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3.軽四ドライバークー

岡山から高速山陽道に乗り倉敷方面へ向かう。

そういえばコーヒーを準備していなかった。

高速道路に入ってすぐにある吉備サービスエリアによってホットの缶コーヒーを買った。

6月下旬で鮎釣りシーズン開幕しているとはいえ梅雨の明けていない曇天の下ではホットドリンクの方が恋しくなる。

購入したホットコーヒーを開けて一口啜ると運転席横のドリンクホルダーに置いて再び車を走らせる。

『コーヒーも買ったし朝食にしよう』

朝食は運転しながら食べるつもりだが瀬戸大橋に入る前には済ませておきたい。

『瀬戸大橋を走るのは、どうも緊張するんだよなぁ』

景観を損ねないようにと配慮された瀬戸大橋の低いガードレールは高所恐怖症の空子には景観の良さとは裏腹に少なくない恐怖となる。

さすがに怖くて動けないというわけではないがハンドルを握る手は緊張で汗ばむのだ。

真っ直ぐで広い高速道路とはいえ、緊張して運転しながらの食事では口に入れたものが喉を通らない。

『早いところ食べちゃおう』

助手席に放り投げたバッグの中に左手を突っ込んで朝ご飯に準備をしたサンドイッチを手探りで探す。

すると、バッグの中にはガサガサとした紙の感触が手に着く。

気になってそのまま掴んで、バッグの外に取り出してみると瑞恵からのプレゼントの包装紙であった。。。

もしや、と思って包装紙の中に手を入れて探ってみると布の感触。。。

「わぁー!あの派手派手下着持ってきてしもうた」

時計を見ると時間9時をまわったところだ、今頃は起きだしてプレゼントがなくなっているのを見てニヤついている頃だろう。瑞恵のわざとらしい下品な笑みを想像すると「失敗したー」とつぶやいた。

まあ、些細なことだ。何はともあれ今のうちに腹ごしらえをする。

ラップに包んだサンドイッチを取り出し、器用に片手でラップを剥がすと大きな口をあけてパンに齧りついた。

『うむ、玉子サンドの方であったか』

サンドイッチはハム&チーズと玉子サンドを準備していた。

両方とも8枚切りの食パンを耳を落とさずに1枚使用している、

旅行中はどうしても食べ過ぎるから、今日の朝昼は控えめにと思って朝食用、昼食用と1つずつにしたのだが十分なボリュームに感じた。

朝食を食べ終わると一気に瀬戸大橋を渡って四国に上陸した。

瀬戸大橋は30分程の行程だが30分間緊張していると肩がこる。

橋を渡り終わると最初のパーキングに滑り込んだ。

コーヒーのカフェインにプラスして緊張は利尿作用をもたらすものだ。

トイレから出て歩きながら両腕を高く上げ軽くストレッチをすると凝った肩に血液が巡るのを感じ気分も解れていく。

雲の切れ間から陽の光が差し込んできて気分も高揚する。

自販機でまたホットコーヒーを買って車に戻ると。

『さて、どうする?』

今日の予定は移動のみで暗くなる前に宿につけばそれで良い。

今回の旅はあまり予定を立てずに、その時々を楽しむことと決めているのだ。

『次のインター降りて一般道で山を越えてみるかな』

これまで最短ルートで設定していたナビを最終目的地の民宿【いごっ荘】は変えずに一般道に変更して走り出した。

高速道路を降りるとしばらくは街の景観が続いたが徐々に山の景色が多くなってきた。

楽しそうな山道でもあればワインディングでも攻めてみよう。

若い頃はパンダカラーのスポーツカーで六甲あたりに繰り出したもんだ。

軽自動車でオートマチックのCASTでは昔のような走りは出来ないことはわかり切っているが、久しぶりにワインディングでコーナーを楽しみたい。

途中でいかにも曲がりくねった山道をナビで見つけたのでそちらに向かってみると、丁度良いワインディングになってきた。

オートマでも要所要所でシフトノブをダウンさせたりアップさせたりすると気分だけでも走りに没頭できる。

シフトダウンしたときのタコメーターの針が跳ね上がるのをみると20年前に戻ったようだ。

途中、バックミラーに緑のオープンカーが映し出され猛烈な勢いで迫ってきた。バックミラー越しでもロールのない足回りで路面に吸い付くようにコーナーを交わしているのが見て取れる。

『邪魔かな?』

あの頃であれば負けじとアクセルを踏み込んだであろうがさすがに落ち着いた。

CASTに無理をさせるのも可愛そうだ。ハザードを上げ左に車を寄せると、緑のオープンカーは水を得た魚のような勢いで右側をパスしていった。

横を通る瞬間左手を上げて『ありがとう』の合図をしているのが、どうにもカッコ良く見えた。

緑色のオープンカーをパスして暫くするとワインディングは終了し、民宿【いごっ荘】まであと少し。

ナビの到着予想でも20分程で到着となっていた。



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