表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/24

さらば あたしの青春よ【立夏】

 青春ってことば、あまり使いません。

 翼よりもたくさんの足(かせ)があって

 光よりもたくさんの物陰(ものかげ)があった

 それがあたしの美しき青春


 指よりもたくさんの深爪があって

 血痕(けっこん)よりたくさんの(あざ)があった

 それがあたしの(いと)しき青春


 手すりよりたくさんの踊り場があって

 月よりたくさんのクレーターがあった

 それがあたしの悲しき青春


 永遠よりたくさんの刹那があって

 つじつまよりたくさんのくいちがいがあった

 それがあたしの忌まわしき青春



 そんなあたしの青春が いま

 滞在延長もなく 過ぎ去ろうとしている

 青ざめて 色あせて

 終わったコンテンツに成り果てようとしている


 だけど あたしは(なげ)いたりしないし

 べつに ひきとめもしない

 青き春の去ったあとには (あか)き夏がやってくるからだ

 足りなくて 欠けるばかりの未熟な春とくらべたら

 色づいて燃えるような 灼熱の夏のほうにこそ

 得られるものはあるはずなのに ひとはなぜ

 朱夏よりも青春に想いを()

 その憧憬(どうけい)をそそぐのだろう

 これから(おとず)れる 白き秋や(くろ)き冬をのりこえるには

 青き春の実りだけでは足りないことなんて

 わからないわけでもないだろうに



 だから あたしの青春よ

 過ぎ去るなら 過ぎ去ればいい

 青ざめて 色あせて

 終わったコンテンツに成り果ててしまえ


 あたしは青き春に別れを告げて (あか)き夏に生きる

 だからといって

 けっしておろそかにしてたわけでもない


 青春 朱夏 白秋 玄冬


 よっつの季節の そのひとつでしかないだけだ


 さらば あたしの青春よ


 そしてふたつめの季節

 夏があたしにやってくる

 学生時代、とくに美化する想い出もなく。

 修学旅行で行った、北海道はいろいろ美味しかった♡



挿絵(By みてみん)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言]  足りないことを知って。  届かないものを知って。  それでもなりふり構わず求めることができる季節。  未熟なことが当たり前で。  手にしたものが少ない分、その身も軽く。  躓いてもすぐ立ち…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