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無限転生の召喚士  作者: 阿澄龍之輔
100/115

二章 30 敵の思惑

相変わらず更新遅くてすいませんm(__)m

今回は狐太郎の視点です



─狐太郎視点─



黒装束、所謂忍と言う職業

なつかしい

真っ黒な衣装に真っ黒な頭巾、顔も目以外は黒い布で覆われている


昔はよく忍者ごっこをして遊んだなー

背中には刀という日本刀を背負い、飛び道具は手裏剣とクナイ


まぁ目の前の忍は日本刀は持ってはいない


両手に持っているのは怪しい液体が塗られているクナイ


絶対毒だよなあれ


最初に師匠を襲った忍以外に四人、かな


他にもいると思うけど


魔族のルシーリアと朱姫が一人ずつ


でレフィルさんとこに一人


正直手強すぎる相手なんだけど


レフィルさん達でさえ二人がかり?だよ


それより劣る俺が一人で勝てるのか


て思っていても仕方ない


すでにそれぞれ結界で隔離されてる


師匠以外は各自結界を張ってもらっている

かく言う俺も大樹の────に張ってもらった

ありがとう────


さて、これで逃げ場はないので倒すしかない


朱姫のお陰で最大魔力量は上がっているし、師匠から魔力を身体能力へ変換するブレスレットももらった

あと新しい刀も


刀は叢時雨(むらしぐれ)と言うらしい

朱姫が持つ紅時雨(べにしぐれ)とは姉妹刀なんだとか


絶対何か特殊能力が付与されてるに決まってる

なんせ師匠が作った武器だから


敵の忍は俺と対峙したまま動かない

いつでも倒せると余裕なのか


そう思っていたら、忍は喋った

声質からして若くはない感じだけど、その言葉の内容が俺の勘に触った


「子供を殺す趣味はない…がこれも任務、苦しまぬように一撃で眠らせてやる」

『誰が子供──』


反射的に言い返しちゃったけど、途中で息を飲んだ

何故なら目の前から敵がいなくなったからだ

流石は忍移動はお手の物だね


どこだ、と辺りを探そうとしたら背筋がゾクリとして本能に従い前方に身を投げ出した

その瞬間耳の近くでヒュンと風切り音が聞こえた


『っつ…』


前方へ転がりながら先程自分がいた場所を見ると敵がクナイを振るっていた

相手はかわされた事に目を見開くもすぐに表情を改めた


「よくかわした、と言いたいがクナイが掠っただけでも決定打になる。終わりだ」


そう、クナイは完全には交わしきれずに掠っていた

首裏に手を当てると微量ながら血が出ていた


と、認識した瞬間、視界が突然グラリと揺らいだ

立っていられなくなりガクッと膝を付く


「我が毒は並の毒ではない。即効性、という訳では無いが大型の魔獣ですらものの三分とかからずあの世に行く。子供なら一分とかかるまい」


敵は語りかけるように話しながら、こちらに向かってくる

というか十分即効性あるじゃないかよ

俺は意識を失わないように気を強く持ちながら、ポシェットに手を突っ込む


「無駄な足掻きを…避けるから苦しむのだ。もう大人しくしているがいい。子供を痛めつけるのは趣味ではない」


再び出た子供と言う単語にグッと怒りの握りこぶしを作る

そして目的の物をポシェットから取り出した


「……」


俺は取り出した一口サイズの液体が入った小瓶の蓋を取ると一気に煽り、中の液体を飲む


「無駄だと言うのが…」

『誰が……』

「?」

『誰が、子供だぁぁぁぁ!!』


空になった小瓶を投げ捨てると、片膝を付いたままの姿勢から相手に向かって駆け出す


「なっ!?」


敵は俺が動き出した事に驚いて対処にわずかな遅れが生じる

間合いを詰めていたのもこちらに有利に働いた


鞘に収まったままの刀の柄を握りしめたまま

こちらの間合いまで接近する

魔力を刀に流し込むと体が加速した


『一の太刀、影炎(かげほむら)


