分離:役割
あけおめでございます(大遅刻)
「近頃、近くの地域で鯨ような悪魔が複数体現れたらしい。確認できたのだと4体だ。過去のデータに基づくと、強い悪魔が降り立つその周辺では悪魔が活発的になる。もしかしたら新種の超級悪魔が居るのかもしれない。それを見に行ってきてくれないか?今回は5人で行ってもらう予定だが」
「結構人数いるんすね」
「何が起こるか分からないからな。第四支部の中でも指折りの実力者を連れて行く予定だ」
「分っかりました」
かくして
「全員揃ったな?うっし、行くか」
あっという間に時が経ち、当日がやってきた。メンバーは俺、入瑠、詩遥さん、ハチさんの4人で道中街の人を避難させつつ悪魔を倒していた。指折りの実力者ってハチさんのことだったのか。
………ん?まて、4人?
「1人足りなくないですか?」
「ん?あぁ、鈴里の事なら心配しなくていいぞ。ちゃんと来てるからな」
「来てないから言ってるんすけど?」
「もしかして先輩のこと話してないんですか?」
「んー……大丈夫だろ。アイツも目立ちたくない主義だし」
「それ聞こえてると思うんですけど……」
どうやら鈴里という人が同伴しているらしい。見えもしなければ気配もないんだけどな……秘心も反応しない。会話が聞こえる範囲には居ないはずだが……
「ま、あんま気にすんな」
軽く流されてしまった。俺だけ知らないのちょっと理不尽じゃないですかね?いや、知らない方がいいことなのか?だとしても……考えるのはよそう。だんだん悲しくなってくるぞ。
「っと、また悪魔…なんか見た目が違うな」
姿を現したのはどことなく半魚人に似た悪魔。なーんかサバイバーに雰囲気というか見た目が似てる気がする。悪魔にも種族とかあるのかね?
「さーて肩慣らし程度に、ボルテージ10%放電!」
ハチさんが能力を発動する。それは『帯電』。体内で電気を溜めて放出する、電気系能力の体現みたいな能力。その強さは半端なものではなく一瞬で悪魔を倒してみせた。
「つんよ」
「これぐらい屁でもねぇよ」
「また自惚れて……ん、ようやく分かれ道ですね」
「ここからは別行動だな。三手に分かれるとしよう。事前調べだと左手と真っ直ぐに悪魔が多いらしい。俺はこのまま真っ直ぐ行く。詩遥と入瑠に左を任せたい。弔は右を頼めるか?」
「俺1人っすか?」
「いざとなったら助けが入るから安心しろ」
「ハイ質問です!みんな別々行動してるのにどうやって助けが入るんですか?」
「それは後々分かるから大丈夫だ」
「俺的には大丈夫じゃないんですがそれは……」
「まそんな慌てる程の事でもない。他に質問あるやつはないか?いないんなら早速行動開始だ。なんかあったら連絡しろよ。解散!」
その発言がフラグだったらいくら先輩とはいえ許せないぞ……はぁ、何とも現実は非情である。
「また後でねーテント!」
「何かあったら教えてね」
「あっはい!また後で!」
やっぱり教えてはくれないんだな…トホホ。
そうして現在1人で行動している最中である。てか何気に悪魔狩りで単独行動って初めてでは?しかも最初が超級討伐?そそるぜ、これは…!何てことは正直な話言ってられない。こんなんでも悪魔と対等に渡り合えるのか?入瑠と俺ペアの方が良かったのでは?なんて思っていると
「半魚人型の悪魔……4体か?」
あの、多くないですか?と考えるオレの気持ちなど踏み躙るかのように、悪魔達が俺を視認するやいなや一目散に襲ってきた。すかさず落体を発動し飛感撃を打ち込む。間髪入れずに他の悪魔も対処する。手応えはかなりあり数発攻撃を入れたら軒並み倒れていった。
「なーんか最後に戦ってからたった数日なのに随分と経った感じがするな。にしても案外いけるな。俺も成長してるんかね、実感湧かないけど」
