救難レスポンシブル:推進する決断
色々考えた結果内容を変えました。そのせいもあり更新日数と文字数が凄く長くなってしまったことを詫びます。申し訳ない。
獣主討伐の報告をして次の日。
最近じゃもう悪魔狩りがバイト感覚になってきて慣れてしまった。仮所属とは言えちゃんと報酬はあるし達成感もある。最初の時以降あまり感じないけど常に死と隣り合わせと言うことに目を瞑ればホワイト企業だ。全部能力頼りなとこもあるけど。
そういえばあれからちょうど2週間くらいか?早いもんだな…能力の発現、真秀さんとの出会い、悪魔狩り、潜水の悪魔、獣主…仮所属とはいえ地味にハードスケジュールだったのか?正直もう正式に所属したいところはある。ってかほぼ所属してるようなものだろう。
なんてことを思いながら現在、翼と共に学会に来ている。特に理由はなかったが強いて言うなら2人とも学校終わりで暇だったから。
「俺は資料見てくるけどお前も来るか?」
「俺って許されるんかな」
「…………一応所属してるしいいんじゃないか?ま、係の人に聞いておくか」
「んじゃそうしよっかな」
などと他愛のない話をしていると
「そこのお前ら、ちょっといいか?」
誰かに声を掛けられた。振り返るとそこにいたのは入瑠よりかは薄めな金髪で、王道的な雰囲気をした大学生か社会人ぐらいの見た目の人がいた。
「えっと……俺達に何か御用ですか?」
「人違いだったら申し訳ないが…あーっと、お前は天道弔か?」
「弔はコッチですね」
「え?あー…そっすね。俺が弔です」
「ほーん…やっぱりか、噂のテントとやらはお前だな?となると、隣のお前は弋翼か?」
「はい、俺の名前は弋翼です。」
「噂のテント……?」
どうやら俺のことを知っているらしい。噂、と言われるぐらいに何かをした記憶は特にないが……悪い意味で広まってたりするか?これ
「噂……噂か」
「どうする?悪い評判が広まっていたら」
「俺が思ったこと喋るのやめて怖いから」
「悪いだなんでとんでもない。むしろ良い事ばっかだ。なんでも、2週間ちょっとで上級2体を倒した、それもネームドだって?大したもんじゃねぇか」
「それそんな広まる程の話なんすね?」
「まぁ、普通じゃあり得ないことだ。」
「彼の言う通りだ…おっと、自己紹介が遅れたな。俺は如月ハチ、同じく第四支部所属で前までは第ニ支部所属だった。よろしくな」
「如月ハチ…って、雷帝の?」
「あー?……聞いたことはあるな。そんな有名な人なん?」
「ここらの災師でトップの人だ。よく鈴里さんと組んで悪魔退治、そして暴食の抑制をしている」
「知ってんのか?なら話は早いな。お前らもソレに加わってもらいたい。詳しくは総長が話してくれるさ。暇なら行って来たらどうだ?」
「…ん?マジですか?」
「おう大マジだ。俺からお前らに言いたいこととか聞きたいことは色々あるが…まぁ先に要件を済ませてこい。時間があったら後で話そうぜ」
「分かりました。ありがとうございます」
「良いってことよ。んじゃ、またな!」
そういうとハチさんは稲妻の如く去っていった。雷帝…カッケェ呼ばれ方してるんだなぁあの人。やっぱ雷に関する能力なんかな。調べたら出てくるもんかね。
「欲を言うならもっと話してみたかったが……仕方ない。とりあえず行くか」
「そうだな」
珍しくちょっとだけ浮かれている翼と一緒に真秀さんの所へと向かう。そういやあの人と出会ってから随分と経ってるな。
◇◇◇
「二週間ほどか、久しいな。弔、翼。最近の調子はどうだ?かなり忙しかっただろうが」
「お久しぶりっすね、真秀さん。ここの活動にも慣れてきましたよ」
「とは言うが、流石に大変だっただろう?息災で何よりだ。」
「ところで総長、話があるとハチさんから伺ったんですが」
「あぁ。弔、最近『秘心』と言う技を覚えたと詩遥から聞いた。その技は役に立つ。そこで2人には超級悪魔並びに『暴食』と『銃の王』の調査に協力してほしい。と本当は言いたいところなんだがな」
言い終わると真秀さんが渋い顔をして悩み込んだ。何か不都合、或いは俺たちに問題があるのだろうか?