黒い炎が刀から迸り、軌跡を生む


─ギィィィィィィィン─


『なっ…!?』


今度は俺が驚いた

まさか防がれるとは思ってもみなかったから

完全に隙を付いたと思ったのに


「子供なのに速さとこの膂力、侮れんな。解毒もそうだが、いささか驚いたぞ」


クナイで間一髪弾いた敵は言葉とは裏腹に落ち着いていた


「だが、私には届かない」


再び敵の姿が消える

今度はしっかり相手を見ていたのだが、消える瞬間まで微動だにしてなかった

何かカラクリがあるのだろうか…


どこだ…左右と後ろも確認するがいない

なら上か!と空を仰ぐも気配すらない


しかし俺は微弱な振動を感じとった

下か!?と判断した時にはすでに地面からクナイではなく短刀のような物が突き出してきていた


『うわっ!──つっ…』


反応してかわすもギリギリ間に合わずに浅く腿あたりを斬られる

再び毒が体内に入ってきたが、薬のお陰で体調には変化はない


「毒は……もう効かんか。優秀な毒消しだったようだな」


褒めている、のだろうが声が棒読みでまったく嬉しくない

が、俺が飲んだのはただの毒消しではない

通常の毒消しに世界樹の葉を特殊ブレンドした物だ

これを一口でも飲めば猛毒だろうが麻痺だろうがすぐに打ち消すことができる

そしてその効果は丸一日


もちろん師匠オリジナルで非売品だ

俺は師匠から調合レシピを超スパルタで教えられて作れるようになってるけど


ちなみにだが、ここにある大樹の葉を使えば効能は桁違いに跳ね上がる

かつてクリスティア王女に渡したユグドラシル薬も世界樹の葉からここの大樹の葉に変えるだけで激変する


まぁここの大樹は師匠と師匠の仲間の頼みしか聞かない(・・・・)からね


『もうそのクナイの毒は怖くない』



「毒殺は仕事の効率化を早める為のもの。他にも手はある。しかし一度ならず二度までも私の刃から生き抜いたのには敬意を表する。名を聞こう」

『人に尋ねる時は自分から名乗るもんでしょ?』

「…これは失礼した。私の名はギドだ」

『俺は狐太郎だ』

「コタロー…覚えたぞ」


律儀な忍──ギドは俺の名前を何度か呟くと再び殺気を放つ


「手加減はなしだ。本気で行かせてもらうぞ」

『それはこっちも同じだよ』


俺はバレないようにブレスレットに魔力を少しずつ流し込んでいく

ギドは右手に持つクナイを仕舞うと刀?をどこからか取り出す

どこに隠し持っていたんだ?

