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アイデア・リベリオン  作者: 浮遊戯
『暴食』心は常に天使と悪魔
10/18

水溜り:精神の目

薄々気づいてる人いるかもしれないんですけどとある方を参考に作ってます。

拳を握り締める。路地の水面が、かすかに波打つ、赤く光る瞳。潜水の悪魔……水面に身を隠し、俺たちの気配をうかがっている。


「……来るぞ!」


翼の声に反応するより早く、水面がぬるりと動いた。心臓が跳ねる。足元の水溜りの一つが突然盛り上がり、腕ほどの大きさの水の塊が立ち上がる。まるで水自体が生きているかのようだ。



「ィハッ!」


「なんだよコイツ!」


思わず声が小さくなる。相手は潜水型。水の中に潜れば姿を消せる。こっちの動きは全く見えないだろう。どう攻めろって言うんだ。



「クッソ能力持ちの中でも相性最悪だろこれ!なぁ翼!何とかならない!?」


「そんなこと言われても俺は無能力の一般人だぞ?」


「ご自慢の頭があるだろうが!っぶねぇ!どっから出てくるから分からんから気が抜けないし」



推定「水に潜る能力」を持つ潜水の悪魔。恐るべきところは()()()()()()()()()と言うところ。このせいで何処からでも奇襲を仕掛けてくる。落体と飛感撃だけじゃ対処できない…


「…どうするべきだ?水を経由する以上、逃げるのは困難だ」


「出てくる場所が不確定、必要なのはクセを読むことか…何かあれば…場所の特定か、アイツのクセが分かれば……」


「場所の特定なんざできたら苦労はしないっての!そこだ『飛感撃』!んなっ」


チラッと水の表面に悪魔が見えたので飛び出してくるであろう位置に拳を突きつけたが、俺の拳は空を切り水が弾け飛ぶ。だが問題はそこじゃない。


(コイツ…見てから判断している)




通常、基本的な悪魔のタイプは猪突猛進。なぜなら自分の方が強いと思っているからだ。だがコイツは場を見極め行動している。そこらの悪魔とは一変して異なる。




「シャアァ!!」


「ッ!?」


「弔!」


隙だらけの俺に潜水の悪魔が飛びついて攻撃してくる。咄嗟に守りの体制を取りはしたがそれでも大分喰らってしまった。



「大丈夫か!?」


「あぁ…何とかな。ただ早めに決着をつけないとマズイかもな。」



状況は圧倒的に不利。数的有利はあるが、所詮能力を発現させて2日の男と頭が冴えている無能力者のみ。正直どうしようもない対面だ。



「水の音…無理だ小さすぎる。何か…物理的にじゃなくても断片的にアイツを捉えられる何かがあれば…」







「ッ…いける…か?」


翼が何か閃いたようにハッと顔を上げる



「その感じ、なにか分かったのか?」


「あぁ…ただ、お前頼りだがな。連戦で悪いが、気合いで何とかしてもらうぞ」


「俺にできることなら何でもしてやる。死ぬのだけは勘弁だからな。」


「頼りになる。…弔」


翼が口を開く。




「お前の能力、他人の精神を見る事………要するに()()()()事はできないか?」



翼の声が頭に響く。なるほど、相手の動きは分からなくても、相手の精神や感情を見ればヒントになる…ってことか。しかし、申し訳ないが心を見るのは流石に厳しい。イメージができない…心を見る想像ができない。