「さーて先へと進む……予定だったんだがな。どんだけいんだよマジで。スルーの方がいいのか?ってか思ったより沢山いるな。さてと……ッなんだ?」
再び戦闘体制に入ろうとしたが、何かを感じ取り咄嗟に秘心を発動する。すると後ろから殺気のような気配が一気に襲いかかる。
「本当にしぶといなお前ら!『飛感撃』!ッおっと後ろ危ないな、オラァ!」
秘心を駆使して悪魔の位置を把握しながらなんとか対処をし続ける。初手集団戦とか聞いてないしこんな大変なのか災師って。入瑠みたいに俺も技が沢山あればいいんだがな。
その後はひたすら避けて攻撃して耐えて飛感撃撃って避けて逃げて……を繰り返しまくった。
「さてと、これで……ラスト!」
ふぅ危ねえ危ねえ、数が多いのなんのって……軽く20〜30そこらはいた。数十分はかかったぞ?まったく、こういうのは群れじゃなくて単体で何回も来て欲しいもんだ。その方が態々秘心を常時発動させて気を使わなくて済む。
ただたくさん来てくれたおかげで分かったこともある。それはあの半魚人型の悪魔はあまり強くないこと。その理由はズバリ落体が便利すぎること。落体は感情の具現化。"負けない"って感情があれば基本負けることはない。だから半魚人を2体ぐらい倒した時には既に俺の勝ちは決まってたようなものだったのだ。
さて、鯨の悪魔はどこにいるのだろう……か?
「……オイオイどんだけ出てくれば気が済むんだお前ら、不死身かよ!どっかに悪魔生産工場でもあんのか?」
能力のお陰で体力を気にせず倒せるからいいのだが、いかんせん感覚が定着してるので最低2、3発は絶対必要なのが少々ネックだ。物量で攻めてくるタイプなので早めに対処しないんだがな。
「もういい、スルーしよ。目的果たしたら入瑠かハチさんに頼んで一掃してもらおうそうしよう」
そう結論付けて先に進もうとした瞬間、どこか近くで建物に巨大な何かがぶつかったような轟音が響き渡った。
「うぉっと何だ今の!?あっちの方か?」
音のする方へ辿ってみると軈てそれは姿を現した。
「おぉ…ついに登場か、鯨の悪魔」
鯨の悪魔到来のお知らせである。シロナガスクジラみたいなのを想像してたがどちらかと言えばマッコウクジラみたいな見た目をしている。そして何と言っても浮いてる。あんな巨躯で浮遊しているのだ。巨躯と言ってもシャチ以上クジラ以下ぐらいだが。そういう能力なのか?
「上級…だとしてもサバイバーやテンペストよりは絶対強いだろうな……さてどうするッか!?」
俺を見た途端突っ込んできた。マズいな避けれそうにないぞこれ。気合いで迎撃するしかないが……無理だなこれ
「ハチさーーーん!!!助けてくださーい!!!」
「たいへんそうだね」
「そりゃまぁ事態が事態だからな……って、え?」
「ん?」
「えーっと……は?…は!?」
隣に女の子出てきたんだけど!?え?なに?えっ誰?いつの間に隣に!?あなた何者ですか誰なんですか誰か納得できる説明をしてください!
「安心して、悪魔じゃないよ」
「いやこの際そんなことどうでもいいのでとりあえず下がって!」
「心配ならいらないよ。ほら」
「え?ってちょマ」
ふと前を見ると鯨が眼前まで迫ってきて避けられるはずもなく衝突した……衝突して…してない?と言うよりかは
「すり抜けた…ってか俺のこと認識してない?」
途端に鯨の悪魔から俺に対する秘心の反応が消えた。周りを見渡しても半魚人の悪魔達もこちらに気付いている様子はない。
「えーっと?ん?」
「色々聞きたいことはあるだろうけれど、まずは安全な場所行こっか」
「え、あっはい」
秘心で見る限り敵意ではなさそうだが……とにかく今は超スピードで話が進んで何から何までよく分からんのでとりあえず身に任せてついて行くことにしよう。




