狩り:駆け出しの冒険者
あれから真秀さんに細かいことを色々聞いた。能力のこととか、魔災学会についてとか、悪魔の簡単な生態と弱点について…とか。思った以上に知らないことだらけで、自分の無知を改めて実感した。
そうして次の日
「今日マジでやるんかなぁ…」
感情・精神の具現化……意思そのものを体現するような正に「意思能力」たらしめる能力。入瑠と軽く訓練こそしたがいざ実戦となると緊張する。正直、恐怖もあった。授業中も頭の中はそれでいっぱいだった。
「どったんテント、元気なさそうやん」
「ん?あー…色々とな」
「カラオケでも行くか?」
「用事あるからパス」
「ほーん?…まぁ、なんかあったら呼べよ」
「おう、ありがと」
「テント!忘れてないよね?行くよーっ!」
「今行くから待っててくれー」
「ちぇっ、そういうことかよ末長く爆発しとけアホォ」
「ちげーよドアホ」
「ほんとか?」
「待て、そこは俺が保証する。弔はデートとかしないってか多分できない」
「それはそれで腹立つな」
「翼が言うなら…まぁ」
「弔、俺もついて行っていいか?」
「まぁ…いいんじゃね?」
「それじゃ、同行させてもらう」
「頑張れよテント。んじゃ俺別のやつと帰るわ」
「おう、またな」
「俺らも行くか」
「そうだな」
こうして俺は、悪魔狩りパトロールという名の能力実践の赴くことになった。いやはや、人生って分からんものだな。
「…ん?」
「どうした?弔。早くしないと入瑠が怒るぞ」
「いや…何でもない」
一筋の光、昼の都会に流れ星が見えた。明らか普通の光じゃなかったような…どこか人工的な…そんな光が通った。
気のせいか?
「何してんのー!早くー!」
「ほら言わんこっちゃない」
「あ、あぁ行くか」
「よし!パトロール開始!」
かくしてパトロールが始まった。
「なんかアホほど緊張してきた」
「言うてもパトロールだけどな」
「ま、焦らず気軽にやればいいよ」
「そんなもんなのか…?」
「なぁ入瑠、1日にどれぐらい悪魔を狩ってるんだ?」
「うーん、中級悪魔が5〜10体、上級悪魔が2体ぐらい?」
「多いのか少ないのか分からんな」
「今はまだ少ない方だけど、すこーしずつ増えてるよー。あと偶に能力持ちもいるから気をつけてね。」
「おう、そんときゃ任せる。申し訳ないけど」
「別にいいよー、仕事だしね」
ふらふら歩きながら街を見回していると…
「ガァ…ハハハハ」
「早速悪魔だな。それも2体」
「テント、いけそう?」
「まぁ…なんとか。一応中級だしな」
「…初陣か」
「…ニィハハハ」
「ギャララララ…」
「さてと…うまくいくといいがな」
遡ること前日。俺はとあることを真秀さんに聞いていた。
「能力の発動の仕方?」
「感情の具現化をやっても感覚が掴めないんです。感情の出し方って言うか…んまぁ正直にいうと技が欲しいです」
「技?」
「ほら、真秀さんや入瑠が使う、『バグ』とか『ドルフィスト』みたいなのです。あれってどうやって覚えるんですか?」
ゲームとかで「炎魔法を扱うキャラ」がいたとしよう。火炎玉・火炎放射、炎柱、炎撃、業火弾…と、レベルが上がるにつれ色々な技を使えるようになる。要は俺もそれが欲しいのだ。だがこの世界にはレベルアップの概念はない。故に技など勝手に手に入らないのだ。
そこで疑問が。入瑠や真秀さんはどこで技を覚えたのだろうか?それが知りたかった。「感情・精神の具現化」と聞いてすぐさま扱えるわけがない。概念を扱う能力だからな。だから技があれば十分戦えるようになると思ったんだが…
「……自分で考えろ、以上だ」
「はい?」
「自分で技を考えるんだ」
「あれ全部オリジナルっすか!?」
「遺伝能力なら先代の技を受け継ぐこともあるが、基本は自分で付けるものだ」
「なるほど…」
「深く考えなくていい。自分が分かりやすければ何でもいい」
「はぁ…」
曰く、「自分の能力だから自由」らしい。そう、確かに自由だが複雑だと扱いにくい。だから敢えて技として捉えることで扱いやすくなる。ただし意図的に制限することにもなる……扱いにくい100%の力よりも扱いやすい70%の力、と言うわけだ。
「深く考えるなって言ったけど、技名とか一番深く考えたくなるわ…」
育成シュミレーションゲームで初入手のキャラクターの名前を決めるようなもんだ。最低10分はかかる。それと同じだ
「まぁ、やるだけやってみるか」
深呼吸し、推定15分考えた技を発動する。
「ふぅ…よし…『落体』」
能力を行使する。入瑠の時と同じ感覚がすれば良いんだがな……
「…おっ」
あの時の感覚と似ている。恐らく成功したのだろう。技として捉える事の重要性を改めて理解する
「よっしやろうか、悪魔さんよ」
「ギャラァ!」
「ニィガハァ!!」
戦いの火蓋は切られた。