『能力は精神の具現化だ。自分ができないと思えばその力、その技を扱うのは一生をかけても無理だろう』


真秀さんがそう言っていた。精神の具現化、つまり、基本的には自分の心の反映。心が無理だと言うなら、どう頑張っても覆せない。




何か別の方法で読み取れれば…


思考をフル回転させ考える。精神を見る事は不可能。それ以外で考えられるものとしては潜水中の可視化ぐらいか…地面をどうやって透かしてみろって言うんだよ


「ダメだ、思いつかない…」


「そうだな…なら、具体的なものじゃなくて抽象的なものを見るのはどうだ?」


「つまりなんだ?」


「感覚として見る…完璧に分からなくても良い。パズルの一欠片を見るだけで良いんだ」


「パズルの一欠片?」


「できるか?」



パズルの一欠片…要するに心を見るんじゃなくてどんな事を思ってるかぐらいで良い…みたいな感じか?なら…精神を見る必要はない。なら何を…




そういえば



ある事を思いついた。俺の能力は「精神・感情の具現化」と真秀さんが言っていた。つまりは精神ともう一つ。感情を操作できるって事だ。感情を見る。それなら断片的に分かるはずだ。



感情…感情……感情………







(ん?なんだ?)


胸あたりに()が見える。俺の中に青がかった赤色の炎が見える。奇妙だ、これは…なんなんだ?翼は…黄色?いったい何を示しているんだ?



瞬間、俺の中で理解する。




()()()()()()()()()()



無意識のうちに発動できたのだろう。拳を握り直す。感情を見る。具体的な感情は今の俺には読み取れないだろうがこれなら位置の理解はできる。


「色」


色として見る。暖色なら熱く、寒色なら冷たく。感情を「色」として認識する。これなら相手の感情もなんとなくで理解できるはずだ。実際の感情とは少し違うかもしれないが、これでいい。なんとなくだとしても理解できるのならば、水の中に潜んでいる奴も、何かしらの色を発しているに違いない。



「……やってみるか」




呼吸を整え、目を細める。凶暴な俺らを襲う悪魔の感情を見る。



……水面から伝わるわずかな波紋の動きが、色として認識できる。赤や橙、冷たい青が混じる。間違いない、奴の感情だ。警戒している。敵意もある。



「これなら場所が分かる…いける!」


心の中でイメージする。飛躍する気持ちを、そのまま拳に乗せて……放つ。落体とはまた違う感覚。この新技によって、感情の()()が分かるから、拳が正確に進む。


「翼、分かるようになった!」


「……そうか、なら勝機は見える!」


「……行くぞ!」



力をさらに込める。感情が動く。色の見える方へ…踏み込み、拳を前へ。感情を爆発させる。冷たい青が、くすんでいた橙色が、真っ赤な赤色に燃え上がる。水溜まりを踏んで挑発する。




「バレてるぜ?引きこもり野郎」


「…ァ!?」



「喰らえ『飛感撃』!」


飛び上がってきた悪魔をひらりと躱して攻撃を喰らわせる。衝撃が空気を裂き、俺の拳が水面を突き抜ける。水中の悪魔の胸を貫き、鈍い衝撃音と共に吹き飛ばす。



「うっし決まったァ!!」


息を切らしながら振り返る。翼は少し笑い、頷いた。


「上手くいったな、弔」



俺は汗を拭きながら拳を握り直す。初めて自分の力が形になった瞬間。感情が攻撃になる、この感覚……たまらなく気分がいい。まだまだ完璧じゃないけど、戦える自信は増えた。



悪魔の体が水に沈み、また姿を隠す。奴はまだ生きている。だが、次は分かる。どこにいるか、どんな気持ちでいるか。秘めた心を見る…そうだな…『秘心』そう名付けよう。これがあれば、相手の攻撃も読める。



「……よし、このまま押し切るぞ」



拳を握り直す。感情を色として見る感覚を、今度はもっと正確に。飛感撃で決める。力の俺と知恵の翼……二人なら、攻略できる。


天道弔

能力:心『精神・感情の操作』

・落体

自身の気持ちや感情を力に変える。怒りの感情や冷酷な感情など、自我の変化が激しい感情ほど強く変換される。

・飛感撃

飛躍感情を剥き出した全力攻撃。落体同様、テント自身の感情によって強さが変わる。

・秘心

対象の人物の感情を仮想の炎と炎の色で読み取る。炎の大小が感情の強さを、炎の色相がその人(悪魔)が持つ感情を、それぞれ示す。

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