一章 39 マキシムvsグゼル①
少し短いかなと思いますが、お許しくださいm(_ _)m
「ちっ」
マキシムは苛立っていた
「どうした?まさかそれで終わりではあるまいな」
グゼルの挑発するような発言にマキシムはさらにイライラする
そしてそれを吐き出すかのように踏み出し一気に駆ける
「そうだ!かかってこい」
「うるせぇよ」
一息にグゼルとの距離をゼロにするも、グゼルは迎撃体勢すらとらずに棒立ちだ
それを見るとマキシムは顔を歪める
もはや戦闘を楽しんでるとしか思えない戦闘狂のグゼルに向かって魔剣サブルムを苛立ち憤りと共に肩に担いだ状態から力任せに袈裟斬りに斜めに振り下ろすマキシム
それをかわすでもなく防御体勢を取るでもなく、右腕を無造作に剣の軌道上に置く
剣と腕がかち合いガキィンと言う有り得ない金属音を響かせマキシムの剣が弾かれる
「ちっ」
はばかること無く舌打ちする
マキシムの苛立つ原因はこれであった
焦りと言った方が正しいか、先程からマキシムが繰り出す剣戟は全て弾かれている
グゼルの筋肉の壁に
剣を弾かれたマキシムは反動を利用して逆らわずに剣の軌道そのままに体もコマのように一回転させ、今度は右斜め下からの逆袈裟斬りに切り替える
大剣並みの巨大な剣の為、地面を剣がガリガリ削る音が聞こえるがすぐに空気を切り裂く音に変わる
下からすくい上げるような一撃に、まさか地面を削ってまで攻撃をしてくるとは思わなかったのか、虚をつかれた感じのグゼルは防御が間に合わず慌てて間合いをとるべく下がろうとするが、何かに阻害され下がれなかった
瞬時に判断したグゼルは上半身を後ろに反らすが、間合いから完全に逃れられずにマキシムの一撃を受ける
胸を斜めに斬撃が走り血がこぼれ落ちる
が、傷は深くはない
上半身を反らされた分剣先を多少掠めるくらいにしか届かなかった
追撃をしようとマキシムは剣を振るおうとするがグゼルが反撃態勢を取り、さらに動き出したのを見てマキシムは自ら追撃をやめて間合いをあけた
グゼルは少し目を見開き驚いた様子を見せ、表情はすぐに笑みの形になる
そして斬られた箇所に目を向け、斬られた箇所を指でなぞる
「かわしたつもりが、剣が伸びるとはな。今の攻撃はなかなか良かったぞ」
「へっ、そりゃお褒めに預かり光栄だ」
「まさか人間が私に一撃を加えるとは。私が人間に傷をつけたのは久しぶりだ。やはり貴様は私が今まで葬ってきた人間とは違うな」
素直に賞賛の声をかけ、ニヤリと笑う
グゼルは完全に剣の間合いを見切っていたのだがそんな方法があるとは思わなかっただろう
マキシムが地面を削る動作、あれは単に剣が大きすぎたとかではなく、地面の砂を剣先に集め刀身を長くするものだった
しかも剣先がギリギリまで見えないのでは間合いもわからない
グゼルは普通のマキシムの剣の間合いでかわしにかかったので一撃を受けたのだ
今の攻防は、魔剣の特性を把握しうまく使ったマキシムだったから一撃を与えれたのだろう
しかしマキシムにようやく与えた一撃なのだが喜びの表情はなく、逆に苦々しい表情をしている
「筋肉の化物め」
斬られた箇所から血が滴っていた場所が、筋肉の動きだけで止血したように血が止まる
さらに筋肉がギュッと収縮し傷口がふさがってるのを見てマキシムの発言である
「まさか地面を削りながらくるとは思わなんだ。面白い!ひょっとして貴様が持ってるのは魔剣か?」
「ああ、魔剣サブルムだ」
「ほう、砂を操る魔剣か。先程動きを阻害したのもそれか」
「ご名答だ」
マキシムの素直な答えにグゼルは一瞬言葉に詰まる
まさかバカ正直に答えるとは思ってなかったようだ
しかしそれも笑みに変わる
「否定するものとばかり思っていたが潔いな」
