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『第3話:零(ぜろ)の視界、死神の演算』

第2話までお読みいただきありがとうございます!

「お前の存在は、この国の計算式における『誤差』ですらない。単なるノイズだ」

隠れ家を包囲する17名の特殊部隊。

絶体絶命の状況下で、孤独王の「神の頭脳」が加速します。

しかし、今回の彼は一人ではありません。

捨てられた少女・ぜろの持つ「完全記憶」が、孤独王の演算と重なったとき、戦場に未知の化学反応が起こります。

孤独王を「実験体」と呼び、過去に縛り付けようとする因縁の敵。

その男を前に、冷酷な王が放つ至高の決め台詞とは――。

最強×最強の共闘、開幕です。

突入の合図は、鼓膜を切り裂くような爆音だった。

 隠れ家の入り口が吹き飛び、強烈な閃光が闇を白一色に塗りつぶす。

閃光弾スタングレネードか。古典的だな」

 俺は視界を捨て、脳内の演算シミュレーションを「聴覚モード」に切り替えた。

 靴底がコンクリートを叩く音。安全装置セーフティを外す金属音。

 すべてが1と0のデータとなり、俺の頭の中に3Dの戦場マップを描き出す。

「……1、2、3。まずは3人」

 俺は、隣で震える零を背中に庇い、一歩踏み出した。

 視界が白く濁る中、感覚だけで敵の喉笛に手刀を叩き込む。

 崩れ落ちる男の銃を奪い取り、弾倉を抜き捨てて、銃身そのものを鈍器として振り抜いた。

「ぐあああッ!?」

「騒ぐな。お前の悲鳴の周波数は、俺の計算を1ヘルツ狂わせる」

 冷徹に、機械的に、俺は「作業」をこなしていく。

 だが、その時だ。

「……おじさん、右、下! その人の服、左の脇腹だけ……装甲が薄い。さっき、廊下の光で、継ぎ目が見えた!」

 背後でうずくまっていた零の声が響いた。

 一瞬、思考が止まる。

 彼女は目を開けていた。閃光弾の残光で目を焼かれながらも、彼女の「完全記憶」は、突入した瞬間の敵の装備、そのわずかな綻び(ほころび)さえも記録し、解析していた。

「……なるほど。バグどころか、高性能のセンサーだな、貴様は」

 俺は彼女の言葉通り、右から迫る男の脇腹に拳を叩き込んだ。

 骨の砕ける感触。重装甲の騎士たちが、ただの人形のように転がっていく。

 だが、奥から現れた一人の男が、冷ややかな声を上げた。

「相変わらずだな、第7実験体。……いや、今は孤独王だったか」

 その声を聞いた瞬間、俺の脳内に、忌まわしい過去の記憶がノイズとなって溢れ出した。

 かつて俺の脳に電極を繋ぎ、24時間計算を強制し続けた、あの研究所の生き残りだ。

「……お前か。お前の声の波形は、俺の不快指数を100%にする」

「そのガキを渡せば、お前の命だけは助けてやってもいい。それは国の共有財産だ」

 男が零を指さした。

 零は俺のコートの裾を、ちぎれんばかりに握りしめている。

 その指先の震えが、伝わってくる。

 俺の計算が、一瞬で弾き出した。

 こいつを生かしておけば、この国はまた零をおりに入れる。

 俺と同じ地獄を、この「バグ」に味わせるつもりだ。

「……命乞いのための言葉を紡ぐ時間が無駄だ。お前が次に吐く謝罪が、誠意に基づかない自己保身である確率は100%だ。計算する価値もない」

 俺の周囲の空気が、パチパチと静電気を帯びて震え始める。

 感情を殺したはずの脳が、怒りで真っ赤に染まっていく。

「死ね。……お前の存在は、この世界の計算式における『誤差』ですらない。単なるノイズだ」

 俺は地を蹴った。

 もはや計算の必要はない。ただ、この世界の汚れを、俺が「修正」するだけだ。

最後までお読みいただきありがとうございました!

零の「完全記憶」が初めて孤独王を助ける、熱い展開となりました。

次回、因縁の敵を粉砕した孤独王が、戦いの後の静寂の中で零に何を語るのか。

少しずつ、二人の間の空気が変わり始める第4話もお楽しみに!

面白い、続きが気になる!と思ってくださったら、ぜひ【フォロー】や【星評価】をよろしくお願いします。作者の演算速度が限界突破します!

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