首目掛けて横薙ぎに振るう


曲刀を振り下ろした状態の態勢では防御に間に合わない

しかしそれをレフィル並みの反射速度でもって長剣と首の間に曲刀を滑り込ませた


剣同士がぶつかり合う甲高い音が響き、2人はしばし睨み合う


「くっくっく、益々速さが上がってるじゃないかレフィル」

「ヴァージルこそまさか今の動きに付いてこれるとは思わなかったよ」


ギリギリと鍔迫り合いをしながら口を開く両者


「ヴァージル・・今ならまだ間に合う。投降して罪を償うんだ、そうすればまた--」

「お前はエルマノの事を忘れられるのか!」

「--っ!?」


ヴァージルの怒りの篭った言葉と眼差しにレフィルは言葉に詰まる


「ヴァージル・・お前はまだ・・」

「許せるわけがないだろう。奴らがエルマノした仕打ちを。お前はエルマノの事を忘れたのか!?」


怒りの形相で怒鳴るヴァージルはレフィルの長剣を荒々しく弾くと自身も後ろに飛び間合いを開け、着地と共にレフィルへ凄まじい勢いで駆け出す


「・・忘れるわけがないだろう。・・・仲間の、お前の--友の恋人の事を・・」


言葉半分は小さな呟きだった為にヴァージルには届かない


「ならば何故、奴らに加担している」


怒りに任せて真っ黒な曲刀をレフィルに叩きつけるように振り下ろす


「加担しているわけじゃない」


レフィルはそれを同じく下から差し出した大剣で受け止め弾く


「奴らの依頼で俺を殺しに来たのだろう。秘密を知った俺を・・」


弾かれたまま逆らわずに体もクルリと反転させ下からすくい上げるような斬撃を放つ


「それなら僕も同罪だ。僕はヴァージル、君を・・お前を止める為に来た」


伸び上がるようにして斬撃をかわし間合いを開ける

すぐにヴァージルが間合いを詰めに来るのを見越して態勢を整えるレフィル


「くっくっく、ならあの時の続きだな」

「ああ、あの時は邪魔が入ったからね」

「お前がどれくらい強くなったか・・」


ヴァージルは曲刀を持った手を構えずにダラリと下ろす


「試してやる!」


一気に駆け出した

レフィルとの間合いは一気にゼロになると、ヴァージルは下ろしていた曲刀を下からすくい上げるように放つ


「今度こそ・・」


ヴァージルから放たれた苛烈な斬撃を半身になって交わすと大剣を横凪に振るう

それを振り上げた曲刀を空気が裂ける音がするほどの速度で力いっぱい振り下ろし大剣を防ぐ


「相変わらずでたらめな動きだ」

「ふん、お前も強くなってるようだな」


2人は息を吐くように言葉を交わすと一気に息を吸い込みトップスピードに入った

もはや、剣戟は目に見えて追えるようなものではなく軌跡がわずかにわかる程度とぶつかり合う音が断続的に続くのが聞こえるくらいで素人はおろか、そこそこの実力者でも間に入るのは無理な次元になっている


再び剣が大きくぶつかりあい弾かれると2人は大きく間合いを開けた





【アルス教団】

この世界に広く分布する宗教の1つで、古の勇者アルスを崇める教団である

それゆえ信者数も他の宗教団体よりも群を抜いて多い

世界平和と平等を、をスローガンに掲げる宗教団体で門徒は広く開かれていて特に孤児や身寄りがない人達をなくそうと、孤児院等を作り無償で提供したりしている











また窮地に現れたヒーロー

普通は主人公じゃないの?と言う意見もあろうかと思いますが、ご容赦ください


少しずつネタばらし的な感じになってきましたね

それぞれの人物背景、頭から煙を出しながら考えております


そして思ったより長くなりそうです(´・ω・`)

レフィルやミレリアがローブの男を追う理由、因縁

過去に何があったのか

余裕があれば描きたいと思ってます・・余裕があれば・・


いつもお読み頂きありがとうございますm(_ _)m

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