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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

自称コメディー童話

桃太郎?いいえ、多分別の何かです。

作者: ルスト

タイトル通り桃太郎とは似ても似つきません。というか自称コメディーなので当然滅茶苦茶です。

そして自称コメディーには常識など一切無い!それでもこの話を読むというなら私は止めません。

むかしむかし、ある所にお爺さんとお婆さんが住んでいました。ある日、お爺さんは山に住み着いている熊の駆除のために山に火を放つため、お婆さんは川へ自作の危険な科学薬品をぶちまけるためにそれぞれ出かけていきました。


お婆さんが川に自作の危険な科学薬品をぶちまけて川に住んでいる生物を一匹残らず全滅させた丁度その時、川の上流からどんぶらこどんぶらこと大きな桃が流れてきました。


お婆さんは薬を川にぶちまけるという大事な目的を果たしたのでその桃が流されていくのをただ見ているだけでしたが、下流に流れていくはずの桃から突如手と足が生え、桃は自分の意思で陸地に上がってきました。


あまりに不気味な桃だったのでお婆さんは自作の科学薬品をぶつけてこの桃を退治しようかと思っていましたが、そんなお婆さんを無視するかのように桃はひとりでに割れました。桃から出てきたのは、仮面をつけ、手にはチェーンソーを握った青年?でした。


お婆さんはこの危険人物を鬼退治の駒として使おうと考え、彼?を自宅に連れて行くことにしました。途中何度もチェーンソーの刃がお婆さんの首を狙いましたが、お婆さんは通販で買ってきた本に載っていた攻撃回避テクニックを駆使してチェーンソーの刃をひたすらかわし続けていました。そのため、チェーンソーの刃がお婆さんに当たることはありませんでした。


家についたお婆さん。お爺さんは先に山への放火を済ませて家に帰って来ていました。

「おお、婆さん!帰ってきよったか!窓の外を見るがいい!あれこそ、今日の戦いの成果じゃ!」

自慢げに話すお爺さんに促されてお婆さんが窓の外を見ると、遠くの山のあちこちから火の手が上がっています。お爺さんが熊の駆除と称して山に放火して山火事を起こしてしまったせいです。


そんなお爺さんにお婆さんが今日拾った手駒の事を話します。

「ひゃひゃひゃ!爺さんや!あの仮面を見るがいい!あれこそ、鬼退治のために神より遣わされた最強の駒じゃ!」

お婆さんの指さす先をお爺さんが見ると、お婆さんが連れて来たチェーンソーを持った仮面の人が家を破壊しようと暴れています。しかし、この家はチェーンソーごときでは絶対に壊せない頑丈な建物なので、傷一つつきません。


「ほう!あれは強そうな桃太郎じゃな!婆さん!よくやったぞ!あれさえおれば、鬼ごとき恐れるに足らぬな!」

お爺さんも桃太郎の暴れっぷりに感心しています。桃太郎は自慢のチェーンソーで手当たり次第にお爺さんやお婆さんの家を攻撃していますが、お爺さんやお婆さんにはそれはむしろ元気の象徴だと感じられたようです。


「そうじゃろう爺さん!あの桃太郎で、鬼ごとき瞬殺じゃ!ひゃひゃひゃひゃひゃ!」

「婆さん、あれに渡すきび団子が欲しくなるのう」

「爺さん、あたしに任せな!きび団子くらい、一日で作ってやるよ!」

お婆さんはそう言うと、厨房に姿を消しました。厨房から車の排気ガスよりも危険そうな真っ黒い煙が出ていたりアンモニアや硫黄といった薬品の強烈な刺激臭がしていますが、お爺さんも桃太郎も平気です。お爺さんが先に寝てしまったので桃太郎がお爺さん目がけてチェーンソーを振るいますが、お爺さんは眠ってしまうと無敵です。桃太郎のチェーンソーの刃を白刃取りであっさりと止めてしまいました。


翌日。桃太郎は初めから大きいのでわざわざ育てる必要もないのでお爺さんとお婆さんは非常に楽です。お婆さんは早速桃太郎に昨日作ったきび団子を渡しました。お婆さん特性団子は紫や黄色の混じりあった不気味な色で、更にもう形容のしようが無い強烈な刺激臭を放っていますが、気にしてはいけません。