「種が証された所で関係ない。それと防げるかは別問題だからな」
「ふはははは。その通り、私が勝つか貴様がが死ぬか。2つに1つ。今度はこちらから行くぞ」
死ぬ以外ないのかと思わずツッコミを入れたくなるマキシムだが、そんな余裕はなかった
何故ならグゼルが一瞬にして間合いを詰めてきていたからだ
マキシムは動作が遅れたが魔術の詠唱には辛うじて間に合った
「ラムルブルワーク」
2人の間に砂で固められた壁が地面からせり出してくる
大きさは3×3mとかなり大きな壁で厚さは1.5mはあろうか、砂とは言え防壁と言うからには強度はかなりありそうだ
「ふんっ!」
しかしマキシムが展開した砂の防御壁に対して拳を打ち込むグゼル
流石に一撃では破壊不可能だったようで、軽く目を見張っていたが、連続で拳を打ち付けていくと次第にヒビが入って来ているのがみえる
その様子にマキシムは再び舌打ちをしたくなるが、グッとこらえる
これで簡単に足止めできるとは思っていないが、時間は稼げた
グゼルが防壁を破壊し、ガラガラ崩れる中から再びマキシムに接近しようと走り出すが、その間にマキシムは迎撃態勢を整える事ができた
防壁を突破したグゼルはそのままさらに踏み込み今度は左拳を撃ち込む
対しマキシムは剣の腹で受けようと剣をかざそうとするが悪寒が背中を駆け抜ける
咄嗟に剣の腹ではなく刃を向けて防ぐ
ガキィンと言う金属音と凄まじい衝撃に顔を顰めるマキシム
「(くそっ、なんて衝撃だ。剣の腹で受けてたら剣が破壊されてたかもしれん・・)」
「ふむ、よもや剣の刃で受けるとはな。腹で受けてれば破壊できたものを」
ギリギリと鍔迫り合い?(剣と拳だが)をしながら内心を見透かしたような発言にマキシムは驚愕する
「初めから剣破壊が目的か」
「脅威にはなり得ぬとは言え、やっかいな代物には違いないのでな」
「そう簡単に破壊されてたまるか・・よっ!」
マキシムは一時は拮抗した鍔迫り合いから徐々に押されだすと、力では勝てないと即座に切り替え力を抜く
力を入れていたグゼルはそのまま押し切ろうとさらに前に出て、右拳を繰り出してきた
それをマキシムはしゃがんでかわすとグゼルはさらに左拳を下からアッパーの要領で繰り出す
マキシムは咄嗟にしゃがんだ状態からアッパーをかわす勢いで伸び上がり、後方に反転して間合いを開ける
しかしグゼルはすぐに開いた間合いを詰めるべくマキシムに向かう
「ラムルシュルフ」
それを見たマキシムは着地してすぐに魔術を唱え、向かい来るグゼルを拘束にかかる
地面から砂が盛り上がりグゼルの両足を拘束にかかる
ちなみに先程グゼルの動きを止めたのも、先の戦いでの悪魔達の行動を阻害したのもこの魔術である
「ふん、ぬるいわ!」
一瞬で両足を絡めとった砂を力で強引に引き抜き無力化し、そのまま勢いに乗せて肉薄する
「ちっ、これならどうだ!シャイェンハルバ」
グゼルに向けて地面から円錐の錐状に固まった砂が幾つも飛び出してくる
否、岩と言ってもいいくらいの強度も持っているかもしれない
これならおそらくグゼルもくらえば無傷では済まないだろう
「ほう、だが・・」
地面から迫り来る錐をグゼルは速度を落とさず、危なげなく無数の[砂岩の槍]をかわしながら拳で破壊していく
マキシムもそう簡単にはダメージを与えられるとは思ってなかったようで、グゼルが拳を振るう度に破壊される[砂岩の槍]をただ黙って見ていたわけではなかった
[砂岩の槍]は地上から3mくらいまで伸びる
それをグゼルは難なく破壊しているわけだが、その度に崩れた[砂岩の槍]が土砂の如く降り注ぎ砂塵が舞い上がり辺りを覆う
当然のようにグゼルとマキシムの視界も悪くなる
しかし不利なのはグゼルのみ
迎え撃つマキシムは動かないで済むので視界が悪くともあまり関係ない
