意志を司る少女:憑村詩遥
テント:@Iru♪ 帰ってる途中で上級悪魔と遭遇したけど倒せた件
テント:一応報告した方がいいよなこれ。ってことで一旦学会の方戻ってるわ
Iru♪:???
弋翼:事実だ
Iru♪:えっ大丈夫だったの?
テント:なんとか。そういや能力持ちだったよ
Iru♪:何言ってるの?
テント:全部事実っす
Iru♪:よく分からないけどすぐ向かうね!?
テント:おう待ってるわ
そんなLINEのやりとりの後、俺と翼は魔災学会に戻っていた。ただ、受付の人に聞いたところ真秀さんは不在とのこと。代わりに柚々さんに報告することになった。曰く、柚々さんは第四支部の管理者らしい。実質俺の上司ってわけだ。
「…よし、怪我は治ったよ。うん、言いたいことはたくさんあるけれど……まずはお疲れ様ね」
「いやぁ…はいもう本当に」
「入っちゃんは?」
「別行動をとった後に遭遇したので……今ここに向かっているそうです」
「………分かったわ」
うわぁ絶対怒ってる。おそらく入瑠に連絡をしていた一瞬の内に確実に怒りのオーラが見えた。穏やかに見えて内心凄い人だこの人…絶対に怒らせてはいけないタイプだ。おいたわしや鹿田入瑠。
「それにしてもよく二人で上級悪魔なんて倒せたね?それも能力発現して二日の子と、無能力者だけで」
「浅い水にも潜れて水と水の間を行き来できる力を持つ悪魔でしたね」
「潜りっぱなしで腹立ちましたよ」
「潜水の能力……サバイバーかしら?」
「サバイバー?上級にも個体名なんてあるんだな」
「知らないだけで、基本的に悪魔一匹一匹にきちんと名前はあるのよ?まぁ不確定なものも多いけどね。大体は学会が識別するために付けてるのよ」
「成程…勉強になるな」
「ま、俺と翼の前じゃ屁でもなかったけどな」
「はぁ……今回は良かったからいいけど、次からは気をつけて。無謀すぎるのよ。誰が責任取ると思ってるの?」
「そ、それはどうしようもなかったもので……」
自慢げに言ってみたが普通に怒られてしまった。確かに結果論良かったものの普通だったら何とかしてガン逃げだもんな。うんできたら苦労しないわ。
「でも、聞いた感じそのサバイバー結構利口ね。普通はあんまり潜らないんだけど」
「え、サバイバーって複数体いるんすか?」
「そうね。基本中級レベルなんだけどそのサバイバーだけ突然変異とかだったのかも」
「へぇ〜」
などと思っているとその時、バァン!と銃が発砲されたような音と共に急にドアが開いた。
「何奴!?」
「テント、翼!怪我ない!?大丈夫だった?ごめんねホントに!」
「なんだ入瑠かビビった……軽傷程度で済んだよ。入瑠の方は?」
「すぐに倒して急いで帰ってきた!怪我もなし!」
「…そうか」
「とにかく無事でよかった!これでもう安s『入っちゃん?』ハイすいませんでした!」
柚々さんに鋭い目つきに一瞬で萎れる入瑠。絶対怒られるやつやん……
「天道くん達は先帰ってていいよ。私から総長に言っておくから。それと入っちゃんと少しお話しないと」
「あっ、はい。……あの〜、あんまり入瑠を怒ってやらないでくれると……」
「安心して。怒ったりはしないから」
「そっすか……」
「ほらほら、暗くなる前に、ね?」
「あー…はい、では」
「ありがとうございました。行くぞ弔」
「おう」
俺は心の中で「頑張れよ入瑠」と祈りつつ、学会を後にした。こうして俺の能力者としての波瀾万丈すぎる一日は幕を閉じた。
まじで疲れた。
大体一週間後
「慣れって怖いな」
あれからはや1週間が経過しようとしていた。学校が終われば学会に行きパトロールをしつつ自身の能力を高める。今の俺は中級悪魔なら苦戦せずに倒せるぐらいにはなってきた。悪魔に対する畏怖の感情もほとんどなく落体と飛感撃の精度も向上しつつあった。そんなこんなで今は入瑠と一緒に柚々さんにお呼ばれされている所だった。翼も呼ばれていたが塾だったのでパスになった。