「桃太郎や。お主はこれから鬼退治に行く。道中困ったことがあったらとりあえずチェーンソーで真っ二つにするかきび団子を食わせるのじゃ。分かったかの?」

お婆さんの声に対する桃太郎の返事はお婆さんの頭を狙ったチェーンソーの一撃です。しかし、これもあっさりとかわされます。


「さあ、行くのじゃ桃太郎!鬼どもを一人残らず討ち果たせい!」

お爺さんの叫びに見送られながら桃太郎は放たれました。その手にはチェーンソー、顔には仮面、衣服は桃太郎の着物、そして腰にはきび団子です。桃太郎の旅が始まりました。


桃太郎は鬼の本拠地を目指して真っ直ぐ進みます。その先に谷があろうと、火山の火口があろうとお構いなしです。マグマに落ちればマグマの中を泳ぎ、谷に落ちれば谷を垂直に駆け上り、目的地である鬼が島を目指します。

「ドボーン!」

桃太郎は断崖絶壁から海に落ちてしまいましたが、海底を歩いて目的地を目指します。桃太郎は強い子なので、道にある障害物なんか気にも留めません。真っ直ぐ突き進んで突破します。


「ワンワン!ワンワン!」

陸地に上がり、旅を続ける桃太郎の前に一匹の犬が立ちふさがりました。どうやらきび団子を欲しがっているようです。桃太郎は何も言わずきび団子を与えました。すると、きび団子を食べた犬は突然地面を転がりまわり、泡を吹きながら体を震わせ、その体を進化させ始めました。頭が3つに増え、足腰は強靭な物に変わっていきます。その体格は桃太郎と同じくらいに成長しました。


「グルルルル……」

生まれ変わった犬は桃太郎に頭を下げ、桃太郎の部下となりました。優秀な部下が増え、桃太郎は仮面の下で笑みを浮かべているでしょう。


桃太郎と犬の旅は続きます。山を越えることになった桃太郎と犬が崖を垂直に上っていると、桃太郎の前に崖の出っ張りに座っているサルが立ちふさがりました。どうやら、このサルもきび団子を要求しているようです。優しい桃太郎はもちろんきび団子を与えます。サルが大喜びできび団子を食べると、その直後にサルは顔を青白くさせ、首元を掻き毟りながら泡を吹いて転がりまわってそのまま崖から転落していきました。落ちていくサルは白目をむいて口を桃太郎の方に向けていたので、桃太郎は更に追加のきび団子をサルの口の中に投げ入れてあげました。


サルがどうなったのかは興味が無い桃太郎。崖を上り終えるとさっさと山を下りてしまいました。ちょうど反対側の崖の下で何かがおぞましい雄たけびをあげていますが、桃太郎と犬はそれがサルのコミュニケーションの鳴き声と判断し、そのまま先に進みます。


桃太郎の旅は続きます。鬼をその手で倒すまで。途中桃太郎は立ち寄った村で腹を空かせた鬼の子供たちにきび団子を与えました。団子を食べた鬼の子供たちはきび団子をもらったお礼にサル同様に顔を青白くさせて地面を激しく転がりまわり、体を震わせながら泡を吹きだす素晴らしい踊りを桃太郎に披露してくれました。桃太郎も犬もご満悦です。


そんな桃太郎の旅の途中、桃太郎が以前きび団子を与えたサルが現れました。サルの顔は骨のようになっており、腕が8本、足4本のたくましい姿へと成長していました。このサルも桃太郎に服従することを誓ったため、桃太郎はサルを仲間に入れてあげました。サルと犬が仲間になり、桃太郎が鬼と戦う準備は着々と進んでいました。


その頃、鬼の本拠地「鬼が島」でも、桃太郎なる不届きものが鬼を成敗するために動いていると言う話が入ってきましたが、鬼たちのほとんどはものすごい形相で暴れ狂っている子供たちの看病で大忙し。その話が伝わることはありませんでした。


桃太郎は正義の名のもとに旅を続けます。通行税を取ると言う名目で襲ってきた暴漢をそのチェーンソーでなぎ倒し、改心させるためにきび団子を暴漢に与えました。一口食べた暴漢はきび団子のあまりのおいしさに卒倒し、その後泡を吹いて深い眠りにつきました。桃太郎は彼が目覚めたときには改心するだろうと思いつつ、旅を続けます。


関所を強引に突破した桃太郎はその後鬼が島の見える場所にやってきました。しかし、この場所と鬼が島の間には激流が流れています。いくら桃太郎が強靭な身体を持っていても、激流とその中の渦潮に飲まれてしまえば出ることは出来ないでしょう。桃太郎は強い子なので窒息しませんが、渦潮はチェーンソーは効かない上、きび団子も食べてくれないからです。


そんな時、桃太郎の頭上に鳥が見えました。きじです。丁度桃太郎の上をきじが飛んでいました。桃太郎はそのきじを目がけてきび団子を投げつけてきじを地面に叩き落とし、落ちてきたきじにきび団子をたくさん与えました。きじは桃太郎に押さえつけられていますがそれでもなお激しくのた打ち回り、その身体を変化させていきました。