向かってくるグゼルは砂岩の槍が連なる中からやってくるのだから
そうこうしているとグゼルが砂塵の中からこちらに飛び出してきた
「ラムルシュルフ」
マキシムは慌てずに次なる魔術を発動させた
地面にある砂が隆起してグゼルを再び捉えようと動き出す
「愚かな・・・効かない技をまた使うとは」
グゼルはマキシムに向かって跳躍して拘束しようとする砂をかわす
[砂上の戒め]は精々地面から50cm、膝下までくらいしか隆起しない拘束専用の魔術で、魔力消費量も少なく使い勝手が良いのでマキシムは良く使う
グゼルは効かないのはわかっているが、一瞬拘束されるため隙ができるのを嫌って飛んでかわしたのだ
「シャイェンオヴィス」
再びマキシムは魔術を唱え、空中のグゼルに向かって[砂岩の砲弾]を生み出した
巨大な、それこそグゼルでも抱えきれない程の大きさの岩がマキシムから高速で打ち出された
いくら魔族と言えども空中では用意に動けない
しかし
「ドゥンケルハルト」
グゼルが言葉を発した瞬間、両腕がさらに1回り筋肉で大きくなる
そしてパワーアップしたであろう腕力を持って向かい来る[砂岩の砲弾]に拳を打ち出した
拳と岩が高速でぶつかり合い爆発に似た音が辺りに響き、砂塵から勝負に勝ったグゼルが躍り出てくる
「(あれを破壊するのかよ)」
マキシムは驚愕の表情で再び舌打ちしたくなるも、グゼルが間近に迫っているので次の魔術を唱える
「シャイェンハルバ」
「効かんと言ってるのがわからんのか!」
破られた魔術を2度使われたのに頭にきたのか、グゼルは自分に向かってくる[砂岩の槍]に向けて手を向ける
「ドゥンケルハディール」
「ウオォォォ」とグゼルが咆哮を上げる
マキシムはその馬鹿でかい声に耳を塞ぎたくなる
そのグゼルの咆哮により[砂岩の槍]はグゼルを串刺しにしようと近かった物からビシビシとひび割れてガラガラと崩れていく
音波攻撃的なものなのだろうか、[砂岩の槍]は小さな粒にまでなっていく
そしてそのままグゼルはマキシムに襲いかかる
もはや退避する余裕も、迎撃しようにもマキシムは先程の[闇の咆哮]で三半規管がやられたのかふらつき、棒立ち状態では今から行動しようにも遅すぎた
しかしマキシムはニッと口角をつり上げ笑みを作り
「シャイェンハウラ」
小さく一言発する
すると先程破壊されたばかりの[砂岩の槍]と[砂岩の砲弾]の残骸がマキシムの言葉で動き出す
「なに!?」
グゼルは虚をつかれ対応できなかった
残骸はグゼルの周りに集まりグゼルの全身を瞬時に拘束した
拘束と言うか首から下を分厚い岩で固められた状態だ
マキシムに到達するはずのグゼルの体が[砂岩の檻]の重さも加わり、重力に引かれてマキシムに到達する前に地面に落下する
グゼルは[砂岩の檻]を破壊しようと試みるがどうやら硬度はそれなりにあるようで破壊できないようだ
そのまま自由落下で地面にドスンと落ちたグゼルは自分の重さ+[砂岩の檻]の重さで膝辺りまで地面に刺さる感じになる
それを見ながら[闇の咆哮]から立ち直ったマキシムはゆっくり歩み寄る
グゼルは尚も[砂岩の檻]を破壊しようともがくが
ビクともしない
そしてマキシムは魔剣サブルムを肩に担ぎ直して上段から一気にグゼルの頭めがけて振り下ろした
マキシムは主のフリッグ伯爵やクリスティアに対してはしっかりと敬語を使い敬いますが、部下や仲間には砕けすぎた口調になります
なので部下からも上下関係よりも仲間意識が強く慕われています
公の場とかではさすがに畏まった話し方になりますけど
年末に向け多忙が極まっています
ただでさえ遅いのに・・・
遅れないように精進します
いつもお読みいただきありがとうございます