「それで用件ってなんです?」
「天道くんは一応仮所属とはいえ学会に所属してるわけだし、能力も強くなってきてるから本格的に仕事をして貰おうかな〜と。ネームドの悪魔を倒してほしいの」
「ついにテントもネームドの仕事するんだね」
「ネームド…って、サバイバーみたいな感じのやつですか?」
「そう。強い悪魔や能力持ちはネームドって呼ばれてるの。天道くん結構力ついてきたし、そろそろいい頃合いかな〜と思って」
「え俺一人?」
「いや、今回は入っちゃんと……それからもう一人。しはちゃんにも行ってもらう予定だよ。ちょっと強い部類だからね」
「シハチャン?地縛霊の猫か?」
「違うよ!詩遥さんは私たちより一つ上で、私達の先輩だよ!」
「ふむ……」
どうやら次の任務は俺・入瑠・詩遥さんの三人で挑むことになるらしい。いい人だといいなぁ
そうして数日後。指定された区域に到着した俺たちは、既にちらほらと湧いている中級悪魔を相手にしつつ進んでいた。
「テント、左!」
「おうよ」
飛感撃で仕留め、息を整える。そして
「……意外と、落ち着いてるんだね」
「まぁ、慣れってやつですかね」
控えめに声をかけてきたのは、先日柚々さんが話していた少女……憑村詩遥さんだった。
「詩遥さんも第四支部なんですか?」
「そうだよ、同じ。」
「私の先輩!世話焼かせないでね?」
「入瑠じゃないんだから」
「なにをー!」
「まぁまぁ。楽しく行こう、ね?」
そんなこんなで悪魔討伐に向けて進んでいる最中である。詩遥さんは思っているよりとても話しやすくて嬉しい。ミステリアス感あるけど親切心が強くて頼もしく感じる。
「そういや聞いてなかったけど詩遥さんの能力ってなんなんですか?」
「私の能力?難しいんだけど、簡単にいうとね__」
「テント、詩遥さん。アレ…テンペストじゃないですか?」
話を割って入った入瑠が指を刺した向こうに見えたのは毛並みの逆立つ巨大な狼の悪魔。黄色く光る目に鋭い牙。長く鋭利な爪。一言で言うなら狼男そのものだろうか。
「うん。あれがテンペスト」
「……きたね」
「よっしゃ、やるか」
「あ、待って」
意気揚々と息を巻いて戦いに行こうとしたところを止められてしまった。
「どうしたんすか?」
「先制攻撃する」
そういうと彼女は軽く地面を蹴ると、その場でぴょんぴょんと跳ね続けた。………えーっと何をするつもりなんだこの人は
「それが…能力なんですか?」
「厳密に言うと違うけど…悪魔を憑依させてるの」
「憑依?」
「そ!詩遥さんの能力は『憑依』。取り憑いたり憑かせたりできるの!今は『弾性』の能力を持った悪魔を憑かせるから詩遥さんも『弾性』の力を使えるんだよ」
「なーるほど…?」
「今は弾性を溜めてるんだよ」
よく分からんが後で詳しく聞こう。と入瑠の説明を背後に、詩遥さんが跳ねるのを止めた。
「『扱韋志』《弾性の悪魔》……」
同時にバネ仕掛けみたいな勢いで地を蹴り空中に跳ね上がりテンペストに急速接近する。
「……おお」
地味にすごい。いや地味どころじゃない。あまりにも早い。弾性を溜めるってそういうことか。それに対して悪魔は寸前で理解し避けの姿勢をとったものの、傷を負い唸り声を上げた。
「私たちも行くよ!」
「おう」
それぞれの構えを取り、狼の王へと向き合った。
○憑村詩遥
女性。テント達より1つ上。おとなしめでクールっぽさがある。しかし全然怖いってこともなく気軽に話せるタイプ。入瑠とは仲がいい。
能力:憑依『意思を宿すor宿らせる』
【憑依】
・憑入魔
(自分の精神を他者に入れる)
・依出魔
(他者の精神を自身に取り込む)
・扱韋志
(憑依した・させた者の能力を扱う)
・他気怨
(自身の状態・性質を具現化して他人に憑依させる)
扱韋志で扱ってる能力
【弾性】(弾性の悪魔)
・触れたものに弾性を付与する
・弾性を溜めて放出する