きじの小さな体は桃太郎達全員を乗せて飛べるくらいに大きくなり、翼には筒のような何かが沢山生え、頭部は鉄の塊のように頑丈になりました。桃太郎はそのきじの背中に乗り込み、鬼が島を目指すことにしました。鬼との決戦の時が近づいてきます。そして鬼が島との距離が半分になったその時、鬼が島から砲弾が飛んできました。残虐な鬼たちの事です。桃太郎を空中で撃墜して海の中に落とすつもりなのでしょう。


しかし、ここで仲間にしたきじが大活躍します。きじは砲弾をかわすとそのまま両翼を広げ、滑空しながら両翼に生えた筒のような物で鬼が島目がけて銃撃を始めました。きじの翼に生えた無数の筒のような物は機関銃だったのです。鬼が島の大砲は瞬く間にきじの銃撃で蜂の巣となり破壊され、今度は犬が鬼が島の中に飛び降ります。犬は三つの首から次々に炎を吐き出し、鬼側の戦力を焼き払っていきます。


桃太郎とサルはきじに乗ってそのまま鬼が島の中央部に近づきます。と、ここでサルが飛び降ります。地上から鬼が桃太郎ときじを弓で狙っているため、彼らをやっつけに向かったのです。地上に降りたサルはその八つの腕と素早い動きで鬼どもを圧倒し、鬼が持っていた弓を足で蹴り上げるとその強靭な歯で噛み砕いてしまいました。武器を奪われたうえ、力でもサルに敵わない鬼は諦めるしかありません。


桃太郎はきじに乗ってそのまま鬼が島の中央部にある鬼の本拠地へと殴り込みをかけます。きじの機関銃による援護射撃をもらいながら、次々に鬼をチェーンソーで倒していきます。もちろん、倒した鬼にはきび団子を食わせていきます。大半は動くことはありませんが、きじの銃撃が当たってなかった鬼は途中で出会った子鬼同様に青白い顔で地面を転がりまわり、周囲の鬼を巻き添えにしてくれるからです。


「な、なんじゃこりゃあ!?」

悪しき鬼どもの首領が現れました。きじの銃撃と桃太郎のチェーンソー、きび団子によってほとんどの鬼が倒されてしまったため、残っているのは彼だけです。

「アシキオニ、ババアノメイニヨリ、イマココデケス」

桃太郎の声が戦闘の合図でした。鬼はきじと桃太郎の攻撃により、瞬く間に傷だらけになります。何せ相手は桃太郎、世界を鬼の魔の手から救う勇者なのです。それにきじの援護が圧倒的な威力を誇っています。少しでも油断したら蜂の巣です。いえ、今は弾切れできび団子を発射していますが、そんな物当たったら銃撃よりもっと酷い事になります。青白い顔で泡吹きブレイクダンスをすることになるでしょう。


「ワンワン!」

「キイ!キイ!」

更に鬼にとって絶望的な事に、桃太郎側に援軍です。犬とサルが加勢してきました。

「って、ちょっと待てい!それのどこが犬とサルじゃあ!化けもんじゃねえかあ!」

三つ首で火炎放射を吐く犬と骨の顔に八本の腕と四本の足を持つ進化したサルを見た鬼は極めて常識的な反応をします。

「コレハイヌトサル。オレハモモタロウ、コイツハキジ」

チェーンソーを構えながら桃太郎は鬼に説明します。

「お前のような桃太郎が居るか!それと、それはもうきじじゃねえ!化け物だろうがあ!?」

桃太郎の風貌は仮面をつけたチェーンソー装備の着物姿。きじは体長4メートルは軽く超える機関銃発射機能付きの大きな鳥です。

「オレハモモタロウ。ケッシテキンヨウビニチェーンソーヲフルウコトハナイ。……オニヨ、カクゴシロ。イチゲキデアノヨニオクッテヤロウ」

こうして桃太郎とその仲間の活躍により、鬼は全滅し、物語は終わりましたとさ。めでたしめでたし。

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― 新着の感想 ―
[一言]  アンダーグラウンド桃太郎……最強というか、おじいちゃん、おばあちゃんの手でも鬼退治が無理なく出来るような……。  悪者は鬼なのか、果たして――。  おいおい、おいおい、と心の中でツッコ…
[一言] カ、カオスだ!ツッコミ役が欲しい!! 心の中でツッコミを入れながら読ませていただきました。おじいさんとおばあさんは何者なんだ…… 次回は浦島太郎ですかね?←
2012/12/01 06:50 退会済み
管理
[良い点]  化学薬品による畸形パーティメンバーという新しい発想が面白かったです。 [一言] カ、カオスだ!! というか桃太郎はもはやサイコキラーですねwww
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