「実のところ、いまのお前らには受ける権利がないんだ。」
「受ける権利がない?何でですか?」
「2人は仮所属者という扱いで魔災学会に所属しているだろう?仮所属と本所属とでは規則が違う。要するに色々制限される。例えば、『仮所属者は上級悪魔あるいはネームド討伐の際に所属者2名を必ず同伴させ、内1名以上が能力者である必要がある。』とかな」
「だから獣主を倒す時2人いたんすね」
「……待てよ?てことは潜水の悪魔ん時って違反してたって事では?」
「あれに関しては大丈夫だ。俺が認めたからな、安心しろ。」
ホッ、と内心安堵する。ってかこの人やっぱりめっちな上の人の立場だよな。
「話を戻して、その規則の中に『原則として仮所属者は超級悪魔以上に匹敵する悪魔に関する一切の仕事ができない。』と言うものがある。これが何を意味するかわかるか?」
「仮所属者の俺らには担当できないと」
「そうだ。2人とも暴食と銃の王に対する人員としては非常に価値がある。今回の本題は2人に正式に災師として所属してもらうことだ。弔は悪魔狩りに専念してもらうから災伐師、翼は悪魔狩りよりかは雑務・業務をする機会が多いだろうから災研師になるな。一応、臨時という形を取らせてもらうが」
「……成程、それは確かに難しいですね。」
「別に俺は構わないけど」
地味に最近知った事だが悪魔に関する職業を災師と呼ぶらしい。そこから派生して災伐師、災研師、災癒師……と色々分かれていくのだそうで。学生と両立できる数少ない仕事の一つでもある。
「……弔、お前は災師となり正式に所属する事が何を意味するか、理解しているのか?」
「まぁ、ある程度は?」
「ある程度、か。そこが疎かでは良くないからな、一応話しておこう。災師、それは学会との契約を意味し、学生にして重大な責任を持たなくてはならなくなる。損傷を負った場合の負担や、勉学が疎かにならないよう必要最低限のサポート等個人に関する事はできる限り支援するがそれ以外の仕事に関する大体のことを自分で管理しなければならない。その責任は高校生には非常に重いものとなる。」
納得せざるを得ない。ずしりと、潰されそうになる感覚になる。それもそうだ。軽い気持ちだったが実際災師と言うのは常に死と隣り合わせ。あまり考えるはしなかったが今までの戦いはほぼ全てミスなく悪魔にも勝てたのだから仕方ない。本来はもっと重く受け止めるべきなのだ。そう思うと、心に棘が刺さるような痛みが走った。
「……そうっすね」
「正式に雇用したいと言う気持ちはあるが、一番に優先すべきは本人の意思と家族の意思だ。常に死と隣り合わせの仕事をしてもらうからな。最大限の譲歩はする。歓迎もする。だがらこそ、まずはしっかりと話し合って来てほしい。まだお前たちは高校生だ。進むべき道は色々あるだろうし直ぐに決断する事はできないだろう。猶予は…1ヶ月程度取ろう。相談ならいつでも乗れるよう時間は作るつもりだが俺も立場上ずっと暇ではないのでな。俺がいないときは柚々に話すと良い。」
ようやく、真秀さんが一息ついた。説教されているような気分だったが、色々教訓を得る事ができた。しかし、心は未だに混濁としていて、グシャグシャとした感覚が続いていた。
「ざっとこんなもんだな。質問はあるか?」
「では、1つだけ。真秀さんはどのような理由で災師になろうと思ったんですか?他の方のもあれば教えていただきたいです。」
「災師になる理由は人それぞれだ。使命、復讐、期待、恩義、研究、大義、矜持後は……観測、だったりと。色々ある。俺は家柄もあったが、過去に少しあってな。今はそれを理由にしている。」
「……成程、ありがとうございます」
「弔は、何かあるか?」
「えっと……そうっすね………」
口に手を当てて考え込む。正直、今の俺の頭の中は色んな思考が錯綜しているせいで考える力は殆ど残っていない。聞きたいこと……と言われてもな。なら1つだけ、聞いておこう。
「……理由って、必要ですか?」
「難しい所だな。俺の意見を言わせてもらうとなくても良い。ただある方が楽だとだけ言っておこう。そこのところは色んなやつに聞いてみると良い。」
「………………わかりました」
「さて、もう質問はないな?なら、長話もこの程度にしよう。申し訳ないな。急にこんな話をして」
「いえ、こちらこそ。ありがとうございました」
「…行くか」
そうして部屋を後にした。
災師となる理由……か。俺はどうして災師を目指したいのだろうか。興味?趣味嗜好?やりがい?どれも正しくて、どれも違う気がする。
それを考えるのも悪くないのかもしれない。
○災師について
・災伐師
悪魔狩りをメインに活動する災師。能力者が多い
・災研師
雑務、業務をメインにする災師。一番人数が多い
・災癒師
災伐師の治療係。基本雑務が多い。
・災含師
災伐師と災研師を両立している災師。役職が上の人が多い。