魔法袋は見えない


取り出したのは日本刀に比べて反りが少ないので忍刀(しのびがたな)、所謂忍者刀(にんじゃとう)というものだろう

左手にはそのままクナイを持っている


「行くぞ」


小さく呟くとこちらに駆けてくるギド

今度は瞬間移動のように消えないで向かってくる

それでも十分速いのだが、目では追える範囲だ


そして俺はギドが間合いに入る手前でブレスレットに魔力を流すのをやめる

まだ戦いながら片手間に魔力を流すのは無理だ

相手が格上なら尚更


だけどこれで少しは身体能力が上がっているはずだ

ギドは間合いに入る寸前にクナイを投げてきた


俺は慌てずに最小限の動き、体を横に少しずらしクナイをかわす

刀で弾くと色々面倒だ


ギドは俺がかわした事に目を細めるもかわらず突っ込んで来て忍刀を振るう


─キィン─


忍刀と刀が甲高い音を響かせる


『…くっ』

「よく防いだ。やはり侮れんな」


一瞬の鍔迫り合いの後バッとすぐに数歩下がり間合いを開けたギドは、間髪入れずに踏み込んで再び忍刀を振るう

くそっ、速い…さっきは運が良かっただけだ

必死にギドの攻撃を凌いでいると、感情の篭ってない声でギドが呟いた


「忍びは奇襲や暗殺だけだと思ったか?たしかに事実でもあるが正解ではない」

『正攻法に長けた者もいるっていうの?』

「数は少ないがな…そして残念ながら俺はその数か少ない者の一人だ」


忍刀を横凪に振るった一撃は重く、なんとか防いだ俺だが、手が痺れる


『──がはっ!』


その隙を狙われ、ギドは俺に蹴りを放ち見事に鳩尾にヒットし吹っ飛ばされる

着地し左手と足で地面を抑え止まると俺はポシェットに手を突っ込み魔力回復薬を取り出すと一気に飲む


「厄介な…」

『簡単にやられてたまるか』


間合いが離れたのをいい事に再びそっとブレスレットに魔力を通わせる


「まだ何か隠してそうだな」


ギドは疑惑の眼差しを俺に向けると間合いを詰めに来る

俺はゆっくり下がりながら少しずつ魔力をブレスレットに通わせる


するとギドの姿が突然消えた


『──!?』


目を見張る俺を嘲笑うかのように後ろに出現するギド


「もらったぞ!」

『しまっ──』


振り返れば振り下ろされる忍刀が目に入る

俺は死に直面し無意識にブレスレットに魔力を一気に流し込んだ


瞬間ブレスレットから光がほどばしり魔力の塊が俺の体内から外へ衝撃波として放出された


「───!?」


俺に忍刀が当たる数センチで魔力の衝撃波を食らったギドは予想だにしてなかった一撃に吹き飛び、受け身も取れずに地面を転がる


「ば、バカな…何が起こったのだ」


倒れた体勢から首だけを動かしこっちを見るギド

俺は…その場で地面に倒れていた

俺自身何が起こったのかまったくわからない


気づいたら地面に倒れていた

ギドとは違う点はダメージがない所だろう


俺はゆっくりと立ち上がりギドを見つめる

ギドは震える体を叱咤しながら立ち上がるが、ダメージは受けているようだった


「完全に油断していた…あんな奥の手があるとは…」


もうわかってるかもしれないが、奥の手ではない

一気に膨大な魔力を流したのでブレスレットが耐えきれず魔力を外に放出しただけだ


「だが…こちらも負けるわけにはいかん」


懐からパチンコ玉ほどの黒い玉を取り出すとパクッと口に含み咀嚼した

一瞬師匠が言っていた魔族化する玉かと思ったけど違うみたいだ

あれは…


『兵糧丸…?』

「…ほぅ?これを知っているとは…しかしただの兵糧丸ではないがな」


兵糧丸の効果はすぐに現れた

おぼつかなかったギドの足取りもしっかりしたものになり、辛そうに猫背気味だった体は今はまっすぐしている


「流石は百薬丸…」

『百薬丸?』


聞き慣れない言葉に俺は疑問を口にしていた


「そうだ。兵糧丸とは違い、効果はすぐに現れる。先程コタローが飲んだポーションとか言うのと同じようなものだ」


かさばらないようにした結果、兵糧丸を改良したわけか

たしかにパチンコ玉くらいの大きさなら数個程度懐に隠し持っていてもわからないな


『ポーションと違って割れる心配もない。画期的だな』

「先人の知恵だ。我々の部隊を作った人間が百薬丸を作ったそうだ」


ギドの話を聞いておそらく転生者だろうと思った

師匠曰く過去からずっと転生召還は行われており、それこそ把握できない程だそうだ

ならば師匠の目の届かない所でこういう知識に詳しい人が召還されてきてもおかしくない


『ちなみにその人は?』

「とっくに亡くなっている。名前はイサカモトチカと言う名だそうだ」


井坂元親?かな

名前からして戦国時代辺りの人だろうか


「さて、お喋りはここまでだ…」


ギドは忍刀をこちらに向けて構えるとその姿が再び消えた

俺は会話をしてる間ずっとブレスレットに魔力を流し込んでいたが、意識はずっとある場所にあった

そしてギドの気配がそこに生まれた……


─ギィィィン─


大きく見開いたギドの目に映るのは同じくこちらを見据える俺の顔だ


『残念』


俺は短く呟くとギドの忍刀を弾き叢時雨を腰だめに構える


『一の太刀、影炎(かげほむら)


今日二度目の影炎(かげほむら)だけど先程とは何かが違う事に俺は気づいた

気づいたけどそれが何かはわからない


叢時雨の刀身に黒がまとわりつくと爆発的な膂力を生み俺の体が急激に引っ張られ筋肉が悲鳴をあげ、視界が全てを置き去りにする


「───」


ギドが何かを言ったが聞こえなかった

武器が噛み合う音も、肉を切り裂く感触も、全てがなくなる

攻撃が当たったのかも、防がれたのかもわからない


一瞬という時間も遠く感じる程の刹那に俺はもちろん体が付いていかずに地面に転がった

いや、転がっていた

通り過ぎざま、何も無い地面に足を取られて何十回点も転がった


だけど意地でギドに攻撃を当てるまでは立っていられた、と思う

何しろ視界以外を奪われ、その視界も目まぐるしく変わり何が何だかわからない


そして音が戻ってきた

最初に聞こえた音は何かが複数落ちる音と、ギドの悲鳴だった


「ぐわぁぁぁぁ!」

『!?ーー痛っ…』


悲鳴を聞きとっさに立ち上がろうとするが、俺の体も悲鳴を上げ立ち上がるのが一苦労だった

反射的にポシェットから一口サイズのポーションを取り出し飲み干す


そして改めてギドに視線を送って目を見張った

ギドが片手を抑えて蹲っている

左手は健在だったが、右側は肘から先が無くなっていた

その右肘から先は地面に落ちていた

さらに腹部は大きく裂かれており大量にボタボタと血がこぼれ落ちている


どう見ても致命傷だ


「……くっ…はぁ…はぁ……」


ギドは荒く息をつきながら怒りの形相を俺に向ける


「き、貴様は…何者だ……あん…なのは……人が出せる動き…ではない……」


ギドの表情は苦痛の表情だが、その奥に畏怖の感情が見え隠れしている

それに俺は気づきながらも極力平静を装った


『俺は狐太郎だ。それ以上でもそれ以下でもない』

「……」


俺の答えにギドの表情が動いたが何を言ったのか聞き取れなかった

それどころかギドの顔色は悪くなるばかりだ

さすがに百薬丸でもあの傷は治せないだろう


だが、ギドは左手を懐へ入れると百薬丸より少し大きいピンポン玉くらいの黒い玉を取り出した


「この…ままでは……俺は…死ぬ…真剣勝…負で…敗れたのだから…悔いは……ない…」


次第に声も小さくなる中で諦めの言葉を吐くがその目はまだ生きていた


「しかし…このまま犬死はしない……せめてコタロー…お前も一緒に道連れに…」


ギドはそう言いながら手の中にある黒い玉を砕いた…




いつもお読みいただきありがとうございます


明日も同じ時間に更新いたします

ちょっと更新の仕方を色々やってみます

もしご意見ありましたら…


そして今話で100話でした

ようやくです…


下手くそですが、よろしくお願いします

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